
哺乳瓶や乳幼児商品の大手企業、ピジョンの松村誠一社長が、今朝のNHKの経済羅針盤という番組に登場。哺乳瓶開発や少子化対策、男性社員の育児休業取得などを紹介した。気になったのでついつい観てしまった。
というのも先日の公共サービス研究会で、練馬在住の方から、区立保育園の民営化で乳幼児用品企業のピジョンが受託した経緯とその後の大混乱が報告されていたからだ。(簡単な報告は公共サービス研究会Blogにあります)
▼公共サービス研究会Blog
ピジョンは現在24の企業(事業所)から育児サービスを請け負っている(会社内の保育所)という。一般的に事業所内保育園の事業費用は年間3000万円くらいかかるという(経済産業省はこの事業に減税をしてはどうかと提案している)。
松村社長は「手間のかかる子どもの洋服を洗濯して服の持ち運び不要。お母さんには好評だ」という。そうか?それでいいのか?
松村社長は上記以外の事業所内保育所におけるサービスとして「残業にも対応できるよう、またすこしの熱でも対応できるようにしている」という。そうか?それでいいのか?
「ゼロ歳児を受け入れる園が少ない中でこういう事業は大切だ」とも。考えが逆転していないか?
少子化で経営の多角化が迫られる中、いろいろやっていかなければならないということのなかに、保育所運営がでているようだ。公立保育園の運営委託は少子化による減収への対応対策としてのアンテナショップか? あるいは子育て支援事業としての社会的貢献度のUPによる企業価値の向上を狙っているのか?
「育児用品は安心安全が第一」「可能な限りあかちゃんの目線にたって」という松村社長に、民営化保育園受託による大混乱に対する反省の弁はない。
少子化状況200万人あったが昨年106万人、出生率1.25の状況の中、どのように事業を維持するのか、というアナウンサーの質問に「売上拡大は難しいが、世の中全体が少子化対策で取り組みが多いので、子育て支援と言う観点から育児を深く掘り下げる」と言っていた。
またもうひとつの取り組みとして、男性社員が育児休暇を取れるように(一ヶ月なら有給で育児休暇を取れる)したという。制度はあったが、使いづらく、職場の雰囲気も取るようなものではなかったことを改善、今年は4人の男性社員が育児休暇を取るという。休暇の中身は積み立て有給と特別休暇を組み合わせたもの。休暇を取ってマイナスにならないように、休暇取得を業績評価にも結びつけるようにしたといって、育児休暇中のレポート提出も。たしかに取れないような企業よりはぜんぜんいい
が・・・。
アナウンサーの「一ヶ月は短い。女性は一年以上とるのに」との質問に、松村社長は「男性は対人関係もあり長いのは難しい。将来的には・・・」とおもわず本音。なぜ男性は対人関係があって、女性ならないのか? もう一人のアナウンサーが「男性の育児休暇取得はほとんどないなかで、まずは一歩踏み出すことも必要」という発言でオシマイ。それでいいのか?
「働きやすい職場を作ることが企業価値を高める」というが、受託さき保育園の労働者のめちゃくちゃな労働条件はどうなるのか? 民営化でもたらされた混乱にまきこまれた子どもや親たちはどうなるのか?「安心安全」?「働きやすい職場」?
NHKがこんな企業の宣伝に使われていいのか?
公共サービスの削減や「官から民へ」という考えによって、考えが逆転してはいないだろうか。松村社長の話を、どのようにひいきめに聞いても、企業価値の向上のためにやっている、としか聞こえない。それによって育児の負担が軽減されればいい、と考えているのかもしれないが、育児は金儲けの道具なのか? 哺乳瓶をつくるための努力が番組では押し出されていたが、保育園は哺乳瓶といっしょなのか? いや哺乳瓶研究や商品開発にかける努力の10分の1の努力でも、民営化保育園に注ぐべきではないのか? 早朝のNHKを見ながら考えた。
ぼくの住む江東区でも先月末の議会で、3例目の公営保育園民営化の対象園が発表された。当該園の保護者たちは、これまでさんざん行政の一方的な民営化政策に振り回されてきた。民営化によるサービス向上はない。削減された経費が保育サービスの拡大に回ったという明確なメリットもほとんど感じられない。保育園に入りたくても入れない子どもが三桁にのぼっている。行政は民営化の前にすることは山ほどあるはずだ。
もう民営化はごめんだ。
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※公共サービス研究会で報告していただいた練馬の方たちによる、練馬保育園の民営化は失敗であり、区長はその責任を取るべきだ、という損害賠償を提訴した裁判が9/13にあります。傍聴などを呼びかけていますので、ご都合のつく方はご一報ください。
※公共サービス研究では「首切り自由は許さない!9・15霞ヶ関総行動」にも参加する予定です。平日日中の行動ですがご都合のつく方はどうぞご参加ください。
http://www.labornetjp.org/labornet/EventItem/00_2006_3Q/1154083387914sta
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松村社長は「手間のかかる子どもの洋服を洗濯して服の持ち運び不要。お母さんには好評だ」という。そうか?それでいいのか?
松村社長は上記以外の事業所内保育所におけるサービスとして「残業にも対応できるよう、またすこしの熱でも対応できるようにしている」という。そうか?それでいいのか?
「ゼロ歳児を受け入れる園が少ない中でこういう事業は大切だ」とも。考えが逆転していないか?
少子化で経営の多角化が迫られる中、いろいろやっていかなければならないということのなかに、保育所運営がでているようだ。公立保育園の運営委託は少子化による減収への対応対策としてのアンテナショップか? あるいは子育て支援事業としての社会的貢献度のUPによる企業価値の向上を狙っているのか?
「育児用品は安心安全が第一」「可能な限りあかちゃんの目線にたって」という松村社長に、民営化保育園受託による大混乱に対する反省の弁はない。
少子化状況200万人あったが昨年106万人、出生率1.25の状況の中、どのように事業を維持するのか、というアナウンサーの質問に「売上拡大は難しいが、世の中全体が少子化対策で取り組みが多いので、子育て支援と言う観点から育児を深く掘り下げる」と言っていた。
またもうひとつの取り組みとして、男性社員が育児休暇を取れるように(一ヶ月なら有給で育児休暇を取れる)したという。制度はあったが、使いづらく、職場の雰囲気も取るようなものではなかったことを改善、今年は4人の男性社員が育児休暇を取るという。休暇の中身は積み立て有給と特別休暇を組み合わせたもの。休暇を取ってマイナスにならないように、休暇取得を業績評価にも結びつけるようにしたといって、育児休暇中のレポート提出も。たしかに取れないような企業よりはぜんぜんいい
が・・・。
アナウンサーの「一ヶ月は短い。女性は一年以上とるのに」との質問に、松村社長は「男性は対人関係もあり長いのは難しい。将来的には・・・」とおもわず本音。なぜ男性は対人関係があって、女性ならないのか? もう一人のアナウンサーが「男性の育児休暇取得はほとんどないなかで、まずは一歩踏み出すことも必要」という発言でオシマイ。それでいいのか?
「働きやすい職場を作ることが企業価値を高める」というが、受託さき保育園の労働者のめちゃくちゃな労働条件はどうなるのか? 民営化でもたらされた混乱にまきこまれた子どもや親たちはどうなるのか?「安心安全」?「働きやすい職場」?
NHKがこんな企業の宣伝に使われていいのか?
公共サービスの削減や「官から民へ」という考えによって、考えが逆転してはいないだろうか。松村社長の話を、どのようにひいきめに聞いても、企業価値の向上のためにやっている、としか聞こえない。それによって育児の負担が軽減されればいい、と考えているのかもしれないが、育児は金儲けの道具なのか? 哺乳瓶をつくるための努力が番組では押し出されていたが、保育園は哺乳瓶といっしょなのか? いや哺乳瓶研究や商品開発にかける努力の10分の1の努力でも、民営化保育園に注ぐべきではないのか? 早朝のNHKを見ながら考えた。
ぼくの住む江東区でも先月末の議会で、3例目の公営保育園民営化の対象園が発表された。当該園の保護者たちは、これまでさんざん行政の一方的な民営化政策に振り回されてきた。民営化によるサービス向上はない。削減された経費が保育サービスの拡大に回ったという明確なメリットもほとんど感じられない。保育園に入りたくても入れない子どもが三桁にのぼっている。行政は民営化の前にすることは山ほどあるはずだ。
もう民営化はごめんだ。
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※公共サービス研究会で報告していただいた練馬の方たちによる、練馬保育園の民営化は失敗であり、区長はその責任を取るべきだ、という損害賠償を提訴した裁判が9/13にあります。傍聴などを呼びかけていますので、ご都合のつく方はご一報ください。
※公共サービス研究では「首切り自由は許さない!9・15霞ヶ関総行動」にも参加する予定です。平日日中の行動ですがご都合のつく方はどうぞご参加ください。
http://www.labornetjp.org/labornet/EventItem/00_2006_3Q/1154083387914sta
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