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今日までのあらゆる気候変動の歴史は、階級闘争の歴史である

昨日、このブログで、日経電子の版のブログ話で、アベノミクスでの雇用増168万人のうち、94%は65歳以上で、82%は女性だった、という記事を紹介しましたが(こちら)、今朝の日経新聞朝刊一面コラム「春秋」でも、同じ記事について、隅田川を散策しつつ感じた事を、やや感傷的に触れています。人生100年時代についても。僕のブログとは違い、教養や人生がにじみでる内容です。

日経新聞2018/4/10 コラム春秋
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO29190830Q8A410C1MM8000/

雇用増168万人のうち82%は女性だった、というのは「女性の活躍」との絡みで、どう考えればいいのか、ちょっと考え中ですが、94%が65歳以上ということなので、「逆姥捨て山」で、女性を死ぬまで搾取すると考えるか、あるいはケア重労働を低賃金で担わされているとかんがえるか、いろいろ現場の声を参考したいですが、日経・電子の版つながりで、総会でも紹介した「祝融夫人」の作品を。これは先日、千代田線・北千住のホームで撮影したものです。北千住、なかなかやるな。

2018040118320001.jpg

日経電子の版・祝融夫人の巻「いわれなくても…」

別の夫人には、もう少し「活躍」してほしいですが…。

さて、本題。

ホントの本題は、今朝の日経一面トップの「電力の海外進出 促す」「政府 インフラで規制緩和「アジア需要取り込む」という記事です。JBIC(国際協力銀行)やNEXI(貿易保険)の資金(税金です)や信用を利用して、「日本の商社や重電メーカーが手掛けている案件に参画しやすくなるよう規制を緩める」というものです。資本の輸出、気候変動、一帯一路(昨年末に利用に転じる)、不当債務などの立場から批判満載の内容です。

「日本では商社が海外で発電事業などで先行。総合商社7社は海外で原子力発電所40基分に当たる4000万キロワット弱の発電能力を持つ。丸紅が1200万キロワットで最も多い。」

これ、典型的な帝国主義的商社案件です。

記事にはこんなことも。

「東京電力ホールディングスは収益力強化に向けて海外展開を目玉にすえる。ただ、資金的に余裕がないため、単独で新規模の大規模案件を手掛けることは難しい。(規制緩和による)一部権益の譲渡が認められるようになれば、展開がしやすくなる可能性もある。」

この記事を、福島をはじめ原発事故で生活をめちゃくちゃにされた人たちがみたらどう思だろう……。

もう7年近く前になりますが、「今日までのあらゆる気候変動の歴史は、階級闘争の歴史である」と何かの学習会で提起したことがあります。いわゆる「エコ社会主義」です。

以下、エネルギー問題を扱った箇所をちょっと抜き書きしてみます。データはやや古いですが大きな傾向としては変わってないでしょう。

+ +(以下、レジメより抜粋)+ +

■温暖化ガス排出を増大させるエネルギー消費の増加は機械化=資本の有機的構成の高度化による

資本主義の根本問題として、気候変動をとらえる。

◎産業別の温室効果ガス排出の割合
・世界(490億CO2トン、2004年)
 エネルギー供給25.9%
 産業19.4%
 林業17.4%
 農業13.5%
 輸送13.1%
 建築物7.9%
 廃棄物及び排水2.8%

・日本(13億400万トン、2007年)
 エネルギー転換部門33.8%
 産業部門(含む農林水産)29.7%
 運輸部門18.5%
 オフィス等6.7%
 家庭4.8%
 工業プロセス4.1%
 廃棄物2.4%

→石油や石炭から電気などを作るエネルギー部門からの排出がもっとも大きい。

資本主義の本質は、労働者階級が生み出す剰余価値の資本家による占有であり、剰余価値を増大させるために階級闘争がおこなわれる。資本は剰余価値を増大させるために、労働日の延長という「絶対的剰余価値」のほかに、資本の有機的構成の高度化による「相対的剰余価値」を求めようとする。つまり剰余労働の増大=必要労働の縮小である。

労働力の再生産に必要な必要労働を縮小させるには、生産必需品を生産する産業諸部門の生産力を増大させなければならない。それは、協業、分業、マニファクチュア、機械制大工業によって歴史的にもたらされてきた。機械化=資本の有機的構成の高度化は剰余価値獲得の方法。(また機械は口答えしないしストライキもしない。逆に労働者を「監督」する。)

機械化の増加はエネルギー投入量の増加でもある。電気の使用は、絶対的剰余価値の増加(夜間の労働)、相対的剰余価値の増加(照明による労働生産性の向上)にも役立ってきた。

「生産に利用される光に当てはまることは、熱や、動力や、電波のような他のエネルギー形態にも等しく当てはまる。財産所有権を保護する(例えば光の利用によって)、労働者を支配する、生産を管理する、生産過程を不熟練化する、生産速度を速める、輸送の速度を速める、等等のために機械を使用するにつれて、資本はますますエネルギーを必要とする」(『資本主義とエネルギー危機』18頁)

つまり資本の利潤獲得に必要な有機的構成の高度化=機械化された生産のために、エネルギー消費がますます必要になり、そのエネルギー(おもに電力)を生み出すために大量のCO2排出は避けられない。

だからこそ各国の大資本家、資本家政府は必死になって排出削減に抵抗している。資本主義の本質との対決なくして、現在の温室効果ガス排出削減を勝ち取ることはできない。

また日本の運輸部門の90%は自動車が占めている。一人を運ぶために必要なエネルギーは鉄道が最も少ないことから、公共運輸サービスの拡充も重要になる。

◎エコ社会主義の政策として、その他あげられるのは…

・信用機関およびエネルギー・セクターの没収
・労働時間の大幅削減(「半日労働」に向けて)と労働のリズムの軽減
 ―賃下げを伴うことなく、労働者の追加雇用を伴う
・資本家の利益に対する高率の課税
・可能な限り広範な生産の再配置―とくに「農民による農業」への支援を通じた農業の再ローカル化
・公共住宅および交通のためのイニシアチブ―特に、消費の様式の転換のために不可欠である
・独占資本の利益を原資とする世界規模の(気候変動の影響への)適応のための基金の設立
・研究のための公共的資金、研究の産業への従属の廃止、南の諸国へのクリーン技術の移転
・これらのすべてのレベルの政策への住民および地方自治体の民主的参加と管理

+ +(以上、レジメより抜粋)++

「信用機関およびエネルギー・セクターの没収」ってのが、ありましたね。

「気候(温暖化)輸出」という、現代における帝国主義の在り方をエコ社会主義の立場から批判し、System Chang not Climate Chang!を叫ぶ人間が、一人くらいいてもいいでしょう。

染井吉野が散り八重桜が大きな頭をもたげる飛鳥山を歩きながら、そう考えています。
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