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ピケティの「ボルケシュタインはフランケンシュタインに非ず」について

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2月5日にattac首都圏の会員MLに投稿したものです。

[attac_ml:4868] Re:ピケティ:「ボルケシュタインはフランケンシュタインに非ず」
2015/2/5, Thu

こんにちは。

昨日、ピケティの『新・資本論』を書店で立ち/ななめ読み。

2005年から2015年までの一連の時事経済論評集。
attacの会員の皆さんにはおすすめかも。

というのも「第一部」(2005~06年)に収録されている「ボルケシュタインはフランケンシュタインに非ず」という論評があり、それがわかりやすくピケティの立場を表しているからです。

当時、欧州議会で制定がもくろまれていたサービス貿易に関する指令が、オランダ選出の欧州議員ボルケシュタインの名前をとって「ボルケシュタイン指令」と呼ばれました。

当時は欧州憲法制定のために各国で批准する手続きが進められており、欧州各国のattacでは批准反対のためのキャンペーンが行われていました。ボルケシュタイン指令はこの欧州憲法とは直接の関係はありませんが、新自由主義拡大のひとつの象徴として、がぜん注目を浴びて、オルタグローバリゼーション運動だけでなく、労働運動レベルでも大きな反対運動が盛り上がりました。

日本語で読めるオルタグローバリゼーション運動の側の主張としては、

「EUの新自由主義者たちが、アメリカ以上の競争力をEUにつけさせることをも目的としたもの」---コリン・コバヤシ
http://www.jca.apc.org/attac-jp/japanese/20050424generalmeeting-02.html

「最低賃金と社会保障の引き下げ競争をお膳立てしている」---ベルナール・カッセン
http://www.diplo.jp/articles05/0512-2.html

「指令は、サービスの移動の自由に関するものであり、サービスが提供される国の法律ではなくサービスを提供する会社の本社がある国の法律が適用されると規定している」---スーザン・ジョージ
http://www.jca.apc.org/attac-jp/japanese/20050529NON_interviewt.htm

などがあります。

ボルケシュタイン指令自体は、2006年11月に、 この「母国法原則」が削除されて欧州議会で可決されました。
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2006_12/eu_01.htm

ピケティは、もちろんボルケシュタイン指令に賛成。反対派に対しても「デマゴーグ」と批判しています。まあ10年前の論評ですからなんとも言えませんが、たぶん基本的な立場はいまも変っていないでしょうね。

参考:EU「サービス指令」(2006/123/EC)の概要(外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/eu/srv_statute.html
  

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