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新しい非日常を──パンデミック恐慌による温室効果ガス削減

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▲この画像は原油先物マイナス価格で買い手を失った原油を積むオイルタンカーの状況を示すデータマップ

今朝(5月10日)の日経で、すこし興味深い報道があったので紹介します。

原発推進の国際エネルギー機関(IEA)が、コロナ・ショックによる経済活動の縮小によって2020年のCO2排出量が前年比マイナス8%(約26億トン)になると予測したそうです。

一方で、「パリ協定」などが掲げる気温上昇を産業革命前からに比べて1.5度以内に抑えるという努力目標を達成するためには、温暖化ガスの年間排出量を7.6%のペースで削減しなければなりません。

もしIEAの予測が当たれば、今年の削減目標に関しては、今回のパンデミック恐慌で奇しくもそれが達成できることになります。

この温室効果ガスの削減については、カネで排出量を売り買いしたり、本当に削減されているかどうかわからない別の対策(植林など)で削減したことにする「実質」削減が問題だとも思うのですが(パリ協定ではそれが認められており、現在はその細則などが議論されています。つまり、やる気なし!)、パンデミック恐慌によって実現された温暖化ガスの削減は「実質」という名のまやかしではなく、本当に温室効果ガスを削減しています。

昨日もちょっと用事で成田空港に行ってきたのですが、飛行機の騒音もなく、駐機場にたくさんのANAのジェット機が日向ぼっこしていました。たまに飛んでいる飛行機も、窓も小さくラッピングも質素で、重々しい機体をゆっくり左右に振りながら飛んでいます。旅客用ではなく貨物用のジャンボのようでした。

温室効果ガスの削減には、資本主義経済を止めることが一番効果的だということを、今回のコロナ危機が教えてくれているようでした。さらに言えることは、今回のように、感染による犠牲、社会的分断や排除、不安定雇用労働者の切り捨て、エッセンシャルワーク(生活維持に必要不可欠の労働)に従事する労働者の過酷な負担という現象をともなった、資本の無限の価値増殖による破壊的な経済がもたらす新型コロナウイルスとの接触による資本主義的経済活動の停止ではない、別の形での資本主義システムの停止、つまりシステムチェンジこそが必要なのだということだと思います。

アメリカでは5人に一人が職場からロックアウト(排除)されるという空前の事態になっています。日本でも雇用調整助成金や各種協力金によって、潜在的失業者をとりあえずは家庭内にロックダウン(監禁)している状態ですが、これがいつまでも続くことはあり得ませんし、現実にはさまざまな形で解雇や条件切り下げが進んでいます。

その一方で、日米欧の株式市場はパンデミック恐慌以前の株価に回復しつつあります。各国の中央銀行による金融緩和と政府による財政出動が続けている、資本家へのほぼ無制限(リスクの先送り)のマネー供給がこのようなグロテスクな状況をつくりだしています。

これについても同じ日経新聞の紙面は「景気悪化でも株高」という記事の中で、「株価は半年先を織り込むといわれている」と説明し、ハーバード大ケネディスクール研究者のこんなコメントを紹介しています。

「株式市場は常に実体経済の先を見に行く傾向があり、経済活動の急激な落ち込みは外部要因によるもので、短期間で解消されるとの期待がある。」

「危機はチャンス!」とばかりに、休むことなく回り続けている金融市場に投機マネーが蠢く姿が浮かびます。日本政府による117兆円規模の緊急経済対策も、コロナ後の「V字回復」に焦点を据えたもの。日銀緩和の大洪水マネーは「わが亡き後に洪水よ来たれ!」の叫び声のようです。

原油先物のマイナス価格によって、無数の原油タンカーが行く当てもなく海洋を漂うデータ画像なども話題になりました。まるでパイレーツオブカリビアンの幽霊船。資本主義システムは勝手に沈没しほしいですが、たくさんの人々を巻き添えにしながら、何とか生き延びようとのたうち回るのです。

グリーン・ニューディール、SDG(持続可能な開発目標)やESG投資(環境・社会・企業統治に配慮した投資)、そして「新しい日常」……、資本主義システムはみずからの延命のために必死です。

オルタグローバリゼーション運動は、まったく違った新しい非日常の生活に踏み出す必要があります。
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