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不当な債務を帳消しにグローバルアクションウィークに寄せて(2)


IMFや金融機関を告発したギリシャのドキュメント映画≪Χρεοκρατία≫(英語でDebtocracy)の英語字幕版。公式サイトはこちら
英語の解説ページはこちら


ジュビリー九州の方が債務および多国籍金融機関(IFIs)に対抗するグローバル・アクション・ウィーク2011の宣言文を訳してくれました。感謝!

以下、連載の続きです。

投機マネーの裏側には

 1980年代以降に債務が拡大した理由として、1960年代から70年代初頭に成長した発展途上国に民間銀行がお金を貸し付け、ラテンアメリカで石油採掘や鉱山開発の事業を起こしてその儲けを銀行に還流させる経営モデルを指摘できますが、それは成長が鈍化した先進国での金余りを解消するために行われました。

 そして、儲からないアフリカには世界銀行(世銀)等の公的機関が援助という形でお金を貸していきます。

 さらに政治的理由として、冷戦時代に途上国の親米軍事政権にアメリカが軍事支援等でお金を貸し付けたことにより債務は増大しました。

 1979年10月、米財務長官のボルガーはインフレ解消等のために5%から16%に金利を引き上げて自国にお金を取り戻す政策をとりますが、金利高騰は債務の膨張を招き、石油等の一次産品輸出により債務を返済する途上国の発展モデルは崩壊していきます。

 さらに、債務返済のために途上国が執った一次産品の輸出増大により価格が下落し、その結果「南」の国々が大損する一方で、それを加工して輸出する「北」の国々が利益を増大させる悪いサイクルが1980年以降続き、債務は返済不能になっていきます。

 1982年、石油価格暴落により対外債務が急増して債務危機に陥ったメキシコにIMF(世界通貨基金)はアメリカ系金融機関救済のために39億ドルの緊急融資を行いますが、危機はブラジル、ベネズエラに波及してIMFが登場するようになります。

 IMFの本来の事業目的は通貨の安定ですが、債務返済のために融資条件を厳格化し、後に「ワシントン・コンセンサス」と呼ばれる構造調整を債務国に押し付けていきます。

 財政赤字の是正を求める「ワシントン・コンセンサス」は、「南」の国々に公務員の首切りや賃金引き下げ、社会保障、食糧補助金の廃止と消費税新設や累進課税の緩和等の税制改革、外国資本を誘致するための金利引き上げ、直接投資の受け入れ促進、輸出増大のための通貨切り下げ等を強制していきます。

 公務員首切りは失業を増大させ、補助金廃止と通貨切り下げによる輸入品の価格高騰は人々の購買力を低下させ、貿易自由化により外国からの安い輸入品の増加で生活が成り立たなくなった農民は土地を捨て都市のスラムに流入、地場産業は倒産を余儀なくされて人々の生活が悪化する一方、多国籍企業は民営化された国営企業を買収し、今までより有利な条件で利益を本国に送金できるようになりました。

 これにより「北」の金融機関にお金を返せるようになりましたが、危機は常態化してIMF調べでは1970~2007年までに銀行危機は124件、為替レートが30%以上も乱高下する通貨危機は208件発生し、年を経るに従ってその規模は増大しています。

 1989年3月、米財務長官ニコラス・ブレイディは債務再編のために債務を債券(国債)に作り替える「ブレイディ・プラン」を提案し、90年代の中ごろまでにアルゼンチン、ブラジル、ポーランド、ヴェトナム等でブレイディ債が発行されますが、それは後に大きな
問題を引き起こすことになります。

(つづく)
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