
EUレベルでの金融取引税の導入に関する日本の報道があまりにひどすぎます。attacフランスの声明がattac首都圏のブログに掲載されています。「騙されはしない」としっかりと問題点を指摘しています。ぜひぜひご覧下さい。
◎ヨーロッパにおけるトービン税:遅すぎた前進 attacフランスの声明
2011年9月29日14時6分、ATTACフランス発表
以下は、9月29日の報道をうけてメーリングリスト内に流した金融取引税の情報に関するメールです。
まとめる時間などがないので、そのまま転載します。参考までに。
◆メール(1)9月29日
今朝の日経新聞によると、「欧州連合(EU)のバローゾ欧州委員長は28日、株式や債券などの売買に課税する金融取引課税(トービン税)を2014年にも導入する方針を表明した」とのことです。
ですが、
「外国為替取引は対象外とする方向」
ということで、外国為替取引は除外されるみたいなので、トービン税(通貨取引税)ではありませんね。
記事はこちら
9月10日付けのロイターのニュースでは、ドイツのショイブレ財務相とフランスのバロワン経済・財政・産業相が、欧州委員会に導入を求めた金融取引税案で
「株式、債券、為替取引、デリバティブなどの金融商品に関連するすべての取引を対象とすべき」
と、「為替取引」つまり通貨取引にも課税すべきだとしていたのですが。
記事はこちら。
バローゾ案では、銀行決済のプログラムから機械的に徴税記録をとる、というattacなどがいっているチョー簡単なトービン税の仕組みとは全然違うものになるのかな。だとすると、あんまり喜べない?集めた金は欧州の銀行のために使うみたいだし。
◆メール(2)9月29日
日経新聞のウェブに9/29付けフィナンシャルタイムスの社説の翻訳
[FT]EUの金融取引税導入は名案ではない(社説)
これなんですが、今回の為替取引には課税しない「金融取引税」のことを平気で「トービン税」と呼んで、批判しています。
かなりイタいと思うのですが、これもワザとなのかな。
原発報道でもそうですが、ピンチのとき、悪いやつらは同じ言動になりますね。
気持ち悪い。
FT社説によると「資金が逃げるのでよくない」とのことですが、「トービン税」なら投機マネーや実需でない取引は「どうぞ逃げてください」ということで、それでいいのだけど。
批判のための批判でもべつにかまわないのですが、事実に即してほしいです。
◆メール(3)9月29日
9/27付けフィナンシャルタイムスの投稿欄(だと思います)に、"Long-term investors would benefit from Tobin tax(投機的でない投資家にとってはトービン税は有益)"という記事があります。
ここでは、「歯車に砂」の必要性を明快に主張しています。「トービン税」云々はそれを意識したものだと思います。
日経がこれも翻訳してくれたらいいのですが、期待できそうにありません。
この記事によると、ビル・ゲーツが11月のG20サミットに向けてトービン税を擁護するレポートを準備中だそうです。
明らかに流れはできつつあると思いますが、だんだんATTACが提案してきた市民参加による通貨取引税からは離れてしまっているようです。
◆メール(4)9月30日
欧州連合駐日代表部のサイトに金融取引税に関する法案提出についての日本語の説明がありました。
原文(欧州各国語)は、読めませんが、もうすこし詳しそうです。
原文
◎Financial Transaction Tax: Making the financial sector pay its fair share(European Commission - Press release)
法案(指令)やサマリー、Q&Aその他はこちら。
◎Taxation of the financial sector
◆メール(5)10月4日
欧州委員会による金融取引税導入に向けた動きについて、attacドイツ、オーストリア、フランスの立場はそれぞれ微妙に違うようです。
・attacドイツ(9/28)
・attacオーストリア(9/23)
・attacオーストリア(9/28)
・attacフランス(9/29)
共通するのは、
・attacをふくむNGOのアイデアの勝利であり、金融ロビーの手痛い敗北である
・株式市場だけでなく、デリバディブ市場にも課税するのはいいことだ
・だが為替のスポット取引(2営業日後の決済)市場が除外されたことは問題だ
・またデリバディブへの課税率0.01%はあまりに低すぎる
・税金は国際的な貧困削減にも使われるべきだ
ということかな。
attacドイツは、中心となって実現に向けて取り組んできたことから、今回の動きを歓迎しつつ、今後の改善点を提起していますが、税金を国際的な貧困削減に使うべきであるという改善点を提示する際に、「サルコジ大統領の主張のように」と述べていたり、それは「ビルゲイツ氏も支持している」と述べている点が特徴的です。
attacオーストリアは、2014年からの導入などと悠長なことを言ってるんじゃない、デリバディブへの課税率を0.1%に引き上げるべきだ、と具体的に提起しています。また金融取引税だけでなく、巨大銀行の分割、タックスヘイブンの閉鎖、デリバディブ商品の抜本的規制などもあわせて導入しなければならない、と主張しています。
attacフランスは、もうすこしラジカルなようです。「だまされないぞ!」と叫んでいます。attacオーストリアによる批判点に加えて、銀行から集めた金をまた銀行に使ってどうする、銀行のツケを公的債務にして緊縮財政を主張するデタラメは許せない、公的債務の監査を、中央銀行の改革を、金融セクターの社会化を求める、10/15は街頭を取り戻せ!11/4はニースG20アクションへ!
スポンサーサイト