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よくそんなことが言えたものだ~気候人民戦線に反対する

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「よくそんなことが言えたものだ。」

この投書を読んで即座にグレタさんの名セリフが浮かんだ。

2020年3月9日付の東京新聞朝刊に掲載された、日独がけん引して温暖化対策をとるべきだ、というNPO理事の投書を読んでのことだ。

投書の内容からして、この理事は東京新聞の「22日の社説『化石燃料削減 脱原発との両立を目指せ』に大に賛成である」と書いているとおり、気候変動にも脱原発にも大変理解のある方のようだが、一緒にグレタさんへの「失望」も語っている。

曰く、

「グレタ・トゥンベリさんが『原子力は、脱石炭を目指すエネルギー問題のささやかな解決策になり得る』とフェイスブックに投稿したとの報道には、少なからず失望した」

よくそんなことが言えたものだ。

こう怒りをあらわにするのは、じつはごく最近やっと『グレタ たったひとりのストライキ』(羽根由、訳/海と月社)を読み終えたところだからだ。この本はグレタの母親が書いたものだが、グレタ一家(両親、本人、妹)の共著となっている。

「グレタは原発には反対しない」というあやふやな伝聞をどこかで聞いたような気がしてたのだが、それを反駁するグレタの主張(226~228頁、一番最後に引用します)を読んで、喜びの余り知り合いにメールしたばかりだったから、この投書に対して、「よくそんなことが言えたものだ」と即座に反発したのだろう。

いや、この投書よくよく読むと「…との報道には、少なからず失望した」とあるので、東京新聞の「報道」(社説)に失望したのかもしれない…。

ということで東京新聞2月12日の社説から引用する。

「原子力の活用は、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(17)が国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書を引用する形で『原子力は、脱石炭を目指すエネルギー問題のささやかな解決策になり得る』とフェイスブックに投稿して以来、改めて注目されるようになった。」

https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2020021202000129.html

よくそんなことが言えたものだ。

本当にグレタはそんなことを言ったのか?英語が読めないので仕方ないので、莫大なエネルギーを消費して維持されているインターネット網を利用して、greta、nuclear power、facebookと検索してみると、すぐにグレタさんのfecebookにヒットした。

https://www.facebook.com/732846497083173/posts/on-friday-march-15th-2019-well-over-15-million-students-school-striked-for-the-c/793441724356983/

たぶんこの個所のことだろう。

「Personally I am against nuclear power, but according to the IPCC, it can be a small part of a very big new carbon free energy solution, especially in countries and areas that lack the possibility of a full scale renewable energy supply - even though its extremely dangerous, expensive and time consuming. But let’s leave that debate until we start looking at the full picture.」

仕方ないので莫大なエネルギーを輩出している巨大企業の広告料や個人情報の商品化でボロもうけしながら適切な税金を払っていないGoogle先生の翻訳に頼るとこんな感じだ。

「個人的に私は原子力に反対していますが、IPCCによれば、非常に大きな再生可能エネルギー供給の可能性を欠いている国や地域では特に、非常に大きな新しい二酸化炭素を含まないエネルギーソリューションのほんの一部です 危険で、高価で、時間がかかります。 しかし、全体像を見始めるまで、その議論を残しましょう。」

これのどこか「容認している」ことになるのか。ハッキリと反対しているではないか。しかも2019年3月17日、一年近くも前の投稿だ。

よくそんなことが言えたものだ。

それともそれ以降、他にグレタが原子力発電を容認した投稿をしているのだろうか。もしそうなら教えてほしい。

もちろんグレタの言葉尻をとらえて、原発大国のスウェーデンの資本家や政治家たちは「原発はクリーンです」と言っているのだろう。しかしそれでグレタが原発を容認したことにはならない。しかもグレタは本の中でも強烈に自国の気候変動対策をこっぴどくこき下ろしているし、原発批判の箇所を読めば、彼女がどうそれに反論するのかを想像することは難しくないだろう。

よくそんなことが言えたものだ。

さらにそんな思いに駆られるのは、この投書の趣旨が、日本政府にリーダーシップを発揮してほしいと懇願していることだ。最後の箇所を引用する。

曰く、

「日本は1997年に京都で開催された気候変動枠組み条約第三回締約国会議(COP3)の議長国として、先進国の温室効果ガス排出の削減目標を定めた京都議定書採択を導いた。『化石賞』の汚名を返上するためにも、水素やエネルギー貯蔵、次世代送電網もスマートグリッド等で日独が互いの強みを生かして連携し世界の地球温暖化対策の牽引役となってほしい」

よくそんなことが言えたものだ。

グレタが事あるごとに批判している「削減したフリ」「実質ゼロ」や炭素の価格付けなど、気候変動対策の「抜け道」の道筋をつくったのは他でもないこの京都議定書からである。

これまでさんざん気候を汚染してきた犯罪者らに求めるのは、リーダーシップなどではなく、それ相応の責任=罪を償う事である。

よくそんなことが言えたものだ。

日本の社会運動団体のなかからも、そんなことを平然と言う声が聞こえてくる。

よく恥ずかしげもなくそんなことが言えたものだ。

流行りのSDGsや企業の「責任ある投資」など、企業の気候変動対策に期待を寄せる向きもある。当然、かれらが気候変動対策を取らなければならないのは確かだ。しかしいま企業がやっている気候対策は「計算上は温室効果ガス排出ゼロだけど実際にはどんどん排出している」というもの。グレタはそれについてもこっぴどくこき下ろしている。

「企業も庶民もみんな一緒に協力してやりましょう。だけどリーダーシップは企業が撮りますよ」という気候人民戦線には、(温室効果ガスを排出して申し訳ないが)反吐しかでない。

『グレタ たったひとりのストライキ』には、たったひとりではないグレタとその家族、そして友人たちのストレートな思いが詰め込まれている。グレタをディスる主張はほとんど相手にする必要はないが、逆に気候変動の問題をしっかりと把握しながらも、前科者でまったく反省も更正もせず、理解者ぶりを示しながら対策を先送りし、抜け道を使って相も変わらず温室効果ガスを排出しつづける企業や政治家の取り組みに期待を寄せる大人たちとそれを真似る優等生たちがグレタを持ち上げるとき、そっとこう囁くようにつぶやくのだ。

よくそんなことが言えたものだ、と。

もちろん『グレタ たったひとりのストライキ』でも、有名人や指導者こそ期待を寄せる主張が見られなくもない。(160~161頁「『スター』が未来を書き換える」など)

グレタはいろいろな国際会議で指導者に変わってもらうよう訴えている。だが本当に必要なことは指導者に変わってもらうことではなく、指導者を変えることである。

3月8日、国際女性デーの日のグレタのfacebookの投稿は、気候変動の影響を一番受けるグローバルサウスの女性たちに言及している。

Today is #InternationalWomensDay and we recognise that women are still far from equal to men in today’s societies. We still have a very long way to go.
Those who will suffer the most from the climate- and environmental crisis are the ones who are already the most vulnerable, socially and financially. And that tends to be women living in the global south... We can not have climate justice without gender equality.
And remember; what we women want today - and every day- is fundamental equal rights, not congratulations or celebrations.

これも読めないので、google先生に翻訳してもらう。

「今日は#InternationalWomensDayです。今日の社会では、女性は男性と同等ではありません。まだまだ長い道のりがあります。
気候と環境の危機で最も苦しむのは、社会的、財政的に最も脆弱な人々です。そして、それは世界の南(原文はglobal south=グローバルサウス:引用者)に住んでいる女性である傾向があります...私たちは男女平等なくして気候正義を持つことはできません。
そして覚える; 私たち女性が今日、そして毎日望むものは、基本的な平等の権利であり、お祝いやお祝いではありません。」

まったくもってたいしたものだ。気候変動に取り組んでいるどれだけの日本の企業や政治家などのリーダーが、この「グローバルサウス」という考えを共有しているだろうか。

https://www.facebook.com/gretathunbergsweden/photos/a.733630957004727/1077351539299332/

グレタを批判する人々や、逆にグレタを持ち上げる気候人民戦線の人々へ

よくそんなことが言えたものだ。

以下、『グレタ たったひとりのストライキ』の226~228頁からの引用です。ぜひ買って読んでください。

+ + + + +

「それから、原子力について話す人たち」と彼女(グレタ)は続ける。「あの人たちは、原子力のことしか話題にしない。気候危機や環境危機なんて存在しないかのように、原子力のことだけしゃべりたいの。だから事実を知らない。……『じゃあ、原子力についてどう考えるのか』って言いたいだけ。そして、未来社会の問題を全部自分の手で解決したかのような笑みを浮かべる。だけど恐ろしいのは、多くの政治家もおなじってこと。内心では、原子力ではもう解決できないって知っているのに、同じことを繰り返している。」

「科学者はどう言っているの?」と私(マレーナ・エルマン=グレタの母親)が聞くと、スヴァンテ(グレタの父親)が答えた。

「IPCCは、原子力は大きな包括的解決策の小さな部分にはなりうると言っている。でもエネルギー問題は再生可能エネルギーでしか解決できないとも言っている。……原子力に置き換えるなら、明日にでも何千もの発電所が必要になる。だけど、原子力発電所は完成までに10~15年はかかる…」

「そう、私たちには新たな非化石燃料が膨大に必要。それも、いますぐ」とグレタは言った。「一番安くて早いベストの代替手段に投資する必要がある。それなのに、どうして建設に10年もかかるものに投資しなくちゃいけないの? 太陽光や風力を利用した発電所なら数か月で完成するのに、どうして、どの会社も投資したくないほど費用のかかるものに投資しなくちゃいけないの?…全然リスクがないものがほかにもあるのに、どうしてリスクが高いものに投資しなくちゃならないんだろう?既存の核廃棄物の最終処分の問題だって解決していないのに。…原子力は現実可能な代替手段じゃない…」

(スヴァン)「…原子力は、気候問題の解決を遅らせたい人たちにとって最良の友だ。自分もそうだったから、よくわかるよ。原子力発電を続けることはいい解決策だと、僕も以前はそう考えていた。それを完全に閉鎖しろと主張する環境活動家たちに対し、なんて後ろ向きなんだろうとうんざりしていた…。君は原子力を話題にするのを絶対に避けたほうがいい。人々が完全な解決策について話さないのは、それに興味がないからだろう。5年や10年前だったら、また違ったかもしれない。そのころには、原子力発電の拡大は解決策の一部だという機運がまだあった。でも、べつの危機が起こってしまった…」

(この会話はグレタがストライキをはじめた2018年8月~9月の間のことだと思われる:引用者注)
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