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万人の万人に対する闘争~働き方改革実現会議の「同一労働同一賃金」という企み

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本当におかしな内容だ。

今朝の日経新聞(2016/12/16)の一面に「非正規にも賞与」「同一賃金へ支給求める」という大見な見出しが踊っている。

政府の働き方改革実現会議で示されるガイドラインの一部のこと。記事には「同一労働同一賃金のガイドラインの事例」として「賞与」「基本給」「手当」の事例が挙げられている。

「働き方」の改革ではなく、「終身雇用」という正社員制度を完全に葬り去るためのものにしか思えない。

たとえば、政府の言う「同一労働同一賃金」に反する事例としてこんなケースが挙げられている。

「賞与:正社員には職務内容や貢献にかかわらず全員支給しているが、非正規には払わない。」
「基本給(勤続年数で支払う場合):非正規で長く働いていても、その時点の短い雇用契約期間のみ評価した基本給を払う。」
「手当:同じ役職に就いているのに、非正規には正社員より低額の役職手当を支払う。」

うーん、これって、みんな正社員として契約すべき仕事なんじゃないの? なのに実態があまりに非正規(期間限定雇用)化され過ぎていること、そして資本の論理からはそれを是正しようとする姿勢がまったく見られないこと、そして現状の非正規化を追認・固定化するということに、働き方改革実現会議の狙いがあるのではないか。

雇用形態に関係なくすべて、「貢献」度合によって賞与を決める、となると、非正規なのに、つまり、いつでも首を切られるのに、「貢献」だけが求められることになる。

さらに言えば、正規職員の待遇を非正規並みに引き下げてしまえば、同一労働同一賃金には反しない。

非正規労働の蔓延は、労働者の権利を100年以上も前の資本主義に押し戻すことと同じであり、産業予備軍をそのまま常備軍化すること、つまり万人の万人に対する闘争を、社会全体だけでなく企業内においても貫徹させることに他ならない。資本主義グローバリゼーションに反対する社会運動の言葉でいえば、「底辺に向けての競争」ということになろう。

こいつらの狙いはそんなところにもあるのは間違いない。

7面ではもう少し詳しく、汚い企みについて述べている。

「企業の懸念は総人件費の増加にある。政府が講じるべきは、企業の生産性を高めることを後押しする改革だ。時間ではなく成果で評価する脱時間給を盛り込んだ労働基準法改革案は今国会でも成立が見送られた。経済界の不満は根強い。政府も企業も改革を求めるのであれば、自分たちも一歩を踏み出す必要がある。」

資本家政府と資本家が一歩を踏み出すということは、労働者が一歩後退するということだ。労働者は一歩も後退することなく、逆に一歩も二歩も前に踏み出せ。

昨日結審を迎えた東部労組メトロコマース支部の怒りの叫び(こちらの記事を参考)は、働き方改革会議の汚い企みを衝き、労働者が一歩も二歩も前に踏み出す力になる。

労働者は一歩も二歩も前に踏み出して、働き方改革実現会議の企みを踏みつぶせ。

参考:働き方改革実現会議(首相官邸)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/

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