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ケン・ローチ監督「麦の穂をゆらす風」その2

865.jpgケン・ローチ監督の最新作、「麦の穂をゆらす風」では、1913年ダブリン・ロックアウトに抗して蜂起した労働者達に向けた社会主義者コノリーの有名なスピーチが映画の中で紹介されている。結構、心うたれたのでいろいろ調べたのだがセリフは分からずじまい。とおもったら映画の公式サイトに掲載されていたので、先日attacこうとうのblogにそれらのコンテンツをつかわせてもらって映画評(?)を掲載した。そのセリフはこんな感じだ。

「明日、イギリス軍を追い払い、ダブリン城に緑(アイルランド)の旗を掲げようとも、社会共和国を組織しない限り、我々の努力は無に帰する。イギリスは、その資本主義者を通して、その地主を通して、その金融家を通して、彼らがこの国に植えつけたすべての商業的で個人主義的な制度を通して、私たちを支配し続けるだろう」 (公式サイト用語解説のページより)

あれ?「社会共和国」ってなんだ?「社会主義共和国」じゃなかったけ?「社会主義」でないと通じないだろ、このセリフの文脈では、映画の中ではこんなこと言ってたかな? もし字幕でこうなってたら絶対そのときに「?」が浮かんだはずなんだけどな・・・、と思いながらも「公式サイト」なのでいちおうそれを尊重して、「社会共和国」のままblogに引用した。

「うーん、おかしいなー」と思い続けていたのだが、わざわざそれを確認するためだけにまたお金を出して見に行くのもなー、と思っていたところ、先日友人がこの映画を見に行くというので、セリフの確認をお願いした。

そして今日、映画を見た友人からのメールがきた。

『社会主義共和国』でした」

ほっとした。そして悲しくなってきた。この公式サイトをつくっているのが配給会社なのかどうかわからないが、映評(?)で書いたようなイメージの打ち出し方と同じような「小細工」に見えてしまったからだ。確かに商業映画なので売れないと大変なんだろうケド、こんな「小細工」をしてまでどうなんだろう。こんなことをしてケン・ローチ監督の思いが伝えられるのだろうか。当時のアイルランド青年達の夢や希望を裏切ってはいないだろうか。心ある映画人の方はどうおもうのだろう。

たぶん、映画中のコノリーのセリフについてもほとんど誰も注意を払っていないだろうし、公式サイトを何度かクリックしてやっとたどり着ける「用語解説」の中の引用と照らし合わせる人などはもっと少ないだろう。ほどんど誰も気がついていないとは思うのだけれど、忘れないように書き留めておこう。

元気が出たら、配給会社宛てにメールを書いてみよう。Blog上ではコノリーのセリフは、ケンローチ監督の脚本の通りに引用しなおしておこう。それですこしでも当時のアイルランド青年たちの思いに報いることになるのなら。

明日、イギリス軍を追い払い、ダブリン城に緑(アイルランド)の旗を掲げようとも、社会主義共和国を組織しない限り、我々の努力は無に帰する。イギリスは、その資本主義者を通して、その地主を通して、その金融家を通して、彼らがこの国に植えつけたすべての商業的で個人主義的な制度を通して、私たちを支配し続けるだろう

まだご覧になられていない方はぜひ映画館へ。

「麦の穂をゆらす風」公式サイト
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