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不当な債務を帳消しにグローバルアクションウィークに寄せて(5)

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すっかりアクションウィークは終わってしまったのですが、(2)の冒頭で紹介したギリシャ危機のドキュメント映画『Debtocracy』が、11月7日の深夜にNHKのBS1で「ギリシャ 財政破綻への処方箋~監査に立ち上がる市民たち」という日本語タイトル&日本語字幕つきで放映され、11/14夕方にも再放送があるようで、11/14以降の一ヶ月間は番組サイトで番組が見られることから、不当な債務についての情報はたくさんあったほうがいいかな、とおもって最終回の(5)を以下に紹介します。このドキュメントではエクアドル債務監査の話も出てきます。ギリシャ・欧州危機については『でっとばい』各号や「欧州経済危機とギリシャ」というこの記事が面白いです。以下、連載の最終回です。


不当な債務とは


 コレア大統領は不当な債務の概念に基づいて報告書を作成しましたが、それは①独裁政権を強化するために貸し付けられ、②法外な利子を払わなければならず、③貸した側が返済不能を知りつつ融資し、④貸し付けられた側の国民になっていない債務を意味します。

 この概念は1900年代初め頃から学術的に言われてきました。2006年にはパリクラブの一員であるノルウェー政府が1976年から80年の間に自国造船業救済のために、世界21カ国との間に結んだ36件の船舶提供プロジェクトを不当な債務として帳消しを行いました。

 1987年までに実施されたのは36件のプロジェクトの内3件にすぎず、残りは契約書により生じたものです。

 ノルウェーはエクアドルに4隻の船を5690万ドルで売却、エクアドルが5190万ドルを払った後も4690万ドルの債務が残っていましたが、ノルウェー政府は不当な債務と認定して債務残高3600万ドルを帳消しにし、自国の過ちとしてこれを政府開発援助には含めないことにしました。

 フィリピンは、建設中止となり1ワットも発電していない原子力発電所の債務をアメリカに払っていますが、日本とアジアの債務問題の不当性も指摘しなければなりません。

 1965年のマルコス大統領就任時点で10億ドルの対外債務は85年には280億ドルに増大し、債務は2003年に627億ドルに膨張して政府予算の30%が元利支払いに充てられていますが、その陰でマルコスファミリーは100億ドルの蓄財を行いました。

 1979年には45億ドルだったインドネシアの対外債務は、97年末には1360億ドルに膨張しましたが、最大の貸し手は日本です。

 日本はスハルト時代(1966~98年)に1兆8588億円の円借款を提供し、2000年時点はインドネシアの2国間債務の70%を占めました。

 それらは日本企業のアルミ工場建設とその工場にだけ電気を供給するダム建設の費用といった、インドネシアの人々の利益にはならない融資で、しかも30年間の支配を通してスハルトファミリーは最大で350億ドルの着服を行い、1997年の退陣時点で150~400億ドルの資産を築き上げました。

 インドネシアの対外債務残高は2004年時点で1340億ドル、返済額は81億ドルとなり、253億ドル程度の税収の32%が対外債務返済に充てられています。

(おわり)


※ 以下は不当な債務問題に関するサイトの勝手リンクです
欧州経済危機とギリシャラモンブックプロジェクトのブログ記事より)
でっとばい(不当な債務不定期ニュースレター)
カネなら返さん
じゅびQ
attac首都圏ブログ(貿易・債務・貧困関連)
北沢洋子の国際情報
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