『タックスヘイブンの闇 世界の富は盗まれている!』をめぐって(4)

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★タックス・ドジャーズ「1%のためにバッティング」
「ここを通れば税金はチャラ リベートもあるわよ がっつり戻ってくるわよ」「GEの利益は40億ドルだけど税金ゼロ おまけに30億ドルも還付された (つまり)税率はマイナス76%」「バンカメの雇用担当です みなさんの税金で経済は回っていますよ どんどん払って下さいね」
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最近の三大あほニュースは「スカイツリー」「金環日蝕」「オリンピック東京誘致」だとおもうのですが、「日本とギリシャは違う!」「ギリシャ人は働かないキリギリス!」とわめいていた人たちは、借金を積み上げたオリンピックに踊った当時のギリシャとオリンピック誘致で浮かれる石原都政を結びつけることはできないんですね。設けるのは利権企業で、ツケは血税で賄われるのに・・・。


2012年3月15日のメール

『タックスヘイブンの闇 世界の富は盗まれている!』
 ニコラス・シャクソン 著/藤井清美 訳
 定価:2625円(税込)
 発売日:2012年2月7日 四六判上製 448ページ
 http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=13465


このMLでも紹介した『タックスヘイブンの闇』ですが、海外の人名や組織名などがたくさん出てきてなかなか読み進めず、まえがきとあとがきをあわせると14章あるのですが、やっと第8章に突入、という感じです。

デモクラシーナウによる著者へのインタビューではあまり触れられなかった第三世界債務とのかかわりが、同書の『第8章 途上国からの莫大な資金流出』で詳しく述べられています。メモがてら紹介します。

「アフリカの貧困はオフショアの役割を理解しない限り理解することはできない。第二次世界大戦後では最もひどい戦争といわれているコンゴ民主共和国の内戦は、タックスヘイブンを通じた同国の鉱物資源の大量略奪と深く結びついている。多くの途上国に見られる大規模な腐敗や犯罪勢力による政府の転覆はというと、いずれのケースでも、オフショアが重要な役割を果たしている。」(214頁)


◎アフリカからの資金流出はアフリカへの援助資金の10倍

「1970年から2008年の間にアフリカから違法に流出した資金の総額は、控えめな推定でも約8540億ドル・・・実際には1兆8000億ドルにのぼるかもしれない。」

「途上国は違法な資金流出によって2006年だけで1兆ドルものカネを失った。すなわち、途上国に入ってくる海外からの援助1ドルにつき10ドル流出した」

「1970年から2004年までのアフリカ40カ国からの資本逃避は・・・4200億ドルにのぼった。帰属利子を含めると、資本逃避の累計額は2004年末現在で約6070億ドル・・・。同時に、これらの国々の対外債務は合計で2270億ドルだった。つまりアフリカは・・・世界の他の地域に対する純債権者なのだ」(227~228頁)


著者は、アンゴラの腐敗した支配者たちが国際金融を通じて行ったオフショアへの資金隠匿の具体例を紹介し、こう結んでいます。

「私はアンゴラで人々が目の前で死んでいるのを見てきた。感染症のために頬が腐り、ゴルフボール大の穴が開いた六歳の少女が、基本的な医療も受けられず病との戦いに敗れるのを見てきた。だから、アフリカの人々が自国の公的債務をどのような形で『負担』しているのかを、部分的にではあるがじかに知っている。貧困、戦争、手の打ちようがないほどの機会の欠如、腐敗した強欲なエリートたちによって日常的に加えられる肉体的・経済的暴力といった形で負担しているのである。」(228頁)


◎腐敗の元凶は国際金融にある

「先進国」やIMF・世銀は、途上国の指導者の腐敗を問題にします。ガバナンスの問題だ、と。しかし著者は腐敗を持ち込み、指導したのは他でもないそれら先進国の金融機関だと指摘しています。

「銀行はまず、これらの国に生産的に使えるがくよりはるかに多額の資金を貸し付け、それから現地のエリートたちに、富を略奪し、隠匿し、洗浄し、こっそりオフショアへ持ち出す方法を教えた。その後、銀行がこれらの国に債務を返済するよう圧力をかけるのを、IMFが融資を実行しないという脅しをかけて手助けした。これらの国の資本市場は、『適切な市場安定化法や銀行規制や租税徴収機関があろうがあるまいが』計算ずくで外国資本に対して開放されたのだ」(229頁)

「第三世界の国々の公的債務は、それらの国のエリートがアメリカや他のタックスヘイブンに貯め込んでいた個人資産の額とほぼ一致していた。そして1990年代初めには、ヨーロッパとアメリカに隠された逃避資産は、それが生み出す所得に控えめにでも課税されていたら第三世界全体の債務を返済できるだけの額になっていた。」(231頁)

著者は、このような状態を解決しようとして敗北したメキシコのケースを紹介しています。ちょっと長いので以下抜粋。

「1982年、メキシコのホセ・ロペス・ポルティージョ大統領は、議会に対して、自国が直面している課題を説明する演説を行った。『金融の伝染病は、世界中でますます大きな混乱を引き起こしています。それは卑劣な者たちによって広められ、その結果は失業と貧困、企業の倒産、そして投機による蓄財です。』ポルティージョは『開びゃく以来われわれを搾取してきた諸帝国よりも多くの富をこの国から奪い去ってきたプライベートバンクによって指導され、助言・支援されている一群のメキシコ人』を非難した。そして、IMFの指示を無視して、銀行を国有化し、為替管理を導入することを誓った。だが。銀行とビジネス界を保守派がタッグを組んで、10日もしないうちに彼にその主張を撤回させた。IMFとBISは、オフショアに逃避したメキシコの富は見ぬふりをして、メキシコや他の債務国に『自分の始末は自分でつけろ』と命じたのだ。(232頁)

第8章では、そのほかに、二重課税の防止という名目で各国間で結ばれている租税条約や相互協議が、実際には進出先でも進出元でもどちらでも課税されない「二重非課税」の状態をもたらしていること、より先進国の利害が貫徹される租税条約モデルの普及のためにOECD諸国が必死になっていることなどが紹介されています。この点は、G20サミットが自画自賛しているタックスヘイブン対策の問題点ともつながっていて興味深かったです。

日本でも国税庁が租税条約のネットワークが広がっている、と誇らしげに語っていますが、「租税条約ネットワークは、国際的な二重課税を排除し、わが国企業の安心かつ確実な海外事業展開を確保するための重要なインフラである」という経団連の提言にぴったりとそったものであり、オフショアネットワークを公認化することにもつながっていることにも注意が必要だとおもいます。

国税庁レポート:国際的な取引への対応 その1
国税庁レポート:国際的な取引への対応 その2
経団連:平成24年度税制改正に関する提言
※経団連は国際連帯税導入反対の提言をしている。
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