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ニクソン訪中50年と今日の米中関係は地続きです

※やばい、ニクソン訪中からは50年でした。タイトルほか修正。あたまが10年ほどついて来てません!(2022/3/7)

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今日の日経、目次のところに「ニクソン訪中から50年【特集】」とある。ページを開いてみると確かに1972年2月21日付の写真で毛沢東とニクソンが笑みを携えながら握手している例の写真がどどんと掲載されている。

となると今年9月が日中国交回復5040年かと思いながら、ふと一面コラム春秋を見てみると、こちらも米中国交回復の話。米帝だのあさま山荘などの文字も踊ってる。ちょっと紹介しておこう。

===以下、引用===

◎日経新聞朝刊コラム「春秋」2022年2月21日

50年前のきょう、世界が仰天した。ニクソン米大統領が、文化大革命の煙がくすぶる中国を訪問し、北京で建国の父、毛沢東と握手を交わしたのだ。対立から融和への外交方針の転換に、西側、特に日本の衝撃は大きかった。まさに、やぶから棒、寝耳に水だったろう。
▼この人たちも、ショックでむなしさを覚えたそうだ。やはり半世紀前、長野県の「あさま山荘」に人質をとり立てこもっていた連合赤軍の構成員らである。ニュースで、訪中を知った。「アメリカ帝国主義(米帝)に日本が加担し、ベトナム戦争が中国を巻き込み世界大戦になるのを防ぐ。そのための闘争ではなかったか」
▼首脳の手打ちで前提が崩れた落胆を、元メンバーは、こう回顧する。当時、中国はソ連と国境紛争のさなか。国内も疲弊し米ソと対峙する力はない。米も北ベトナムを助ける中国と関係を改め、ソ連をけん制したかった。そう、ものの本にある。国際政治の力学や知恵は、変化をためらう国や人を置き去りにするらしい。
▼ただ、米中に往事のムードのかけらもないことは、日々報道で接する通り。情勢の転換もまた歴史の冷徹なルールなのだろう。ちなみに、山荘に立てこもった犯人の一人は、数年後、別の事件に絡む「超法規的措置」で釈放、海外に潜伏中とされる。後期高齢者入りした活動家はどこの空の下で、50年を振り返っているか。

===以上、引用===

うーん、「世界大戦を防ぐ」?たたかうベトナム人民に連帯しない?反戦運動だったの?ベトナム革命勝利ではなく?・・・まあいいけど。この頃は「蘇修社会帝国主義粉砕」だったもんなー(「蘇州」じゃないよ)。よくやるよ、というのが率直な感想。

そんなことはどうでもいいのだけど、気になったのはコラムの「米中に往事のムードのかけらもない」の一言。ホント?

最近いくつかのところで中国の話をすることがある。「米中貿易戦争の様相ですが、じつは米中は昔から仲が良かったのはご存知ですよね」というと、(??)みたいな顔をする人がたまにいる。それもかなりの先輩。(??)ならまだよくて、(`Д´)な感じも。大丈夫か。

すくなくとも僕が生まれてからは、ほんのごく一部の時期を除いて、米中は仲が良かった。米中の支配者、といったほうがいいか。もちろん軍事同盟を構成するほどの仲の良さではないにしもて。

僕の話で最近よく例に出すのが、習近平がG20サミットやダボス会議で、米中はじめ世界中のブルジョアの前で繰り返し言ってる「自由貿易を守る」「ウィンウィン」「人類共同体」という、歯が浮きすぎて全部抜けてしまうようなセリフ。いや真面目にそういってるんだと思います。一国社会主義とか民族共産主義とかいろいろ言われてきたし、ブルジョア基準だとそれでいいんでしょうけど、かりにも「共産党」のボスですぜ…。

最近では、2021年3月に米アラスカで行われた米中外交トップ、ブリンケン米国務長官、サリバン大統領補佐官、楊潔篪共産党政治局員、王毅外相の会談でのやりとりを紹介しています。このときの楊潔篪政治局員の毅然とした態度が中国国内では大いにもてはやされましたが、中国の本音はそこにあるのではない、というのが僕のみたてです。

マスコミに公開された冒頭発言での「丁々発止」のやりとり全文は日経新聞が翻訳公開しています。こちらです。

米中外交トップ会談、異例の応酬 冒頭発言全文(上)
「聞いた話と違う」米中外交トップ会談、冒頭発言全文(下)

ざっと読むと「対決姿勢」のようにも見えますが、しかしその中にも関係修復、というかさらには米中で世界市場を二分したい、という思惑が見て取れます。以下、抜粋引用します。

===(以下、引用)====

「中国と米国はともに世界の主要国であり、世界と地域の平和、安定、発展に対する責任を担っている。」

「我々の価値観は人類共通の価値観と同じで、平和、発展、公平、正義、自由、民主だ。」

「中国と国際社会が従い、支持しているのは、国連を中心とする国際システムと国際法に裏付けられた国際秩序。」

「中国と米国はともに大国であり、平和や安定に加えて、新型コロナウイルスや経済活動の復旧、気候変動といった分野でも貢献しなくてはならない。我々が一緒にできること、そして我々の利害が一致することは多くある。」

「我々がすべきことは、冷戦時代の考え方や(片方が利益を得て、もう一方が損する)ゼロサムゲーム的なアプローチを捨てることだ。我々は考え方を変えて、21世紀には大国も小国も手を合わせ、特に大国は団結して、ともに人類共通の未来に貢献していくようにする必要がある。全ての国が協調し、公正、正義、相互尊重を確保した新たな形の国際関係を築くことも重要だ。」

「日韓は中国にとって第2位、第3位の貿易相手だ。東南アジア諸国連合(ASEAN)は欧州連合(EU)や米国を抜き、中国の最大の貿易相手となっている。そのため、我々は米国がアジア太平洋地域の全ての国と健全な関係を築くことを望んでいる。我々は共通の友人を多く持つべき。それが21世紀の正しい道だ」

「両国間に競争があるとすれば、経済的側面に焦点をあてたものになるべきだ。経済的関係の摩擦については合理的なやり方で対応し、ウィンウィンの成果を求めることが重要だ。両国間の貿易はすでに多くの成果をあげているが、さらに良いものとしていくべきだ。中国に進出する圧倒的多数の米国企業は、中国の事業環境は良好」
「我々は米国との関係においては、習国家主席が言ったように、対立せず、衝突せず、互いに尊敬し合うウィンウィンの協力関係を築きたいと考えている。」

===(以上、引用)====

「都合のいいところだけ切り取ってる」とか言われるかもしれないけど、没問題。都合のいいところだけ切り取ってきたのはそっちでしょう・・・。

「毛沢東思想」ばりの戦術家にはなれそうもない。今年もまた厳しい一年になりそうです。

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