パナマ文書(4) 規制強化に反対する日本財界

(4月16日に会員MLに投稿したものです)

[attac_ml:5996] Re:【4・17】税金は金持ちから取れ!~パナマ文書とG20:財務省前に集まろう
2016/4/16, Sat 14:05

こんにちは、いながきです。

熊本、たいへんな被害で心配です。

社会運動のいくつかのイベントは中止になったようですが、 attac午後の紅茶の時間は予定通り。

雨が少し心配ですが、attac関西のブログでも情報を掲載してくれていますし(http://attackansai.blog.eonet.jp/)、イベントに合わせて(?)パナマ大統領も来日するようですし、パナマ帽も用意したので、話題には事欠きません。

で、以下は関連の情報です。

====

今朝の日経新聞を見て「資本家万歳!資本家新聞万歳!」と思わずつぶやきました。

というのも今朝の日経新聞に、「税逃れの厳格化 EU対策に反発」「報告義務、G20ルールに上乗せ」という見出しで、こんな記事が掲載されたからです。

以下抜粋。

「EUが12日に提案した新制度は、グローバル企業がEU内に子会社を持つ場合、各国当局に納税情報などを提示するよう義務付ける。」

「G20と経済協力開発機構(OECD)が昨年まとめた国際ルールは、親会社が子会社の納税情報を含めて親会社がある国の当局に提供すればすむ。欧州に子会社を持つ日本の場合、日本の当局が必要に応じて欧州各国の当局に気に津情報の国外流出の懸念を強め、日本政府がルール作りを主導した経緯がある。」

「『せっかく各国が共通ルールでまとまったのに、独自の規制強化はおかしい』(経団連幹部)。経団連は19日に公表する『国際課税の提言』で、EUの新制度に抗議する。米国の経済界も反対の立場だ。企業の事務負担が増すほか、機密情報が漏れるリスクがあるからだ。来週、主要7カ国(G7)の経済界の代表が集まる会議でもEUの新制度に反対する声明をまとめる見通しだ。」

「G20とOECDの国際ルールには、企業の公平な事業活動を阻害しないようにする趣旨もあった。『EUの独自のルールは過度な節税策をしていない日本企業には受け入れがたい』(デロイトトーマツ税理士法人の山川博樹パートナー)という。」

以上抜粋。

この記事の何に小躍りしたのか、というと、「G20と経済協力開発機構(OECD)が昨年まとめた国際ルール」の欺まんが分かったからです。

この「国際ルール」、正式名称は「税源侵食と利益移転(BEPS)プロジェクト」。

2012年6月にOECD租税員会が提起し、メキシコ・ロスカボスG20サミットで承認された、多国籍企業の租税回避に対するOECDとG20の共同の取り組みでした。

その中心となったのはアジア人としては初めて2011年6月からOECD租税員会の議長を務めた浅川正嗣財務官(15年7月から)。

このプロジェクトが進められた背景には、各国がリーマンショック後に財政状況を悪化させ、より多くの国民負担を求める中、多国籍企業の課税逃れに対する批判が高まったことがあるといいます。

2013年7月に浅川議長によってBEPS行動計画が作成され、昨年10月のペルー・リマG20財務大臣・中銀総裁会合で、BEPS最終報告書が報告されました。

リマG20に参加した麻生財務大臣は、ワーキングディナーで次のように豪語していました。「今後はG20各国が自ら範を示し、税制を堕落させて底辺への競争に参加することなく、BEPSプロジェクトの合意を着実に、高い質を維持したままで実施することが必要である。」

財務省の機関誌『ファイナンス』2015年11月号では、浅川財務官の活躍を前面に押し出しながら、BEPSプロジェクトを次のように紹介しています。

「BEPSプロジェクトは、次の三点において、これまでのOECD租税員会のプロジェクトとは異なる画期的なものである。(1)「二重課税の排除」から「二重非課税の排除」に大きく重点を移すものであり、既存の国際課税ルール・国内法を所与とした上で議論を行ってきた従来の租税員会とは異なり、既存の国際ルールを全体的に見直し、新ルールに合わせた各国国内法の改正を勧告するものであること、(2)OECDのみならず、OECD非加盟のG20メンバー8カ国もOECD加盟国と同様に意見を述べ、意思決定に参加できる、(3)G8/G20で議題が上がるなど、プロジェクト推進にむけて多大なる政治的サポートをえたものであること、の三点。

◎「BEPS プロジェクト」の 取組と概要 (『ファイナンス』2015年11月号)
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/201511b.pdf

最後のG8/G20云々は余計ですが(浅川氏は08年9月に発足した麻生政権のときに首相秘書官を務め、12年12月に発足した安倍内閣で財務省に就任した麻生大臣の秘書官を務めるなど「政治的サポート」はかなりのもの)、二重課税から二重非課税へ重点を移すなどは、けっこう大きな変更だと思ったのです。

実際、これまで国と企業の間で訴訟沙汰になり、国側が負けてきた租税回避の案件についても、BEPSプログラムによる税制改正によって、そのいくつかは租税回避を阻止することができるという研究もあります。

◎税源浸食と利益移転(BEPS)に係る我が国の対応に関する考察(1)
https://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/79/02/index.htm
◎税源浸食と利益移転(BEPS)に係る我が国の対応に関する考察(2)
https://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/83/02/index.htm


…と、いつものように前フリが長くなりましたが、パナマ文書をきっかけに再燃したタックスヘイブンに対する厳しい批判を受けて、財務省前でattac午後の紅茶の時間をどのように過ごそうかと考えあぐねるなかで、BEPS対策に日本の財務官僚が大きな役割を果たしてきたことなどを踏まえると、いくら投機マネーの出所が中央銀行であり、日本の中央銀行は日本政府と金融資本の国債引き受けという財布になり果てており、国債はそもそも租税の前借にほかならず、そういう意味では財務省前でのアフタヌーンティーもそれほど間違ってはいないよな、と自分を納得させながら(ついでにそれに合わせてかどうかわからないけどパナマ大統領も17日から来日するし)、とはいえ、BEPSプロジェクトを紹介すると日本政府や日本企業への批判の矛先がちょっと鈍るかなぁ、と悩んでいた矢先、日経新聞の記事で、経団連が「EUの新制度に抗議する!」などと声高に叫んでいることを知れば、元気が出ないはずがない。

EUの対策案のリリースはこちら。

◎欧州委員会、多国籍企業の税の透明性に関する新ルールを提案(駐日欧州連合代表部)
http://www.euinjapan.jp/resources/news-from-the-eu/20160412/095507/

つまりは、昨年合意した対策よりも、より厳しい対策を実施したいというEUに対して、そんなのイヤだ、とゴネているのが経団連というわけです。「国際合意違反だ」というなんとも大そうなゴネようです。BEPSプロジェクトでは「協調」が重視されますが、より高いレベルの規制を目指した協調が必要であり、より低いレベルの規制という「協調」では困ります。

日経新聞や経団連、そして財務省自身が高く評価するこのBEPSプロジェクトに対して、EUからさらなる厳しい規制が提示されたのは、欧州の資本家の資質が高いから、というわけではありません。欧州のattacなどの社会運動によるアプローチがあったからにほかなりません。

僕はどのヨーロッパ言語も分かりませんが、課税逃れで批判されているgoogleでざっとググってみると、attacオーストリア、attacフランス、attacスイス、attacノルウェーなどのウェブサイトに論評が掲載されており、課税逃れで批判されているgoogleで自動翻訳してみると、昨年合意されたBEPSプロジェクトではまだまだ不十分であるという主張を展開しているのです。しかもattacノルウェーなんかは公聴会で意見を述べています。

◎attacオーストリア
OECD-Pläne: Amazon, Google und Co. können weiter tricksen(05.10.2015,)
http://www.attac.at/news/detailansicht/datum/2015/10/05/oecd-plaene-amazon-google-und-co-koennen-weiter-tricksen.html
Steuerdeals von Starbucks und Fiat illegal - EU-Maßnahmen für Attac unzureichend(21.10.2015,)
http://www.attac.at/presse/attac-presseaussendung/datum/2015/10/21/steuerdeals-von-starbucks-und-fiat-illegal-eu-massnahmen-fuer-attac-unzureichend.html
Steuertricks: EU-Vorschläge löchrig und unzureichend(28.01.2016,)
http://www.attac.at/presse/attac-presseaussendung/datum/2016/01/28/steuertricks-eu-vorschlaege-loechrig-und-unzureichend.html

◎attacスイス
L’OCDE met fin à l’évasion fiscale des multinationales : changement de paradigme ou écran de fumée ?(Angles d’Attac No 102, mars 2016)
https://dl.dropboxusercontent.com/u/17938426/ada102nl/ada102darticle_2.html

◎attacフランス
La Revues des revues n° 5
mardi 6 janvier 2015, par Jacques Cossart *
https://france.attac.org/nos-publications/les-possibles/numero-5-hiver-2015/la-revue-des-revues/article/revue-des-revues-no-5-3583#t6-L-evasion-fiscale

◎attacノルウェー
Dato: 25.01.2016
https://www.regjeringen.no/no/dokumenter/horing---land-for-land-rapportering-for-skatteformal/id2465431/?uid=f491050c-db82-40cf-b43c-a50682eb296e
file:///C:/Users/acupca/Downloads/H%C3%B8ringssvar%20LLR%20-%20Attac%2025-01-2016.doc.pdf


がんばれattac!がんばろうattac!

経団連は、4月20日、21日と東京で開催する「ビジネスサミットB7」でもEUの改革案に抗議するようです。

いろいろとattac的な話題を提供してくれます。

skatteparadis_stor-300x256.png
スポンサーサイト

Comment

Leave a Reply


管理者にだけ表示を許可する