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住宅問題(1)J-REIT・不動産投資信託

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5月22日の日銀前スタンディングでの発言未遂稿(その1)です。すこし書き足しました。

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今日のテーマは「住宅問題」です。前述の「アベノミクスとの決別」とどう結びつけようかと考えていますが、日銀と住宅問題でなにかお話しできることがあるとすれば、日銀が買っている金融商品のJ-REITという不動産投資信託について話したいと思います。

これはマンションやビルなど、不動産を信託銀行に預けて、信託銀行がそれをいくつもの預かり証に小分けして販売するというものです。不動産投資信託は、英語でReal Estate Investment Trust(リアル・エステート・インベストメント・トラスト)といいまして、かしら文字をとってREIT(リート)と呼んでいます。日本で販売しているものはJapanのJをつけてJ-REIT(ジェーリート)と呼ばれています。直接不動産を買うよりもリスクが少なく、売買も簡単で、小口でも購入でき、税金も節約できる便利な金融商品です。

日本にREITが導入されたのは、バブル崩壊後の2001年です。現在、東証に60銘柄が上場しており、一日の売買代金は500~1000億円前後、約17兆円規模の市場に成長しています。2013年4月のアベノミクス以前から日銀はREITを購入していました。アベノミクススタート時の保有額は2,000億円程度でしたが、今年4月には6,000億円にまで膨らんでいます。今年3月の金融政策決定会合では、日銀の年間の購入額を900億円から1800億円に引き上げています。

日銀のホームページでは、2010年以降に購入したJ-REITの金額が、ETF(上場投資信託)と一緒に公表されています(こちら)。額はETFにくらべると一けたも少ないですが、中央銀行による市場介入という意味では同じです。

昨年日銀が購入したJ-REITは528億円です。今年に入り1月は12億円、2月は48億円だったのが、3月はパンデミック恐慌への落ち込みのなかで315億円を購入。4月も200億円、5月は22日までに80億円のJ-REITを購入しており、今年に入って合計655億円を購入しています。3月と4月だけで昨年の購入に匹敵する額を買ってJ-REIT市場を買い支えています。3月に急落したJ-REITは日銀の購入増によってやや持ち直しています。

J-REITは住宅、商業施設、倉庫、オフィス、ホテルなどに分類されますが、ヘルスケア系として有料老人施設や病院などのREITもあります。住まいや福祉施設などが、金融商品として小分けにされて投資家の利益のために売買されているという状況に、サブプライムと同じような、おぞましさを覚える人は多いと思います。

もちろんすべての不動産施設がREITとして販売できるわけではありません。もうかる物件でないと駄目なわけです。庶民向けの住宅はそれほど利益が上がらないでしょう。そういう意味では売り手も買い手もブルジョアどもの贅沢な遊びだと言えなくもありませんが、そこに日銀のマネーが投じられるとなれば話は別です。

日本銀行がREITを買いだしたのは2010年12月からです。2008年のリーマンショック後、欧州債務危機などで危機が再燃、アメリカの第二弾の金融緩和で円高が日本企業を襲い、日銀は金利を引き下げて景気を刺激しろという大合唱のなか、白川方明前日銀総裁は、2010年10月に「包括的金融緩和」を実施。企業が発行するコマーシャルペーパや社債、ETF(上場投資信託)とあわせて、REITの購入に踏み切ります。白川総裁はこの政策は世界でも日銀が初めて実施したもので金融危機のさなかではなく、危機終息後の金融政策としては異例だったと著書のなかで述べています。

現在の日銀の金融緩和の源流が2010年ごろからのものであったことは確かですが、異例とよばれた政策が、この10年で、日銀の新たな生活様式になってしまいました。それは世界に伝播しています。

アメリカの中央銀行である連邦準備理事会FRBなどは、一連の危機で日銀のリスク資産購入をまねて、大量の社債やCPを購入しています。経営危機で投資不適格の烙印を押された会社の社債は、格付けが天から堕ちたということで「堕天使債券」と呼ばれています。フォーリン・エンジェルです。ルシファーとかベルゼブブとかです。アメリカではこの危機で天から堕ちて堕天使債になったフォードなどの23社あり、さらに96社が堕天使になるといわれています。FRBはこの堕天使債を含む70兆円ほどの社債を購入したり資本注入することで危機を乗り切ろうとしています。堕天使、天から堕ちるといえばザクを思い出しますが、日銀は資本注入でなんとか日本資本主義を救おうとしています。大気圏突入で燃え尽る直前のザクの最後のセリフ「たすけてくださいー」を思い出します。

実際には日銀がREITを購入する役割は終わったともいわれていますし、実際にこの2年ほどは、決めた目標額を購入するためだけに実施されていた感じがあるので、パンデミック恐慌が起こらなければ、廃止してもほとんど影響のないものでした。3月と4月の巨額の購入も、物価の安定というよりもアベノミクスを支えてきた「期待に働きかける金融政策」の繰り返しにすぎません。

さきほど、日銀はアベノミクスからの決別をすべきだといいましたが、まずこのREIT購入の中止からはじめるということも可能でしょう。日銀が保有するREITを売り出しても、資金はあふれているので大丈夫でしょう。

このような小分けの金融商品にして投資家に売りさばく手法は、住宅や不動産だけでなく、気候変動対策でも、先進的取組として世界中のSDGsのなかにも組み込まれています。それに投資する機関投資家は進歩的だ、と。しかし本当に資本主義的な金融市場で住宅問題や環境問題が解決するでしょうか?本来は払う必要のないコストを投資家らに支払っている、ということも忘れてはならないでしょう。日銀だって投資法人に手数料を支払ってJ-REIT購入しているのでしょうから。
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