
「説明不足」→「国民の理解を得る」→「法案は提出する」という考えのようだ。
「財界総理」の経団連会長が9日に「次期通常国会において成立することを期待している」と表明。どの政党へ政治献金するかの評価指標となる「優先政策事項」の解説でも「ホワイトカラーエグゼンプション制度等により、従来の労働時間規制の枠を越えて勤務形態の柔軟性を高め、労働生産性の向上、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現を図る」(解説)ことが盛り込まれたことを受けて、柳沢伯夫・厚生労働大臣も、9日の記者会見ではあらためて法案提出を強調し、ホワイトカラーエグゼプションの対象を(とりあえず)年収900万円以上で自立的な業務に従事する労働者約20万人という試算をはじき出し、説明に駆け回っている。
以下、ここ2-3日の財界・政府・与党の発言を紹介する。
御手洗冨士夫・経団連会長
「昨年12月に厚生労働省の審議会で取りまとめられた最終報告に、ホワイトカラーエグゼンプションの概念が盛り込まれたことを高く評価する。多様な働き方の一つとして、次期通常国会において成立することを期待している。」(1月9日記者会見)
北城恪太郎・経済同友会代表幹事
「制度自体は新しい働き方として期待しており賛成だ。しかし、本来働く時間に関係なく仕事の成果で評価される制度であるにもかかわらず、残業代を払わなくてもいいものだという誤解がある」(1月10日記者会見)
柳沢伯夫・厚生労働大臣
「より十分に説明をするようにというお話もございまして、これは私ども本当にそのようにしないといけないと考えております。」「要するに法案の中身について十分検討すると。」(1月9日記者会見)
塩崎恭久・官房長官
「国民の理解を深め、提出するのが必要なことだと思う」(1月10日記者会見)
「法律を提出するのが筋だと官房長官として考えている」(1月10日講演会)
中川秀直・自民党幹事長
「まだ十分理解されていない。国民が理解できるよう努力してほしい」(1月9日柳沢大臣との会合)
900万円以上20万人という厚生労働省の試算は以下のとおりだ。(朝日新聞報道より)
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同省の賃金構造基本統計(05年)などに基づく推計では、年収900万円以上の会社員は約540万人。このうち部課長など管理監督者としてもともと労働時間規制の対象外が約300万人を占める。さらに業務内容を上司から指示され自分で決められないと見られる人も除くと40万人が残る。ホワイトカラーが半数とみて、対象者を全労働者5400万人の0.4%の20万人とはじいた。制度ができても「実際に企業が導入し、適用されるのは2万人程度」と同省は見ている。
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財界の目的ははっきりしている。とにかく労働基準法という企業をしばる法律に穴を開け、それを拡大していくことだ。法案を通してしまえばあとはその基準を引き下げていけばいいだけ。
新自由主義グローバリゼーションの特徴の一つは、企業活動から政府や法律の介入を排除すること。
「説明不足」「国民の理解を得る」という財界・政府の方針を信じてはならない。嘘とデタラメと利権で成立した郵政民営化法を見ても、それは明らかだ。
もちろん現実には、名目ばかりの管理職で残業代をカットされたり、サービス残業、持ち帰り残業など残業代不払いが横行したり、裁量労働制の導入など、労基法に定められた8時間労働の規制はあちこちで破られ、長時間労働、過労死を招いていることは確かだ。
必要なのは残業代をゼロにすることではない。いま本当に必要なことは、新自由主義グローバリゼーションにまい進する企業に対する規制をいっそう強め、サービス残業や持ち帰り残業、そして残業をもゼロにすることだ。それを通じて雇用拡大や不安定雇用の解消、労働時間の短縮を実現することは可能だ。
ホワイトカラーエグゼプション反対!
KEEP8!(8時間労働時間を守れ!)

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