民主自決派は初心を堅持し白票を投じる--香港行政長官選挙

昨日、香港の行政長官選挙がおこなわれました。

立候補できるのは、行政長官選挙委員の1194人から150名以上の推薦を得ることのできた候補だけです。

今回の選挙では、林鄭月娥(前政務司司長)、曽俊華(前財務司司長)、胡国興(元最高裁判事、選挙委員長)の3人が候補となり、1194人の選挙委員の投票の結果、林鄭月娥が当選しました。中国政府の暗黙の公認があったと言われています。

選挙委員会は大半が親中派が占めており、民主派の委員は300人程度ですので、どう頑張っても民主派の推す候補者は当選しませんし、そもそも事実上立候補すらできません。つまりこの枠組みでの選挙自体が欺瞞なのです。

2014年の9月から12月にかけて取り組まれた雨傘運動では、「我要真普選」というスローガンが掲げられました。「わたしは真の普通選挙がほしい」という意味です。行政長官選挙と立法会選挙における欺瞞的間接選挙の廃止は、香港民主化運動の大きな流れになりました。

しかし、今回の選挙では、既成の民主派政党は、「よりまし候補」として曽俊華に投票することを決めました。日本の報道でも曽が「民主派が支持する候補」と紹介されています。

しかし曽俊華は香港財政のトップとして新自由主義的な経済政策を進めてきた人物であり、100%の親中派です。とても民主派と言える候補者ではありませんでした。たんに中国共産党が推している候補ではない、というだけで民主化運動が支持する理由になるのでしょうか。

既成の民主派の「よりまし路線」に対する批判は、區龍宇さんの『香港雨傘運動―プロレタリア民主派の政治論評集』でも何度も強調されていました。

選挙結果は、林鄭月娥が777票で当選、曽俊華は365票、胡国興は21票でした。

今回の選挙では選挙委員のうち23人が白票を投じ、そのなかの民主自決派の立法委員(議員)らを含む8人の委員は、この欺瞞的選挙制度に抗議するために白票を投じると選挙前日に表明していました。

雨傘運動がもとめたのは「真の普通選挙」でした。しかし今回の選挙はその理念から大きく逸脱したものであり、白票を投じることで、雨傘運動の初心を貫きました。えらい!

これには「よりまし候補」を応援する既成民主派の支持者などから猛烈な批判が繰り広げられましたが、8人は断固として白票を投じました。敬意を表して名前を上げておきます。

朱凱廸立法委員(民主自決派)
劉小麗立法委員(民主自決派)
羅冠聰立法委員(香港衆志、民主自決派)
梁國雄立法委員(社会民主連線)
陳志全立法委員(人民力量)
張超雄立法委員(工党)
邵家臻立法委員(社会福祉業界選出)
丁惠芳(社会福祉業界委員選挙委員)

これらの議員を含む民主化運動団体の「選挙当日も朝から抗議のデモがおこなわれています(こちら)。

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庶民派の民主派政党の街坊工友服務処が「標準労働時間と市民の立候補権を」という要求を掲げてデモを行っています(こちら)。「自由貿易港」の香港では、いまだ労働時間の規制がありません(ですから法定割増賃金もないです)。

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一方、当選した林鄭月娥行政長官は「香港社会の亀裂を修復することが自分の役目だ」と発言しましたが、舌の根も乾かないうちに、雨傘運動を提唱した知識人や、運動を主導した当時の学聯の指導部などに対して、香港警察から「公衆妨擾罪」の容疑で今朝(27日)出頭命令が出されました。

現在までに警察からの出頭命令を受けたのは以下のみなさん。

陳淑莊(公民党立法議員)
邵家臻(社会福祉業界選出立法委員)
李永達(元民主党立法委員)
黄浩銘(社会民主連線)
鍾耀華(元学聯執行部)
張秀賢(元学聯執行部)
陳健民(オキュパイ提唱者)
戴耀廷(オキュパイ提唱者)
朱耀明(オキュパイ提唱者)

香港民主化のたたかいは正念場を迎えます。
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