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彼らのパンデミック恐慌と我らのパンデモス連帯

◎パンデミック恐慌

中国発の新型コロナウィルス感染の拡大を発端とする金融市場の危機、ぼくは「パンデミック恐慌」と呼ぶことにしました。「危機」も「恐慌」も英語ではどちらも「crisis」。

リーマン恐慌はグローバル資本主義の「頭脳」アメリカが発信源でした、今回のパンデミック恐慌の発端はその「心臓」?あるいは「背骨」?ともいえる中国での新型ウィルス感染の流行でした。生命遺伝子のように無限の増殖を求める資本の運動は、血管のように世界中に張り巡らされたサプライ・チェーン(供給連鎖)やバリュー・チェーン(付加価値連鎖)、そして日経平均やダウ工業指数などの架空資本の金融市場を通じて、有限の地球環境と人間に対する搾取による資本蓄積を続けてきましたが、「パンデミック恐慌」という名のウィルスもまた、同じ血管を通じて全世界に拡散されつつあります

◎危機をコロナのせいにするな

途上国債務の帳消を訴えてきた第三世界債務帳消委員会のエリック・トゥーサンは、コロナは市場暴落のきっかけに過ぎず、危機の原因である異常な架空資本の積み上がりは2017-18年にすでに危機的だった、と分析してます。さすがです。1年ぶりくらいに同委員会のサイトをgoogle翻訳を使ってみましたが、さすがいい論文ばかりです。

No, the coronavirus is not responsible for the fall of stock prices
5 March by Eric Toussaint
https://www.cadtm.org/No-the-coronavirus-is-not-responsible-for-the-fall-of-stock-prices

◎闘争と敗北の10年の後に

僕が一番興味があるのは、恐慌そのものではなく(エスタブリッシュメントたちがどのように対応するのかは大変興味があるのですけど)、危機のツケを押し付けられるであろう労働者や社会的弱者たちの境遇であり、そして危機に身を屈めた彼女ら彼らが、そのくびきを打ち破るように屈めた体をせいいっぱいに伸ばして飛躍できるのかどうか、ということです。

08年9月のリーマン危機を振り返ると、リーマン危機後のオキュパイ運動、スペインM15運動からのポデモス誕生、ギリシャ危機からのシリザ政権、そして何よりもチュニジアからのアラブの春という一連の世界規模の革命がありました。しかしいまだ果敢な闘いが続いているとはいえ、その多くは敗北しています。

そして日本の10年はどうだったでしょうか。民主党政権誕生から自壊(自分で壊れた、自民党に壊された)、そしていまの安倍政権へと続いています。同じ轍を踏まないようにしたいものです。巨大化した危機の敗北はさらに大きな反動をもたらすからです。

◎「人民戦争」のメッキがはがれた後に

どこから危機の裂け目が来るかはわかりませんが、中国発の危機ですから、当然中国にも注目してます。なんといっても「人民戦争」真っ最中ですから。メッキのはがれた人民戦争の次に来るのは落胆と怒りでないという保障はどこにもありません。

◎彼らのパンデミック恐慌と我らのパンデモス連帯

これまでも危機の犠牲は常に社会的弱者や労働者に押しつけられてきました。「非正規という言葉をなくす」と豪語したアベノミクス劇場の最終章が「パンデミック恐慌」になるのかどうかわかりませんが、これまでも、そして今まさに犠牲になっているのは不安定雇用の労働者たちです。くわえて家父長制システムが危機をさらにジェンダー化しています。

この「悲劇」をさらなる「惨劇」に終らせないためにも、いまこそパン=すべての、デモス=人々が、パンデミック恐慌のさなかに強行されてようとするショック・ドクトリンへの反対闘争を通じて社会的連帯を取り戻すべきではないかと思います。

プロローグ「惨劇」を書き換えることができるかどうか。すべての歴史は階級闘争の歴史。

パンデミックとはギリシャ語の「パン=すべての」と「デモス=人々」が語源の英語だそうです。新自由主義グローバリゼーションV.S.反(動的)グローバリゼーションという構図に変わる、生産者と被抑圧人民を中心としたパン(すべての)デモス(人々)による真の国際連帯を通じた国境なきアジアと世界。

それこそが彼らのパンデミック恐慌に対する我らのパンデモス連帯でないかと思うのです。

※この記事をUPする直前に、Pandemosって、ギリシャ神話のアフロディーテの下の名前だという事を知りました。皆さん知ってました?バルファキス教授なら本に書いたでしょうね、このエピソードも。なので、この画像なんです。

pandemos.jpg


以下、昨日今日の報道から。

◆3月17日

◎日銀、3年8か月ぶりの追加緩和
16日に初めての前倒しで開催された金融政策決定会合で、1)上場投資信託(ETF)の購入枠を6兆→12兆に倍増。2)不動産投資信託(REIT)の購入枠も倍増の1800億円に増加。3)企業資金繰り支援として民間銀行に金利0%で最長1年の資金供給。4)マイナス金利の拡大は見送り。5)景気判断を「緩やかに拡大」→「弱い動き」に引き下げ。3年8か月ぶりの緩和。15日のFRBの緊急利下げに追随した形。黒田総裁「2倍の大きさ、スピードで市場に働きかける」

日本銀行20200316「新型感染症拡大の影響を踏まえた金融緩和の強化について」
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/k200316b.pdf

◎6中銀のドル供給
16日、米ドル資金の流動性供給を確保するため、日本銀行、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、米国連邦準備制度およびスイス国民銀行と協調して、資金供給オペについて、貸付金利を 0.25%引き下げるとともに、これまでの1週間物に加え、3か月物を週次で実施することを公表。

◎日経平均、ダウともに続落
16日、日経平均は一時1万7千円を割り込む急落。JPモルガンによると16日の株価急落で、日銀保有のETFの含み損は1兆円増加し、3兆8千億円に。買えば買うほど含み損は当然増えるが、買わざるを得ない。四日連続で下落し、終値は429円01銭安の1万7002円04銭。
ダウ工業株30株平均も急落。下げ幅は一時2700ドルを超え、12日の過去最高下げ幅(2352ドル)を上回る。先週末比で2250ドル安の2万0935ドルで取引開始。7%以上の急変動で発動される「サーキットブレーカー」が発動し取引を(15分?)停止。9日、12日にも発動。取引再開後も下落し2万0387ドルの安値(2017年2月以来)を付けた。
欧州株も軒並み10%前後の大幅安。

◎安倍、いまだに「V字回復を」
安倍首相、参院予算員会で「しっかりとV字回復していける、今までの発想にとらわれない対策を取っていく」。しかし、想定する対策は今までの発想そのまま。キャッシュレス決済でのポイント還元の増大など。V字回復も笑わせる。公共料金や納税支払い猶予などもある。

◆3月16日夜

◎米、4年3か月ぶりのマイナス金利へ
3月15日には日曜日にもかかわらずアメリカの連邦準備制度理事会(FRB、中央銀行)が臨時の会合を開き、1%の緊急利下げを決定。一般的な変動幅は0.25%であり、危機が深まっていた3月3日でも0.5%の金利下げ幅だったが、今回は一気に1%も下げた。これによって主要政策金利は0〜0.25%となり事実上のゼロ金利となった。ゼロ金利の復活は4年3か月ぶり。金融市場の資金繰りをやりやすくする。あわせて7000億ドル(約74兆円)規模の量的緩和(通貨供給量の増加)も実施する。今後数か月で米国債を銀行から5000億ドル、住宅ローン担保証券を証券会社から2000億ドル買い上げて、金融市場に資金を行きわたらせることが目的。

◎6中銀が低金利のドル融資で協調
海外で企業がドル資金を調達しにくくなっているため、FRB、日銀、ECBなど六つの中央銀行がドル資金を民間金融機関に貸し出す際の金利を強調して下げる。

◎日銀、初めての前倒し金融政策決定会合でETF買入額を6兆→12兆円へ
3月18、19日に予定していた日銀の金融政策決定会合を2日前倒し(初めて)し、上場投資信託(ETF)の年間購入額を6兆円から12兆円の倍に引き上げた。東京証券市場の暴落を食い止めるための措置。


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