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人民誓必歸来 WE ’ll BE BACK──人々はまた必ず立ち上がる:香港連帯スタンディング発言予定稿

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2020年12月20日、新宿東口のアルタ前広場で香港連帯のスタンディング「民主と人権は国境を越えて」に参加しました。以下は、その際の発言予定原稿です。本番は、もちろんこんなにスラスラとは行きませんでした。スタンディングの様子はKENさんが録画・撮影してくれました(映像写真)。写真、お借りしました。多謝。

◎逮捕者1万人、起訴2000人を超える 国家安全維持法でも

逃亡犯条例の改悪に反対する抗議行動では、昨年6月から今年10月31日までに10,016人が逮捕、2,210人が起訴されています。6月末から施行された国家安全維持法では、海外勢力との結託、国家分裂煽動などの容疑で海外指名手配6人を含む延べ44人が逮捕や起訴されています。

最初に抑えておきたいのは、この運動は法律改悪反対からすぐに「普通選挙」の実現を求める運動に発展した、ということです。香港はイギリス植民地から引き継いだ議会制度で、業界団体や体制に有利な選挙制度になっており、それが97年の返還で、中国の特色ある「社会主義」が最低限の議会制民主主義さえも容認しない状況が続いていました。一人一票で自分たちの代表を選び、またそれに立候補する権利を求めるという、民主主義の最低限のルールを要求したということです。日本でもそうですが、普通選挙権を求める運動というのはどこでも歴史的に厳しい弾圧に遭ってきましたが、進歩派や左翼はそのような運動を全面的に支援するというのは、ごくごく当たり前のことです。

この点を踏まえたうえで、現在の香港の状況をすこし紹介したいと思います。

◎元デモシストの3人に実刑判決

報復的弾圧は12月に入ってさらに厳しさを増しています。12月2日、ジョシュア・ウォン(黄之鋒)、アグネス・チョウ(周庭)、アイバン・ラム(林朗彦)の3人が昨年6月21日の香港警察本部包囲行動を扇動したとして、それぞれ13カ月半、10カ月、7カ月の禁固刑の判決を受け収監されました。実際にはけが人や被害など全くでなかった事件にもかかわらず、またこの3人が中心で呼びかけた集会ではないにもかかわらず、予想された以上の厳しい量刑となりました。

運動全体に対する恫喝とあわせて、来年9月に延期された立法会選挙への立候補を妨害する判決とも言えます。この判決は国際的にも注目されており、欧米諸国の政府も批判的コメントを発する中、国連人権理事会から多くの勧告を受け続ける「人権後進国」の日本政府はほぼ沈黙を保っています。コロナ対策や人命よりもビジネス、基地建設、オリンピックを優先する人権軽視の姿勢がここでも貫徹されています。

◎元・立法議員らも亡命へ

12月3日には元立法議員のテッド・ホイさん(許智峯)が滞在先のデンマークで亡命を宣言しました。彼は11月に中国の国会にあたる全人代が、4人の民主派議員の資格はく奪を決定したことに抗議して議員辞職した19人の民主派議員の一人でした。これまで議会やさまざまな現場で議員として活躍されていましたが、「違法」集会への参加や議会での国歌法案審議の議事妨害など9つの容疑で起訴されていました。

◎メディア王も国家安全維持法で逮捕

同じ12月3日、米政府の制裁法制定のロビー活動のために資金援助したことなどが「海外勢力との結託」という国家安全法違反の容疑にあたるということで起訴されていた民主化を支援するメディア王のジミー・ライ(黎智英)さんが別件容疑で逮捕され、収監されました。ジミー・ライは国家安全維持法違反の容疑で8月10日にアグネスらとともに逮捕されていましたが2日後に保釈されていました。しかし今回の逮捕では保釈は認められず、少なくとも次回の公判の来年の4月まで収監されることになりました。72歳です。

◎民間人権陣線への弾圧

12月8日には、民間人権陣線の活動家や元議員らへの逮捕がありました。民間人権陣線は毎年7月1日の返還記念日デモや元旦デモを呼びかけてきた民主派のプラット・フォームです。昨年も毎年恒例の7・1デモをやろうとしたのですが、警察が許可を出さず、無許可でデモを行った容疑で民主人権陣線の副代表のフィーゴ・チャンさん(陳皓桓)、民主党の元立法議員のウー・チワイ(胡志偉)さん、社会運動出身の民主自決派のエディー・チュー(朱凱廸)、ベテランの左派活動家のロングヘアー・レオン・クオックホン(梁國雄)さんらが逮捕されました。

また11月に行われた中文大学の卒業式の際に、昨年11月の中文籠城戦を模したパフォーマンスが国家安全維持法違反の疑いがある大学当局が通報し12月7日に区議会議員2名を含む8人が検挙されているなど、民主派や本土派への弾圧が広がっています。

◎台湾の亡命を図った香港人らが中国国内で起訴

台湾に船で亡命しようとして中国の沿岸警備隊に8月23日に拘束され、中国の深圳の拘置所に送還・勾留され、9月30日に正式に逮捕されていた33歳から16歳までの12人の香港人のうち、10人を正式に起訴したと中国当局が12月16日に発表しました。2人は未成年のため非公開で審理を進め不起訴の可能性もあります。今日で拘留120日になります。

◎コロナ禍とたたかう労働運動への嫌がらせ

厳しい状況の中でもさまざまな形で抵抗と連帯を模索する活動は続いています。昨年8月5日の30万ゼネスト、それにつづく航空関連労組のストライキなど、伝統的な民主派の労働組合ナショナルセンターだけでなく、若いアクティヴィストらが新しい労働組合をつくって活動を続けています。今年2月には拡大するコロナ状況において当局の無策に抗議する新しい公立病院の労働組合が5日間のストライキを打ちました。いまこのストに対しても当局が業務放棄だして処分を狙っています。

◎外交は内政の延長─中国の人権状況

中国政府の抑圧的な体制が香港に大きな影を落としていますが、それは翻って、中国国内の人権状況もまったく好転していない、むしろより厳しさを増していることを反映しています。世界で最初にコロナ状況を克服したといわれる中国ですが、グローバル資本主義との相互依存による経済成長によって、ある程度の社会的安定を担保してきたわけですが、トランプ政権との米中貿易戦争が社会不安をたかめ、そしてコロナ状況がそれに拍車をかけています。中国政府は「人民戦争」という総力戦の概念で今回のコロナを乗り切ったといっています。ごく最近でも12月10日の世界人権デーでは、人権弁護士らの自宅に早朝から中国の公安警察が押しかけて外出を禁止した映像が流れています。また中国の人権アクティヴィストで「新公民運動」の提唱者の許志永さんが今年1月に習近平への引退勧告を公表したことで、6月に逮捕され拘束が続いています。許さんは2013年に社会秩序騒乱罪の容疑で逮捕され、4年間服役して、18年に釈放されていた。かれは2003年におこった警察による農民工殺害事件を告発し、農民工への社会的差別をなくす活動で有名になった人物です。人権擁護の最前線でたたかう人権弁護士らへの厳しい弾圧は、最近ではドキュメンタリー映画『709の仲間たち』でも紹介されています。

昨年来の香港デモには、中国からの新移民の人たちも参加してきました。中国国内の人権アクティヴィストらも当局の弾圧にまけず、さまざまな形で支持を表明しています。

◎中国脅威を煽るだけの自衛隊拡張政策

日本政府は来年の習近平来日を成功させるために香港の状況については「懸念を表明する」という姿勢に止まっています。中国の人権状況にはほぼ黙認です。そのいっぽうで沖縄の人々の自決権を踏みにじりつつ、中国の軍事的脅威を煽るように南西諸島への自衛隊配備の強化を進めています。民主主義や人権、労働運動、反戦平和、フェミニズムや多文化共生など、日本の多様な社会運動の関心と連帯こそ、香港や中国のみならず、日本を始め東アジア地域の民主化のステージを押し上げる一助になるはずです。引き続き草の根の連帯を続けていきましょう。

◎人民誓必帰来 WE ’ll BE BACK──人々はまた必ず立ち上がる

来年9月に延期された立法会選挙にむけて民主派や本土派はさまざまな取り組みを模索していますが、対抗勢力もまたそれ以上のリソースを選挙に注いでいます。元議員をはじめ、多くの民主派や本土派への一連の実刑判決は、来年の選挙への立候補を妨害する意図もあるでしょう。22年3月には行政長官選挙が予定されており、来年末までに1200人規模の選挙委員会が組織される予定です。そこでもまた民主派は厳しい状況に直面するでしょう。しかし、あきらめは禁物です。今日用意してきたパネルは「人民誓必歸来 WE ’ll BE BACK」というスローガンです。直訳すれば「人々は必ず戻ってくる」です。つまり人々はまた必ず立ち上がる、ということです。これは2014年12月に雨傘運動の拠点であった金鐘オキュパイの最終日にあちこちで掲げられたスローガンです。このスローガンどおり、普通選挙や民主化をもとめる香港の人々は2019年6月に確かに街頭に戻ってきたのです。しかも2014年をはるかに上回る規模で。激しい闘争に対して弾圧もまた激しさを増し、コロナ禍がそれに拍車をかけました。厳しい状況は続きます。しかし民主と人権に国境はないという思いを掲げながら粘り強く連帯をつづけましょう。人民誓必歸来──人々はまた必ず立ち上がります。

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