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こんばんは、日銀太郎です。今日のテーマは「住宅問題」ですが、その話はあとに回すことにして、まず今日の日銀の緊急会合について触れたいと思います。
●緊急の金融政策決定会合
金政策決定会合は年8回の開催で、春は3月・4月、そして次回は6月に開催がきまっていましたが、緊急経済対策による補正予算が審議されており、今後秋にかけて倒産や失業が拡大する可能性が高いことから、大企業から中小企業まで、ひろく資本注入を行うための金融政策を決める必要があったからだといわれています。
日本、アメリカ、欧州の中央銀行が危機をなんとか食い止めるために実施した金融緩和、つまり中央銀行が国や会社の発行する債券や、民間金融機関の保有する金融商品を購入したりして資金を市場にながすことによって、今年の末には中央銀行の資産は1.5倍、約2400兆円に膨れ上がると言われています。膨大が額です。2400兆円は、1万円札で積み上げると2万4000㌔の高さに達します。ザクが宇宙から突入に失敗して燃え尽きた大気圏が100キロ程度の高さですから、その約24倍の高さ。その金額の巨大さがわかります。わからない?
今日午前に行われた、臨時の金融政策決定会合では、企業等の資金繰り支援のための措置として、おもに中小を対象とした30兆円規模の資金供給を実施することになりました。4月の会合では大企業向けに、追加購入枠を20兆円に拡大したコマーシャル・ペーパーや社債等の買入れや、感染症対応のための金融支援特別オペ25兆円がきめられており、今回の措置とあわせて「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム(特別プログラム)」として、総枠約75兆円の支援プログラムがでそろいました。また期限も半年間延長して、2021年3月末までとすることとしました。 積み上げると上空約750キロ・・・、丹波哲郎のいっていた大霊界が地上約500キロ前後ですから、さらにその上をいくわけです。
臨時会合の開催は2011年11月以来、約9年ぶりです。欧州債務危機に伴うドル供給に関する会合でした。今回は一国的な対応で、政府の緊急経済対策に歩調を合わせたものと言えます。
政府の総額117兆円の政府の緊急経済対策では、大企業向けに政策投資銀行による1000億円の出資枠、中堅企業向けの地域経済活性化支援機構による1兆円の資本支援、中小企業むけに500億円で設立される官民ファンドを通じた数百社への資本注入がいわれています。総額117兆円は民間からの融資も併せてのものであり、その資金源は日銀からの供給になるわけです。
アベノミクスのさなかに、日本の漫画、アニメ、食、ファッションなど「クールジャパン」と称して世界に売り出すことを目的に産業革新機構等によって投じられた700億円もの資金のおおくが焦げ付いたり、投資先で損失を出したりしているようですが、これらの損失も、今回の資本注入で、どさくさに紛れて帳消ししてしまおうという魂胆なのでしょう。
2008年リーマンショックでは、サブプライムローンという詐欺まがいの金融商品を売った銀行によって引き起こされた金融危機に対して、資金繰りが止まってつぶれそうになっている当の銀行に資本注入するということで世界中から抗議の声が起きました。
しかし今回はコロナのせいにして、同じことが行われようとしています。今回は金融システムに障害が出ているわけではなく、企業の資金繰りが問題になっているので、産業資本に資本注入を行うということで、形式は違うのですが、ラディカルな転換が求められている日本と世界の経済システムを、旧来のまま温存しよう、あわよくばさらに労働者と環境から搾取できるようにしようという目的のためです。
融資と違い資本注入は企業の体質を強化するといわれています。融資の場合は、つまりは借金ですから、企業は返さないといけない。負債が増える。それにくらべて株式の購入などの出資を通じた資本注入は、資本を増加させて負債を減らします。リーマン以降カネ余りの金融市場から借りまくって借金体質に陥った資本主義企業にとっては助けに船と言えるでしょう。しかも今回はコロナのせいにできるわけです。
とにもかくにもなんでもコロナのせいにすればいいという日銀や政府の経済対策は、危機をさらなる危機で上塗りするだけにすぎません。そもそも人々の生活や労働環境は、コロナ前からすでに危機的だったわけです。消費税引き上げで消費は冷え込んでいました。それをわからないようにしてきたのが日銀の金融緩和でした。人々の生活に必要な公共サービスにではなく、大企業の利益最優先の経済政策、つまり安倍首相のいう「企業が最も活動しやすい国づくり」のために奉仕してきたのが日銀の金融緩和だったのです。
検察ナンバー2の黒川弘務の賭けマージャン問題で、政権の内部がゆれています。膿を出し切るという生易しいものではなく、政権全体がその頭からして膿そのものであり、一刻も早く切り落とす必要があります。日銀はいまこそアベノミクスという呪縛から自らを解き放ち、その独立性を取り戻す必要があるでしょう。いまこそ絶好のチャンスです。
黒田東彦総裁は、先月の会合で「やれることはなんでもやる」と述べています。今月14日にはフィナンシャルタイムズのイベントで「必要があれば躊躇なくやる」とも述べています。もちろん彼は金融緩和について語っているわけですが、アベノミクスとの敢然たる決別のために、やれることはなんでも、躊躇なくやるというべきでしょう。

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