電力値上げと原発再稼動を要求する銀行

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原発に融資する金融機関を告発するNuclear Banks No Thanksのロゴ

東京電力が自由化部門の値上げを発表しました。自由化部門の対象は大口契約の顧客。社会的な必要ではなく売るためだけに製造される自動車に象徴される大量生産大量浪費を支えてきた仕組みのひとつです。もともと家庭などの電力料金よりも安く供給されてきた部分の料金をコストどおりに支払ってもらうという、危機の時には当たり前のことだとおもいます。むしろ生活や公共サービスを維持するため以上の電力消費は、環境コストを考えると使えば使うほど値段は高く設定するべきだとおもいます。この流れのまま、家庭部門の電力料金の引き上げ云々することにはもちろん反対です。

さて本題。

この料金引き上げですが、じつは3メガバンクなどの要請に応えるものなのです。東電は、昨年春に3メガバンクをはじめとする金融機関から2兆円規模の緊急融資を受けましたが、現在、またまた運転資金として1兆円規模の融資を申請する予定であり、融資条件として経営安定=「電気料金の引き上げ」と「原発再稼動」の二つが銀行から要求されているのです。

2011年6月末現在、東電が金融機関から借り入れている合計は約4兆円、そのうちの半分、2兆円が三井住友銀、みずほコーポ銀、三菱東京UFJ銀のいわゆる3メガバンクでしめられています。なかでもメインバンクの三井住友銀行は1兆円近くの融資を行っています。

東電はさっさと倒産させて、発電部門も送電部門もすべて国有化、電気は公共サービスと位置づけてる、原発と経営陣はさようなら、電力供給に必要な職員は公務員として、賠償、廃炉などに膨大な人員や費用が必要になりますが、それこそ「ネバーギブアップ」でやり遂げることが必要だと思います。金融機関は巨額の融資で原発再稼動を支援しているのです。

問題点が多数指摘されているストレステストも再稼動に向けた第一歩。

「ストレステスト」と聞くと、昨年10月に破綻したベルギー・フランス系大手銀行のデクシアを思い出します。デクシアは散々金融投機で儲けた挙句、リーマンショック後の2008年9月に一度経営危機で多額の公的資金で救済されていました。昨年7月のストレステストの結果「自己資本比率1位!」と豪語していたデクシアですが、それがあっという間の破綻。もちろんそのツケは緊縮財政という形で人々に押し付けられます。

原発のストレステストの欺瞞性は即命に関わるのでそれよりもひどいですが、どちらも金融機関が関係したデタラメテストであることには違いありません。


(参考)
原発マフィアを支えつづける金融システム(2011年4月6日)
東電の債権放棄で吼える金貸したちの論理(2011年5月18日)
日銀から発せられる「原発再稼動」の声(2011年6月24日)

以下、1月10日付の日経新聞の記事です。

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東電追加融資、値上げ・原発再開が条件
金融機関、4月にも実施で調整入り
日本経済新聞 2012/1/10朝刊



金融機関別の東京電力向け融資資産
 2011年6月末時点
3メガ銀行 合計2兆383億円
 三井住友銀 9,345億円
 みずほコーポ銀 6,768億円
 三菱東京UFJ銀 4,270億円
政策投資銀行 4,545億円
信託銀行 合計6,467億円
 三菱UFJ信託 2,335億円
 中央三井信託 1,856億円
 住友信託 1,757億円
 みずほ信託 619億円
生命保険 合計3,832億円
 日本生命 1,545億円
 第一生命 1,277億円
 明治安田生命 554億円
 住友生命 329億円
 三井生命 68億円
 富国生命 59億円
信金中金 345億円
その他 3,659億円
借入金合計 3兆9,231億円

三井住友銀行など主要金融機関は、東京電力に対して昨年春の2兆円規模の緊急融資に続き1兆円規模の追加融資を4月にも実施する方向で調整に入る。融資の前提は東電の財務基盤の安定で、電力値上げや原子力発電所の再稼働は欠かせない。政府の原発政策も密接に関係するだけに追加融資には曲折も予想される。

政府は福島第1原発の廃炉などの費用に充てるため、1兆円規模の公的資金を東電に資本注入したうえで、運転資金として民間金融機関から1兆円規模を調達する計画を示した。これを受け、3メガ銀行は今週、追加融資に向けた前提条件を詰めるため具体的な協議に入る。東電の資金調達計画を精査し、追加融資が妥当かどうかを判断する。
主要金融機関が追加融資の前提条件として注視しているのは電力の値上げと原発の2年後の再稼動。これらは追加融資に不可欠とみており、確実な実行を東電や政府に求める方針だ。

東電と賠償機構が示した資金計画案には、電力料金を最大で10%値上げする方針を盛った。すでに東電は4月から企業向けに20%前後の値上げを表明したが、燃料費が高騰するなかで、実施できなければ早期の収益改善は難しい。ただ、企業や家計に影響の大きい電力値上げは政府・与党や産業界で賛否の分かれる問題だけに、主要金融機関は値上げの成否を見極める。

昨年3月から止めている原発の再稼動も追加融資には不可欠な条件。東電と賠償機構は2年後をメドに停止中の柏崎刈羽原発を再稼動させる方針を主要金融機関に示した。原発を再稼動できなければ、コストの高い火力発電などに依存せざるを得ず、それだけ東電の収益改善は遠のく。2年後に原発を再稼動できるかは政府の判断に依存するだけに、主要金融機関は再稼動に向けて政府に働きかけを強める方針だ。

主要金融機関が追加融資するには、既存の東電向け融資を「正常債権」に査定する必要がある。不良債権に査定することになる債権放棄や金利減免などの金融支援は実施しない方針。三井住友フィナンシャルグループの宮田孝一社長は「東電を正常な融資先と認識できる」ことも追加融資の条件に挙げている。
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