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アベノミクス応援団(2013年2月13日)

2013年2月13日にattac首都圏のメーリングリストに投稿したものです。

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[attac_ml:3219] アベノミクス応援団
2013年2月13日 水曜日 午後4:35

アベノミクスでなにもやってないのに株価が上がったり円安になったりと、典型的な投機マネーじゃない、とも思うのですが、それに反発して、いくつかの経済誌も「アベノミクスだいじょうぶ?」というような特集を組んだりと、いろいろとあるのですが、びっくりしたのが、2月10日付けの東京新聞の日曜版の社説「週のはじめに考える」です。

タイトルは「『アベノミクス』は本物か」。アベノミクスに疑問を投げかけるのか、とおもいきや、全面的なアベノミクス応援団です。というか竹中平蔵が書いたのか、と思うくらいの応援ぶりです。

どうぞ読んで、ずっこけてください。

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★「東京新聞」2013年2月10日(日)
 週のはじめに考える 「アベノミクス」は本物か
2013年2月10日

 金融市場が株高円安に沸いています。「アベノミクス」の効果であるのは間違いないでしょう。でもこの先、息切れリスクはないのでしょうか。

 株価は先週末、週間ベースで十三週ぶりに下落しました。それでも昨年と比べれば様変わりです。この間、円安も進んで自動車や電機など輸出関連製造業はじめ企業業績は急速に回復しています。

 株高円安の背景には、米国の株価上昇や長期金利上昇がもたらしたドル高の裏返しという側面があります。必ずしも日本側だけの事情ではありません。

◆鍵を握るのは金融緩和

 それでも、安倍晋三首相が唱えたアベノミクスは市場に好感されました。野田佳彦前政権が昨年十一月に衆院解散を表明した直後から株高が始まったのは、市場が安倍自民党の勝利を一足先に織り込んで動いた結果と言えます。

 アベノミクスとは何か。おさらいすると、まず大胆な金融緩和、拡張的な財政政策、それに成長戦略から成っています。いわゆる三本の矢ですね。

 金融緩和と拡張的財政政策の組み合わせは景気を刺激します。これは経済学の教科書に必ず書いてある基本の話で、実は議論の余地はありません。

 「そんな簡単な話なら、なぜいままでできなかったんだ」と思う読者もいるでしょう。実は、まさにそこが日本の経済政策が抱える核心の問題でした。日銀は金融緩和を言いながら徹底せず、物価安定目標の設定にも及び腰でした。

 景気停滞の根本にあるデフレも金融緩和の不足が原因だったのに、多くの学者やエコノミストが「中国の安い輸入品のせいだ」とか「人口減少が理由だ」などと唱え、メディアもそれに悪乗りした状態でした。ちなみに本紙はこの十年ほど、一貫して金融緩和の重要性を指摘しています。

◆世界標準の経済政策を

 それらはノーベル賞をとったクルーグマン・プリンストン大学教授や浜田宏一エール大学名誉教授ら世界一流の学者からみれば、およそ世界標準からかけ離れた珍説です。なぜ日本で、そんなトンデモ論がまかり通ったのか。

 それには財務省や日銀の影響が大きかった。学者やエコノミストにとって財務省や日銀は研究対象だったり会社の重要な取引先だったために、正面から敵に回すような議論をしにくかったのです。

 今回、安倍政権は浜田名誉教授を内閣官房参与に迎えた例が示すように、経済政策を世界標準に改める意図を明確にしています。2%の物価安定目標や大胆な金融緩和はその象徴です。

 これまで拡張的な財政政策は何度も実行されましたが、成果は挙げられなかった。なぜかといえば、肝心の金融緩和が伴わなかったからです。麻生太郎政権によるリーマン・ショック後の大型財政出動が典型的です。

 では、アベノミクスに死角はないのか。実は懸念材料もあります。まず肝心な点ですが、大胆な金融緩和はそもそも、まだ始まっていません。「これからやる」と宣言しているだけです。

 先の政府と日銀の共同声明はたしかに2%物価安定目標と金融緩和を盛り込みましたが、緩和の実行は二〇一四年からなのです。それも中身がきわめて乏しい。

 本当に緩和を徹底するためには、白川方明総裁が退任した後「次の総裁」が大胆に中身を見直す必要があります。だから次の総裁が非常に重要です。もしも従来の財務省・日銀路線を引き継ぐような総裁になれば、その瞬間に株価は失望売りで反転下落し、円相場も再び円高に戻りかねません。市場が世界標準を目指す「アベノミクスの失速」とみなすかもしれないからです。

 それから成長戦略。

 ここにも大きな落とし穴があります。霞が関の役所は補助金や減税を特定産業にばらまく政策が大好きですが、なぜかといえば、そこに利権が発生するからです。しかし途上国ならいざ知らず、日本のような成熟した先進国で、そんな産業育成政策がうまくいったためしがありません。

 鍵を握るのは規制改革です。「こうすれば必ず経済成長する」という魔法のつえはありません。民間企業が自由に参入し自己責任で競争する。そのための環境を整える。それが政府の役割です。

◆規制改革が真の戦場に

 農業や医療・介護、電力、子育て支援、働きやすい雇用環境など、既得権益を握る勢力を排して、真に国民経済全体の観点から規制を見直さねばなりません。

 議論を始めれば、さまざまな抵抗と衝突するのは必至です。まさに改革の戦場になるでしょう。壁を乗り越えて、息の長い成長につなげられるかどうか。アベノミクスは始まったばかりです。


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