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LIBOR不正操作~銀行ギャングたちによる「ゆがみ」をただせ

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銀行ギャングたち

バークレイズによるLIBOR金利操作の疑惑は、他の多国籍銀行や英中央銀行、政界にまで拡大しています。今日(7月10日)の日経新聞朝刊には小さく「三菱UFJ銀 とレーダーの2人休職処分」という記事が掲載されています。同行のロンドンのトレーダー2人が、オランダ金融機関のラボバンク在職時に不正操作に関与していた疑いがあり、同行移籍後の不正操作は見つかっていない、というものです。LIBORの不正操作で360兆ドルの金融商品に影響が出たと報道されています。これに比べたら金融取引税やトービン税による「ゆがみ」なんてかわいいものでしょう。というよりもトービン税は「ゆがみ」を生み出す投機マネーをただすのが目的です。

以下は、7月5日に会員MLに投降したメールです。

2012年7月5日のメール

脱原発や被災地支援など、大切なテーマはたくさんありますが、attacなので金融取引の話題。

「金融取引 ゆがみ招く」

これは、今朝7/5付けの日経新聞の国際面に大きく踊っている見出しです。

トービン税や金融取引税が、金融市場のゆがみをまねくからという理由で反対にあっていることはよく聞きます。とりわけメガバンクなどの巨大金融機関がそのように主張し、トービン税や金融取引税の導入に反対し続けています。

今回も金融取引税批判なのかな、とおもったらさにあらず。それは他でもない、金融取引税やトービン税に反対し続けてきた英国第二位の銀行、バークレイズによる金利操作に対するものでした。

この問題はここ数日、日経新聞などで大きな紙面を指して報道されています。

バークレイズが操作した金利は、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR:ライボー)というもので、欧州市場で信用の高い銀行同士が資金取引をする際の基準金利で、金融取引の基準中の基準となる金利なのです。LIBORは広く企業融資や住宅ローン金利、そして金利スワップというデリバディブの金利水準の元にもなっています。

全世界の金利スワップの規模は2008年6月時点で458兆ドル(想定元本)、日本国内でも24兆5000億ドルという巨大規模。実際に動くマネーは、想定元本の派生(デリバディブ)分だけですが、世界中の巨大金融機関や多国籍企業、ヘッジファンドなどは、リスクヘッジ分をはるかに上回る投機マネーを、この市場に流し込んできました。

このグローバル金融市場の基準中の基準が、バークレーズをはじめ、複数の金融機関によって操作され、イングランド銀行もそれを黙認してきたのではないか、という疑いが広がっています。バークレーズは不正を認めて罰金2億9000万ポンドを支払いました。バークレーズの関係者が「他の金融機関もやってた」と言っちゃったことから、捜査は欧米の約20金融機関に及んでおり、日本の3メガバンク(三菱UFJ、みずほ、三井住友)も調査対象となっているそうです。

G20サミットでは、金利スワップが7割を占める店頭デリバディブ取引(2011年6 月時点の市場規模700兆ドル、日本国内の市場規模約4500兆円)について、「店頭デリバティブ改革・・・における、現在までの著しい進展を認識する」(ロスカボス宣言)と言っていますが、取引の基準となるLIBORの不正操作については何ら触れていません。

トービン税や金融取引税に対してさんざん「市場をゆがめる」と吼えてきた銀行は、金利操作によってゆがめた金融市場で大きな利益を得てきたようです。

日経の記事では「07年ごろまではLIBORを実態よりも高く誘導し、バークレイズ銀行のトレーダーが利益を稼ぎやすくした。・・・金融危機が広がった08年前後は、一転して実情より低い数字を示した疑いがある。他の大手行よりも高い金利は財務不安の裏返し、と解釈されるのを恐れたもようだ。」

金利スワップは、同じ通貨同士の交換にともなう派生商品なので、外国為替取引に課税をするトービン税によって直接規制できるわけではありませんが、トービン税や高率の金融取引税を導入し、金融機関によって不正にゆがめられた金融市場を矯正しなければならないと思います。
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