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政府開発援助(ODA)での武器の供与(インドネシアへの巡視船供与)に強く抗議します

日本政府がODAを通じて武器輸出をしようとたくらんでいます。すでに供与先のインドネシア政府とは契約が成立したようですが、ひどい話です。「海賊行為の取り締まりのため」といいますが、貧困解消支援のためのODA(実質的には日本企業のための、あるいは途上国を縛り付けるためのものですが)が、武器輸出に使われることに反対の声を上げよう。

以下は、ジュビリー九州の声明です。
外務大臣 麻生太郎殿

政府開発援助(ODA)での武器の供与(インドネシアへの巡視船供与)に強く抗議します

わたしたちは、全ての人が人間らしい生活をおくれる世界の実現のために、政府開発援助(ODA)資金が適正に使われる事を願い、活動している市民グループです。
去る6月3日、国際的なテロ対策の一環としてマラッカ海峡の治安維持のために巡視船3隻がODAでインドネシア政府に無償供与されるというニュースが新聞各紙に報じられました。巡視船は政府の見解によっても「武器」に該当し、これは初のODAによる武器供与に当たります。
2003年にODA大綱が改定されました。旧大綱では二番目の項目に置かれていた「軍事転用・国際紛争助長の回避」を含む四原則が、基本理念ではなく実施の際に考慮する「援助実施の原則」に後退し、「日本の国益を目的としたODA」、「援助の”戦略的”実施」という言葉が堂々と政府関係者の口から語られるようになるのを見るにつけ、ODAが日米安全保障体制の為のフレキシブルな資金源として使われるのではないかという危惧を抱いていましたが、今日、それが現実のものとなってしまいました。
従来からインドネシアへの日本のODA供与額が多かったのは、インドネシアが国内に豊富な天然資源を擁し、また中東から日本への原油輸入の生命線であるマラッカ海峡があるという、極めて日本側の国益に偏した理由からでした。その防衛のための巡視船供与はDAC(OECD開発援助委員会)によるODAの定義(開発途上国の経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目的としていること)に反していると思われます。
また、アチェ、マルク、パプアなどではインドネシア国軍・警察による市民の生命・人権侵害が多数報告されています。「テロとの戦い」名目による武器供与は、逆に新ODA大綱に謳われている「人間の安全保障」を侵害する事にもなりかねません。一方的価値観により武器を用いて行われる平和構築が決してうまく行かないことは、今のアフガニスタンやイラクを見れば明らかです。
一方、世界には緊急に開発援助を必要としている分野がたくさんあります。日本はODAのGNI比がわずか0.19%でした(2004年度。国際目標は0.7%)。小泉首相は昨年グレンイーグルスサミットにおいて、今後5年間で100億ドルのODA事業量の積み増しを宣言しました。一方、国内の財政逼迫もあり、イラクへの債務帳消し分をODAにカウントしたり、債務問題を再度引き起こす可能性のある円借款を増やすことで、この約束額を表面上達成しよ うとしているという批判があります。今また、武器供与のために大切なODA資金を流用することを看過することはできません。
2003年のDACの対日審査でも、日本のODA政策は「日本は、ODAの第一の目的が援助受入国の開発であることを強調すべきであり、より狭い国益 が、この目的に優先しないことを確保すべき」「日本は、貧困国または(途上国国内の)貧困層にいかに焦点を当てていくのかについてのより明確な政策を形 成するべき」という勧告を受けております。
以上の理由から、私たちは今回の衆院外務委員会での麻生外務大臣の発言に反対すると共に、今月中に予定されている閣議決定を行わないよう強く求めます。
「援助」の本筋に立ち返り、真の国際平和と人間開発を目的とする援助を、開かれた政策決定プロセスの元で進めて頂くよう希望します。

2006年6月12日
債務と貧困を考えるジュビリー九州
代表 藤井大輔
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