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「財政赤字だから消費増税」はウソ~財政赤字でもうける奴ら

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最近、時間がなく更新が滞っています。以下は、お盆前の8月10日に会員メーリングリストに投稿したものです。

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スペインは財政危機のギリシャと違って銀行危機なので、IMFではなくEU=欧州金融安定化基金による介入ですが、押しつけられる政策は同じように緊縮財政です。

日本も長年にわたる緊縮財政のひとつとして、消費税法案を採決しました。

野田は「すべて社会保障につかう」といいましたが、すべてウソですね。

2011年度の政府決算の歳入109兆9,795億円にしめる借金(公債)は54兆479億円。歳出にしめる社会保障関係費は29兆7,777億円ですが、銀行など金融機関にくれてやる国債の利払い費は、2012年度予算で9.8兆円と、バブル期の年間10兆円ちかくにまで達しています。従来の税収は、大企業や金持ち優遇の財源や銀行家にくれてやる国債利払いに使い、100兆円ちかくある社会保障関連基金は、使わずにグローバルな投機に使うので、新たに消費税で貧乏人からさらに収奪して社会保障費にあてる、というのがほんとのところ。

国債残高と利払いの推移(財務省)
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/005.htm

「財政赤字を解消するために」という口実も使われるようですが、国家負債と資本家の儲けについては、1850年にマルクスが書いた『フランスにおける階級闘争』の一番最初に、こんな記述があり、まるで今のことを描写しているなぁ~と感心しました。

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『フランスにおける階級闘争』より

(略)

議会をつうじて支配し、立法していたブルジョアジーの分派にとっては、国家が負債に陥ることは、むしろ直接の利益になった。国庫の赤字、これこそまさに彼らの投機の本来の対象であって、彼らの致富の主源泉であった。

毎年度末の新しい赤字、四年か五年たつごとに新しい借款、そうして新しい借款のたびごとに、人工的に破産のせとぎわにおかれた国家から、金融貴族が詐取する新しい機会があたえられた。――国家は、もっとも不利な条件で銀行家と契約を結ばなければならなかったのだ。新しい借款のたびに、自分の資本を国債に投下する公衆を取引所の操作によって略奪するという、もう一つの機会が与えられた。

こういう操作の秘密には政府と議会の多数派はよくつうじていた。一般に国家信用の状態が不安定であったのと、国家の機密をにぎっているために、銀行家と、議会および王座にいる彼らの一味は、国債証券の相場に異常な、突然の変動をおこさせることができた。その結果は、いつもきまって大量の小資本家が破産し、大賭博師がまるでおとぎ話のようにすみやかに富むことであった。

(略)

このようにして国家の手を通じて流れでた巨額の金は、詐欺的な納品契約や賄賂や公金私消やあらゆる種類の詐欺行為の機会をあたえた。国債をつうじて大規模に行われた国家からの詐取は、いろいろな国営事業で小規模にくりかえされた。議会と政府とのあいだの関係は、そのまま個々の官庁と個々の企業化の関係として、いく層倍の数にもなってあらわれたのである。

(略)

金融貴族が法律をだし、国家行政を指導し、組織された公的権力の全部を思うままに行使し、既成事実と新聞によって世論を支配していたので、上は宮廷から下はあいまい飲み屋にいたるまでのあらゆる領域に、同じ身売り、同じ恥知らずの詐欺、生産によらず既存の他人の富をごまかし取って金持になろうとする同じ病的欲望が、くりかえされた。とくにブルジョア社会の最上層では、ブルジョア法律そのものにたえず抵触しながらも、不健康で放埓な欲望を、無制限に貫く傾向が滔々として生じた。そこでは、賭博から生じた富が、その欲望充足を求めるのは、その性質上、自然のことであり、享楽は淫蕩となり、金と汚物と血がまじりあって流れるのである。

(略)

公的信用も私的信用も、当然動揺していた。……私的信用は麻痺し、流通ははばまれ、生産は停止していた。革命的危機は商業恐慌をたかめた。……プロレタリアートの反乱、それはブルジョア的信用の廃止である。なぜなら、それはブルジョア的生産とその生産の秩序の廃止だからだ。公的信用と私的信用とは、革命の強度を測定しうる経済上の寒暖計である。信用の目もりが下がるにつれて、それと同じ割合で革命と創造力はたかまる。

(以下、なんだか現在のギリシャ危機の状況を描いたような内容になり、面白いのですが略)
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