
お得意の「今回の債務救済措置(債務免除方式)は、拡大重債務貧困国(HIPC=「ヒピック」と読む)イニシアティブの枠組みにおいて包括的な債務救済を受けるために必要な条件を満たした国に対し、適格な商業債権を放棄するという2000年の九州・沖縄サミットにおける声明に基づく我が国の方針の下」(外務省)で行われるものだ。
○ タンザニア連合共和国に対する債務救済措置(債務免除方式)について(外務省2007年1月30日)
このHPICイニシアチブとは、世界的に盛り上がった「債務帳消しキャンペーン」に押された金持ち諸国が編み出した稀代のミレニアム大ペテンである。
第三世界の債務帳消委員会(CADTM)の代表による債務問題のラジカルな解説書『世界の貧困をなくすための50の質問』(ダミアン・ミレー、エリック・トゥーサン著/大倉純子 訳/つげ書房新社)では、HIPCイニシアティブをつぎのように批判している。
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「1996年、債務は風船のように膨らみ再び危機的な状況になりました。世界の強大な金儲け主義者たちは、下心ありありの新しい債務削減イニシアティヴを考え出し、メディアにも大いに宣伝されました。その枠組みは今も使われています。これがHIPCイニシアティヴです」
「これはほんの限られた数の最貧国(165ある途上国のうち42カ国)を対象に、対外債務を『持続可能』なものにしようとする以上の目的を持っていません」
「2000年の沖縄サミット以降、先進国のリーダーが採用する戦略(=HIPCイニシアティブ)は、現在の忌まわしいシステムを永続させるためにデザインされた『罠』であることが明らか」
「(HIPCイニシアティヴによって)帳消しにされた債務はどっちにしても返済不可能だった」
「HIPCイニシアティヴの目的はなにより、寛大な見せかけの下で、確実に支払いを継続させ、強化された構造調整を隠蔽することです」
「このイニシアティヴはできるだけ債務削減せずに、国際機関の意思決定権をできるだけ大きくしようという仕組みなのです」
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同書では、ちょうどHIPCイニシアティブのなかでIMF/世銀に債務帳消しを認められたタンザニアの事例がしめされている。
タンザニアは1996年にIMF・世銀との間で署名した構造調整政策を継続しつづけ、2001年11月に30億ドルの債務帳消しが認められた。しかしそれは毎年の返済額が1億ドルずつ、30年にわたって減らされるに過ぎないという。
今回の日本の債務削減のスキームは不明である。その内実を明らかにさせる必要もあるだろう。
そもそもこの「債務」とは、日本の企業がタンザニア政府などに対して行った各種プラントの輸出などで回収が不可能になった代金を日本政府が保険で保証したもの(=企業は損はしない)である。不良債権を帳簿から切り離すだけで偉そうに「債務帳消し」をいうな!というものである。しかもタンザニアをはじめ、重債務貧困国は、すでに借りた額以上の金額を返済してきているのだ。
「持続可能な債務返済」を保証する枠組みがこのHIPCイニシアティブの本質ともいえるだろう。
1月23日、キルギスタンのビシケクでは、同国にHIPCイニシアティブを押し付けようとするIMF/世銀、そしてHIPCイニシアティブに対する抗議行動が行われた。
○ Kyrgyz Protesters Target World Bank Debt Scheme(CADTMのサイトより)
(参考)
○ アフリカの現状:借金を返済するための借金
ワールドウォッチマガジンVol.14,No.4より
第三世界の債務帳消委員会(CADTM)の代表による債務問題のラジカルな解説書『世界の貧困をなくすための50の質問』(ダミアン・ミレー、エリック・トゥーサン著/大倉純子 訳/つげ書房新社)では、HIPCイニシアティブをつぎのように批判している。
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「1996年、債務は風船のように膨らみ再び危機的な状況になりました。世界の強大な金儲け主義者たちは、下心ありありの新しい債務削減イニシアティヴを考え出し、メディアにも大いに宣伝されました。その枠組みは今も使われています。これがHIPCイニシアティヴです」
「これはほんの限られた数の最貧国(165ある途上国のうち42カ国)を対象に、対外債務を『持続可能』なものにしようとする以上の目的を持っていません」
「2000年の沖縄サミット以降、先進国のリーダーが採用する戦略(=HIPCイニシアティブ)は、現在の忌まわしいシステムを永続させるためにデザインされた『罠』であることが明らか」
「(HIPCイニシアティヴによって)帳消しにされた債務はどっちにしても返済不可能だった」
「HIPCイニシアティヴの目的はなにより、寛大な見せかけの下で、確実に支払いを継続させ、強化された構造調整を隠蔽することです」
「このイニシアティヴはできるだけ債務削減せずに、国際機関の意思決定権をできるだけ大きくしようという仕組みなのです」
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同書では、ちょうどHIPCイニシアティブのなかでIMF/世銀に債務帳消しを認められたタンザニアの事例がしめされている。
タンザニアは1996年にIMF・世銀との間で署名した構造調整政策を継続しつづけ、2001年11月に30億ドルの債務帳消しが認められた。しかしそれは毎年の返済額が1億ドルずつ、30年にわたって減らされるに過ぎないという。
今回の日本の債務削減のスキームは不明である。その内実を明らかにさせる必要もあるだろう。
そもそもこの「債務」とは、日本の企業がタンザニア政府などに対して行った各種プラントの輸出などで回収が不可能になった代金を日本政府が保険で保証したもの(=企業は損はしない)である。不良債権を帳簿から切り離すだけで偉そうに「債務帳消し」をいうな!というものである。しかもタンザニアをはじめ、重債務貧困国は、すでに借りた額以上の金額を返済してきているのだ。
「持続可能な債務返済」を保証する枠組みがこのHIPCイニシアティブの本質ともいえるだろう。
1月23日、キルギスタンのビシケクでは、同国にHIPCイニシアティブを押し付けようとするIMF/世銀、そしてHIPCイニシアティブに対する抗議行動が行われた。
○ Kyrgyz Protesters Target World Bank Debt Scheme(CADTMのサイトより)
(参考)
○ アフリカの現状:借金を返済するための借金
ワールドウォッチマガジンVol.14,No.4より
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