これでCO2排出が減るの?--「東京新聞」元旦の記事を読んで


2016年1月1日の東京新聞に「?」という記事があったので、忘れないように書いておこう。

記事が掲載されたのは「核心」という紙面の四分の一をつかって、すこし詳しく取材をする東京新聞の目玉のコーナー。

東京新聞ウェブサイトでは、「核心」のリード部分のみが見られる。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/index.html


元旦の「核心」の大見出しは

「悪者」CO2 農で脚光
発電機の排ガス ハウス栽培利用


正月早々、気候変動の記事でえらいな、とおもったら全然ダメでした。

記事の内容はJFEエンジニアリング(日本鋼管と川崎製鉄のエンジニアリング部門を統合した会社)の宣伝でした。しかも、さもCO2が削減できる、というような錯覚を起こさせるような内容。

記事は、電気と熱、CO2を同時に活用する一石三鳥の「トリジェネレーション」というシステムを絶賛する内容でこんな感じ。

1、CO2濃度を高めて光合成を促進させるハウス栽培で、収量2-3割アップ!
2、そのCO2はハウスの照明(LED)に電気を送る発電機(天然ガス)から出る排ガスから有害物質を取り除いたもの。従来は捨てていたもの。
3、発電機から出る熱も温水循環に利用してハウスの室温を維持。

このシステムを利用している「Jファーム(JFEエンジニアが49%出資してる:引用者)は、このシステムで年約410トンのCO2削減効果を出しているという。」

わかりやすいイラスト付きです。これ。

jfarm.jpg

これでCO2が削減されてる?? 

せめて、せめてこう↓でなくてはならないのでは?

jfarm02.jpg

しかしほんとにこんなハウス栽培が農業なのか???すべて工業製品でつくられた広大なハウス栽培システムそれ自体が膨大な温室効果ガス排出してませんか?

こんな工業製品にまみれたアグリ工業ではなく、
単純にこれ↓でCO2を吸収するというのじゃダメなのかなぁ?

jfarm03.jpg

+ + + + +

「核心」の記事、こんな風に、CO2の活用に力を入れる企業の紹介が続きます。

「トヨタ自動車系部品メーカーのフタバ産業は、自動車用の排ガス制御技術を応用。ハウス栽培の暖房で生じるCO2を回収し作物の光合成を活発にする技術を開発した。一年後をめどに試験販売を目指す。」

CO2で金儲けしないでほしい。技術は無償で公開してほしい。

「園芸種苗販売ハクサン(愛知県日進市)の子会社はトリジェナレーションの普及が進むオランダの企業システムを採用。すでに青森県六ケ所村でのバラ栽培にCO2を利用している。」

六ケ所村???

そして「核心」の記事は、最後に「核心」のところに切り込んでいます。

「ただ、ハウス栽培に利用できるCO2の量は一棟につき、多くても一日数百キログラム。は80万キロワット級の石炭火力発電所は一日5000トンを排出する。」

で、「排出削減の切り札」としてでてきたのがコレ。

「排出削減の切り札とされるのは、工場などの排ガスからCO2だけを集め、管を通して地中に送り込んで地層に閉じ込める『CCS』の技術だ。」

出ましたCCS!二酸化炭素回収・貯留です。

http://www.japanccs.com/about/setup/

ナオミ・クラインの映画「これですべてを変える」でも、成層圏に硫酸をばらまいて太陽光を遮断することで温暖化を防ぐめちゃくちゃな技術が批判されていた。これをジオ・エンジニアリング(気候工学)というそうだが、東京新聞で紹介されているCCSも、このジオ・エンジニアリングの一種。そりゃダメだろう・・・。

記事はつづけてこんな紹介。

「東芝はCCSの中核技術であるCO2の分離・回収設備の開発に取り組んでおり、……CCS推進担当部長の鈴木さんは『排ガス中の9割のCO2を回収でき、技術基盤は確立しつつある』と話す。」

そんな技術に膨大な資金を投入するなら、自分たちが作った原発の事故で福島をはじめ全土にばらまかれた放射性物質を回収する技術やいまだ避難を余儀なくされたり経済的損失にあっている人たちへの補償のほうに、研究開発費用(もとは税金でしょ?)に回してほしい。

元旦から東京新聞は、クライメート・ジャスティスに反するひどい記事を掲載したものです。

最後に、いま読んでいる『エコ社会主義とは何か』(ジョエル・コヴェル著、戸田清訳、緑風出版)からの引用。

「核時代の始まりを思い出せるような世代の人々は、いかに核エネルギーが『電気メーターで計れないほど安くなる』かについて聞かされたことを覚えているだろう。ちょうど抗生物質の発見が感染症を地上から一掃すると想定されたのと同じように。もし私たちがいまではもっとよく知っているとしたら、それは増大するエコロジー的意識の兆候であり、自然のなかの出来事は相互的であり、多くの要因によって決定され、大きな規模で正確に予測することは決してできないという認識が広がったからである。それよりもずっと認識されていないことは、技術はその社会関係を抜きにして評価することはできないということである。」
 
エコ社会主義の議論を!


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