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「経済成長に貢献する気候変動対策」ってどうなんですか?

一昨日の安倍首相の所信表明演説、「東日本大震災からの復興」という箇所では、こんな風に述べています。

+ + (以下引用) + + 

(東日本大震災からの復興)
 東北三県では、来年の春までに、九十九%の災害公営住宅の建設、高台移転の工事の九十八%が完了する見込みです。
 「私たちの町が大好きです。」
 先般訪れた岩手の大槌高校では、高校生たちが、町の将来を真剣な眼差しで語り合っていました。震災の困難を、自らの力で乗り越えようとする彼らの思いを胸に刻み、これからも復興に向けた街づくりを力強く後押しします。
 「東北の復興なくして、日本の再生なし」。その決意の下に、引き続き、生業(なりわい)の復興、心の復興に、全力で取り組んでまいります。
 福島では、帰還困難区域において復興再生拠点の整備が動き出しました。二〇二二年度を目指し、除染やインフラ整備を進めます。その上で、どんなに長い年月を要するとしても、全ての地域の避難指示解除に向けて、復興・再生を着実に前に進めてまいります。
 福島イノベーション・コースト構想が、いよいよ本格化します。浪江町では、この夏、世界最大級の水素製造工場の建設を開始します。再生可能エネルギーから水素を生み出す、まさに「CO2排出ゼロ」の新しいエネルギー供給のモデルです。オリンピック・パラリンピックでは、福島産のクリーンな水素を使って、「復興五輪」を世界に向けて発信してまいります。
 沖合では、世界初の浮体式洋上風力発電の本格稼働が始まりました。洋上風力発電の更なる導入に向けて、発電のために海域を占用することを可能とする新たな制度を整備します。
 原発事故で大きな被害を受けた福島において、未来のエネルギー社会の姿をいち早く示し、世界の脱炭素化を牽引してまいります。

+ + (以上引用) + + 

それにつづく「六 外交・安全保障」の冒頭の「積極的平和主義」の箇所の書き出しはこんな風です。

「パリ協定における二〇五〇年の目標に向けた戦略策定に取り組みます。日本の強みである環境技術で、世界の経済成長と気候変動対策の両立に貢献します。」

第百九十六回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説

「日本の強みのある環境技術」とは、石炭火力の高効率と原発のことでしょう。原発事故の記述のすぐ後に原発推進を語るなど、原発事故被害者をバカにするのもいい加減にして、とおもいます。

今朝の東京新聞の社説では「日本はといえば、COP23のさなか、米国とともに途上国で石炭火力と原子力を推進するためのパートナーシップ(JUSEP)に合意して、会場の批判を浴びた。国内での新増設計画は、約四十に上る。」と日本政府の姿勢を厳しく批判しています。

石炭依存 成長市場が遠ざかる(東京新聞2018/1/24社説)

しかし東京新聞の社説に大きな違和感を感じずにはいられません。

ひとつは、温暖化ガス排出削減の国際ルールをスポーツのルールと同じように考えているからです。

「スポーツの国際ルールは、頻繁に“改正”される。用具の規格や素材も変わる。このような変化が、日本の選手にとって不利になるのも、しばしばだ。かといって、不満をかこち続けていても始まらない。国際試合に出場し、メダルを獲得したいなら、ルールに合わせて選手の方が変わっていくしかないのである。」(社説)

しかし気候変動枠組み条約に対して、世界のクライメート・ジャスティスやシステム・チェンジを訴える人々が求めているのは、「先進国」により大きな削減、つまり歴史的に責任があることによる「差異ある責任」なのです。つまりペナルティなのです。オリ・パラでもわかるようにスポーツと政治は無関係ではありませんが、それでも同じルールで行われるスポーツと、差異ある責任が求められる気候変動への対応はまったく違います。

もうひとつの違和感。

じつは東京新聞の社説も「ペナルティ」について言及しています。一番最後のところです。

「石炭へのこだわりは今や“国際ルール”に背く。世界市場からの締め出しというペナルティーともなりかねない。こだわりを捨て、流れに乗って、再生可能エネルギーの成長市場に積極参入すべきである。」

東京新聞の社説のタイトルである「石炭依存 成長市場が遠ざかる」からもわかるように、東京新聞は、成長市場であるエコ(エゴ?)資本市場から締め出される「ペナルティー」について述べているのです…。

これって、どうなんです?

カネで排出権を買ったうえに、「囲い込み」でアジアやアフリカの農民や先住民を追い出す「市場ルール」にのっとった現在の制度にも問題はありますが、東京新聞の言う「再生可能エネルギーの成長市場」はそれをさらに加速するのではないでしょうか。

さらにいえば、炭素・核エネルギー市場から再生可能エネルギー市場への転換ではなく、エネルギーの市場から社会化への転換こそが必要ではないでしょうか。

東京新聞の「流れに乗って、再生可能エネルギーの成長市場に積極参入すべきである。」という社説の結論は、先に紹介した安倍首相の演説とも違和感なく融合します。

「日本の強みである環境技術で、世界の経済成長と気候変動対策の両立に貢献します。」(所信表明演説)

なんともお粗末な融合です。

経済成長に貢献する気候変動対策ではなく、経済成長を止める気候変動対策を。
System Change Not Climate Change!

cop23hambach.jpg
COP23期間中に行われたハンバッハ炭鉱での抗議行動の様子。ハンバッハン炭鉱についてはアタック関西ブログのこちらの記事を参照。

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