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「したいひゃー!」 ── 「台湾有事」の喧噪の辺境で久々に叫ぶ


「台湾有事!台湾有事!」とけたたましいですが、少し前に台湾からほど近い、宮古・石垣に行ってきました。すすむ自衛隊基地建設の現場とそれに反対する皆さんを訪ねて。いろいろと知らないことばかりで勉強になりましたが、その報告はまたいずれ。今日は、ひさびさに「したいひゃー!」(でかした!)と心の中で叫んだことをつらつらと。

で、「台湾有事」。(ってべつにこれを「したいひゃー!」と言いたいわけではない)

いうまでもなく、ロシアのウクライナ侵攻を奇貨とした日米支配階級による扇動挑発行為なので、中国政府による不満の表明も分からなくもないのですが、日米支配者の側も中国政府の側も、言ってることは「東アジア支配の現状変更は認めない」ということ。

アメリカ政府は「これまでの台湾政策に変更はない」。
中国政府は「これまでの米中、日中の合意を無視してはならない」。

岸田はこれを好機とばかりに大軍拡こそが平和と安定とばかりにのめり込んでいく。活路を軍事機密や治安管理をふくむ軍需産業、あるいはIPEF(インド太平洋経済枠組み)など古くさい利己的自由貿易主義にしか見いだせない黄昏資本主義の末路に、温室効果ガス排出の売買など、「新しい資本主義」なる各種グリーンウォッシュ政策もかすんでしまうほど。

アメリカは「台湾有事」を煽りつつ、「台湾の法理独立は(いまのところは)認めない」という従来の政策をくりかえしながら、中国の経済的、政治的、軍事的大国化による脅威を早いうちから叩いておこう、これまで日本の協力と沖縄の犠牲のもとでアメリカだけが享受できた自由な軍事諜報活動を当の中国が真似ることは何としても阻止せねば、という決意だろう。

中国の政策もそれほど変わってはいない(香港における一国二制度の解体は想定より早く進んでいるが)。ハッキリしているのは台湾の法理独立や国際機関への正式加盟などは絶対にみとめない、平和統一が基本だが武力による統一のオプションも手放さない、このオプションは中国の核心的利益が損なわれた場合(=台湾が法的に独立した場合)に発動され得る、「第三次国共合作」よろしく反独裁の伝統をもつ独立派資本主義政党をなんとしても政権の座から追い落とすために陰に陽に圧力をかけ続ける、というスタンス。

そして日本は沖縄の犠牲の上に米軍基地の駐留をおしつけ、東アジアにおける利権を守るために、アメリカ様に奉仕する資本家階級の番犬としての自衛隊基地を作り続けている。

しかし、というか当然なんだけど、日米首脳の共同声明のなかに、基地の暴力や性被害、環境汚染、そして全国一の最低賃金水準に苦しむ沖縄の人々へのちむぐりさはまったく感じられない。「標的の島」にされた奄美、宮古、八重山、与那国など、かつて薩摩とヤマトの苛酷な取り立てを賄うために人頭税など苛酷な搾取を首里王朝から強いられてきた琉球弧の離島の民衆へのちむぐりさなどはいうまでもない。

そこに台湾の、日本による台湾侵略と統治(その際には日本政府は沖縄からも多くの資源を動員した)から脱し、反独裁の民主化運動をかちとり、同性婚や先住民族の権利を含むさまざまな人権を実現してきた台湾民衆への思いはまったく感じられない。

もちろんそこに、急激な官僚独裁資本主義にあえぎつづける中国の労働者民衆や、中国資本主義の辺境拡大によってさらなる抑圧にさらされるウィグル人民や香港民衆をおもんばかった影さえもみられない。

あたりまえだ。唐の世(ゆ)、大和の世、アメリカ世は、衝突と共謀をくりかえしながら、辺境の民と国内の労働者農民を、むき出しの資本帝国の歯車で締め上げ続けることでしか、「自由な資本主義」や「新しい資本主義」や「特色ある資本主義」をつづけることができないからだ。

(またまた前置きがながくなったが、ここからが、したいひゃ~!のはなし)

そんなおり、玉城デニー沖縄県知事が、5月23日に「日米首脳共同声明について」という知事コメントを発表した。新報やタイムスでも報じられたようだが、無料記事はほぼタイトルのみしか閲覧できなかった。

・「沖縄が攻撃目標となる事態、あってはならない」玉城知事が警戒感(琉球新報)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1522056.html
・沖縄県知事「基地集中で攻撃目標になる事態は許されない」負担の増加を懸念(沖縄タイムス)
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/963381

先日おとずれた沖縄でも伊波洋一参議院議員が、台湾有事を口実とした奄美、宮古、石垣、与那国など、琉球弧全体への自衛隊ミサイル基地の建設に警鐘をならす国政報告会に参加をしたが、じつはホンのすこし違和感をもったのも事実。

というのも、いわれている「台湾有事」で一番犠牲になるのは、いうまでもなく台湾の人々。そのことにまったく言及がなかったからだ。悲惨な沖縄戦の記憶から、ふたたびイクサバ(戦場)になることはぜったいに嫌だという想いに対して、侵略し、戦争を押し付け、いまだに軍事基地を押し付けて続けているヤマトの人間としては、なにも言えることはないのだけど、沖縄の位置、さらには宮古、八重山、与那国の位置をみると、東京よりも中国や台湾にむけてどう伝えていくのか、ということもまた大切なのではないのかなぁ、とも思い続けてきたからだ。

そこで玉城デニー知事の声明についての両紙報道のタイトルをみて「うーん」と。どこかにコメント全文がないかと探したけど県のサイトにはみあたらない(なぜ?)。

しかし偶然、沖縄県基地対策課・辺野古新基地建設対策課のtwitterにコメント全文が画像で掲載されていたので、読んでみたところ、両紙の見出しでは分からなかった、大切なメッセージが込められていることを知った。

「日米両政府においては、アジア太平洋地域における平和と安定を維持する観点から、平和的な外交・対話による緊張緩和に、積極的に取り組んでいただきたいと考えております。」

したいひゃ~!!!

まさに、これでしょう。

支配者たちの言う「東アジアの安定」では、台湾や香港の人々の民主的な自決権が無視されてしまい、今まさに話題にあがっている「台湾有事」との関係においては、もうすこし検討の余地のありそうな訴えではあるにしても、「平和的な外交・対話による緊張緩和」こそが、政治に責任をもつ人間のやるべきことに違いはない。それができない自民や公明の政治家には権力の座から降りてもらうしかない。

以下、入力した玉城知事のコメントです。

沖縄県基地対策課・辺野古新基地建設対策課のtwitterはこちら
https://twitter.com/oki_kichi_pref/status/1528919199673901056


知事コメント
(日米首脳共同声明について)


本日発表された日米首脳共同声明においては、ロシアによるウクライナへの侵略を非難した上で、地域の平和及び安定を維持するための抑止力を強化するための協力の一致、台湾海峡の平和と安定の重要性、日本の防衛力の抜本的な強化などが表明されております。

県としては、日米両首脳間で確認された拡大抑止の強化や岸田総理大臣が表明した日本の防衛力の抜本的な強化が、復帰後50年を経てもなお過重な基地負担を強いられ続けている沖縄の更なる負担の増加につながることはあってはならず、ましてや米軍基地が集中しているがゆえに沖縄が攻撃目標とされるような事態は決してあってはならないと考えております。

日米両政府においては、アジア太平洋地域における平和と安定を維持する観点から、平和的な外交・対話による緊張緩和に、積極的に取り組んでいただきたいと考えております。

また日米首脳共同声明においては、「普天間飛行場の持続的な使用を回避するための油井一の解決策である辺野古における普天間飛行場代替施設の建設を含む、在日米軍再編を着実に実施することを確認した」との記載もあります。

日米両政府が唯一の解決策とする辺野古移設については、軟弱地盤の存在が判明し、提供手続きの完了までに約12年を要するとされ、さらに、今般の変更承認申請が公有水面埋立法に照らした厳正な審査の結果、不承認となり埋立工事全体を完成させることがより困難な状況となりました。

沖縄県としては、辺野古移設では普天間飛行場の一日も早い危険性の除去につながらなと考えていることから、日米両政府に対し、辺野古が唯一の解決策との固定観念にとらわれることなく、普天間飛行場の速やかな運用停止を含む一日も早い危険性の除去、早期閉鎖・返還を実現するため沖縄県との真摯な対話に応じていただくよう求めてまいります。

令和4年5月23日
沖縄県知事 玉城デニー

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