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古い「六四」が忘却させられても、新しい「六四」が準備されつつある

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100年前の6月4日、五四運動の盛り上がりを受けて、全国で学生連合会が結成された勢いで、北京で学生たちが、日本の山東省略奪を認めるパリ講和条約を受け入れるな、と街頭に繰り出して、800人が逮捕されるという大弾圧を受けました。

翌6月5日には、前日の北京での大弾圧に抗議するとして、上海全市でのストライキが打たれました。上海の日系企業の内外棉第三、第四、第五紗廠、日華紗廠や、上海紗廠と商務印書館の労働者もストに突入。全市で約2万人の労働者が抗日ストに突入しました。翌日6日からは電車、港湾、清掃、水夫などもストライキに突入し、規模は6万人以上に膨れ上がりました。

100年後の中国では、情報統制や厳戒警備など、厳しい状況が続いており、若い世代のなかでは6月4日が何の日か知らない人も多いようですが、若い世代によるこんな訴えがあります、ということで以下ざっと訳しました。

原文「舊六四被遺忘,新六四在醖釀」は香港の社会運動ウェブサイト「無國界社運/Borderless movement」に掲載されたものです。

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古い六四が忘却させられても、新しい六四が準備されつつある

張洪斌

30周年なので、検閲に巨大な力が割かれていることは意外ではない。ウェブ上の言論を監視するウェブ管理会社では、残業してまで疑わしい単語、音声、画像、スラングを削除しまくっている。人工知能(AI)の発達によって網から逃れる魚はますます少なくなっている。歌手の李志はツアーの最中にウェブのアカウントを凍結された。彼が歌う天安門事件を題材にした「広場」という歌曲は、何年ものあいだ禁止されているのに。佳士(ジャシック)の労働争議を支援した多くの学生たちの行方はいまだ分らず、釈放された学生たちも弾圧されたり監視下に置かれたりしている。110番の再ブームはバーチャルの世界から現実の世界へと広がりを見せている……。

1989年以降に生まれ育った若い世代にとって、この時期の歴史はまったく不案内だということでもないが、それを記憶しなければならないという義務感を持つものはごくわずかだ。

しかし、中国の支配者にとって、歴史の抹殺に成功した意義は小さくなりつつある。というのも、別の大規模な反乱の舞台がすでに設営されているからだ。5月には国務院(内閣)に雇用業務指導チームが設置されたことで、失業の巨大な波が間もなく押し寄せようとしていることが間接的に立証された。ある研究者によると都市部における実際の失業率は15%に迫るという。豚肉と果物の高騰がインフレーションの影を人々に感じさせている。株式市場の暴落、工業災害、疫病の蔓延などが、政府の信頼度を引き下げてきた。貧富の格差は危険水域にまで拡大しようとしている。2017年に国家統計局が発表した中国のジニ計数は0.4670だったが、2018年に世界銀行が発表した数字は0.789にまで高騰していた。反腐敗を名目にした官僚の粛清は支配階級の内部矛盾を加速させている。中下層の官僚になると誰一人として危険にさらされていないものはない。高い家賃と996労働時間[朝9時から夜9時まで週六日働く]につぶされる都市部の青年層からの不満の声はやむことなく、30年も苦しんできた農民らは誰よりも現政権をよくは思っていない。大気、水、土壌の汚染は驚くべき水準に達しており、環境のために街頭をデモする巨大な人びとの群れは全国各地でみられる。老齢年金の受給者の暮らしは綱渡りで、地方政府の財政赤字はどんどん膨れ上がるが、中央政府は莫大な資金を遠洋対応が可能な海軍の建設に注ぎ込んでいる。しかし退役軍人の待遇はお粗末極まりなく、それが理由で2018年には老兵の群衆があちこちで陳情行動に出たりした。ウェブや流行文化に対する検閲はより若い世代の市民の恨みを買っている。アカウントが凍結されるたびに、日本のアニメ作品の一部が禁止されるたびに、台湾や香港を含む海外の芸能人がブラックリストに載るたびに、それらのファン達は、自分自身の意識形態を深く考えなおさなければならない……

このような状況にもかかわらず、中国の支配集団(あるいはその一部)は、世界の覇権争いに幻想を持ち、世界最強の国家との貿易戦争をも厭わない。ライバルは世界最大の帝国主義国家であるにもかかわらず、あちこちのすねに傷のある中国共産党を前にすると、このライバルは、道徳の分野ではやすやすと高得点をマークすることができる。というのも、少なくとも自国の学生運動を戦車で押しつぶしたことがないからだ。この帝国主義の最終目標がなんであるかは別として、中国共産党に対する強硬路線が、中国国内の反対派にとってこの30年のあいだで最もチャンスに恵まれた時期が到来したと信じさせる事態になっている。

AIによるウェブの監視と削除、ビッグ・データを用いた世論統制、秘密裏の逮捕、強国主義の学習、映画「戦狼(ウルフ・オブ・ウォー)」、新たなスパイ組織の設立、公務員の賃上げ、「中共が統治しなければシリアになる」といった姑息な宣伝などでも、いま起こりつつある反乱の爆発を抑え込むことはできない。中国共産党の政策決定者は、実弾による鎮圧の選択を迫られるだろう。

つまり、ある意味においては、「六四」は私たちからどんどん遠くなっているが、わたしたちの世代の若者らは、自分たち自身の、そして避けることができない試練を経ることになるかもしれないということだ。外の世界からの圧力、国際連帯、支配者の人道的手段への回帰によって、歴史が再演[血の弾圧]されないことを、誰もが望んでいる。

だが、より重要なことは、もしわたしたちの世代が再び街頭や広場に繰り出すことを決めたならば、強固な意志と溢れる知恵と十分な勇気を、無数の弾圧された人々に、恐怖で躊躇する人々に、傍観している中下層の官僚たちに、どうしていいか分からずに躊躇する兵士たちに、歴史の犯罪者になることを心配する命令伝達者らに示すということだ! わたしたちはこれらの人々に対して、いったい誰が歴史の勝者なのかを証明し、人々がわたしたちの隊列に参加するよう説得しなければならない。これこそ流血の事態を避ける最良の方法なのだ。

もちろん、その試練の際には状況はいつになく複雑化しており、その対処も、こうして灯りのもとで文章を書くよりも何千倍、何万倍も困難を極めるだろう。しかしわたしは、この困難な挑戦のために立ち上がる無数の若い世代の存在を信じている。なぜならこのチャンスをみすみす逃して、同じような生活をさらに30年も続けたいとは思わないし、それ以上に、私たちの次の世代に対して、恐怖、貧困、そして尊厳のない日々を過ごさなければならい状況を残したくないからだ。

天安門事件の犠牲者の真の追悼とは、事件を記憶させることでもないし、現政権による事件の名誉回復でもない。真の追悼とは、わたしたちの世代の挑戦と抵抗が勝利するということだ!
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