近未来通信とエンロン

enron4.jpg近未来通信が、投資家をだまして資金を集めていたという事件が新聞を騒がせています。
2001年12月に詐欺、資金不正流用、脱税などありとあらゆる犯罪が発覚したエンロンの事件と似ています。業種や規模やその仕組みの複雑さは異なりますが。

近未来通信は、通信事業、投資家をだまして出資させた詐欺容疑(400億円)で、エンロンは電力およびエネルギー産業で、電力価格の引き上げのためカリフォルニア一帯を停電に追い込みブッシュとの緊密な関係が後ろ盾となり、結局簿外取引での損失によって倒産、総額7兆円にものぼる被害総額をだしました。

近未来通信はIP電話の中継局の設置に出資すれば、IP電話の通話料から配当が行われ、3年後には資金を回収できる、という触れ込みで400億円を集めたそうです。しかし所管の総務省が確認したところ、近未来通信のほうこくによると国内外に2466箇所あるとされる中継局のうち、たった2箇所のサーバー2台しか稼動していなかったという、詐欺も詐欺の事態が発覚したそうです。

このIP電話回線を使った商売は規制緩和と大きな関係があるそうです。

通信事業は04年から届出制になり、85年に200社程度だった事業者は現在1万3000社にまで増加。届出制の会社は財務諸表の提出も義務化されていない(エンロンの場合は、監査法人から金融機関までぜんぶ粉飾決算の手伝いをしていたので義務化されればOKというわけではないのですが)。怪しーなー、と思っても早期に手が打てない。

エンロンの場合も、電力の規制緩和が進んだ(というかエンロン経営者が金を使って進めたのでしょうが)カリフォルニアを拠点に、いろいろと悪さをしました。果てはインド・ムンバイで米印政府の援助で発電所を建設し、発電した電気を全部地元政府に買わせる契約を結んでいたのですが、その前に破綻。また粉飾決算が分からないように、ケイマン諸島などのタックスヘイブンに2800(!)ものペーパー会社をつくって損失を飛ばしたり、デリバディブやスワップなど金融トレーダーがその錬金術を駆使したりと、グローバリゼーションのあらゆる方法を使って詐欺行為を粉飾してきました。

通信事業の規制緩和は「時代の要請」として責任逃れをしている総務省や政治家、NTTなど独占通信産業の責任こそ問われなければならないと思います。

近未来通信:総務省、通信会社の規制のあり方問われる (毎日新聞 2006年11月27日)
近未来通信強制捜査:電気通信事業法の盲点明らかに(毎日新聞 2006年12月4日)

近未来通信、そもそもIP電話で儲けるつもりなんかなかったのでしょう。最初から最後まで規制緩和の抜け道を利用した詐欺商法だったということです。

またエンロンの場合、5000人もの従業員が解雇されました。年金などもすべて消えてなくなりました。その一方、経営者のケネス・レイは、エンロン倒産の直前に自社株を売り抜け1億8000万ドルも儲けました。労働者達の呪いかどうかはわかりませんが、5月に有罪評決を受けたケネス・レイ会長は7月に心臓発作で亡くなっています。

近未来通信のような規制緩和詐欺の職場で働く労働者の実態はどうなのでしょうか。気になるところです。

(2006/12/4)
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