「東電もJALと同じ処理をすべき」という発想は危険~「週刊金曜日」の記事を読んで

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鶴丸マークを復活させたJAL。その体質は…。(2011.2)
壱花花 WEB SITEより


現在発売中の「週刊金曜日」2011年8月19日/859号に、先日、成立した原子力損害賠償支援機構法案の問題点を鋭く批判した横田一さんの記事が掲載されています。東電・金融機関・株主等の責任を免罪し、税金を投入できるように官僚が裏で暗躍し、民主・自民・公明の修正協議で成立した、というものです。

簡単に言えば「東電の利害関係者を守るために、国民に5兆円の負担を上乗せした」(古賀茂明、経産省官房付)ということです。同法案にほとんど批判的な報道をしなかった大手メディアや、成立した法案を「玉虫色」とコメントした河野太郎・自民党衆院議員の「玉虫」ぶりもしっかりと書かれてあり、一読の価値はあります。

ただ、気になるのは、横田さんをはじめ、多くの良心的な人たちや、そして新自由主義信奉者や規制緩和派も例にあげる「東電もJALと同じ処理をすべき」「JALは破たん処理をしても飛んでる」「JALの破たん処理の際には債権者、株主も泣いた」という主張です。

横田さんは記事の最後にこう述べています。

「東電解体で送発電分離(電力自由化)を進め、国民負担を軽減しながら、従来の原子力関連予算と人員を原発事故対応と被災地の復興に振り向け、原発に依存しない安心・安全な社会を実現していく―――というのが国民の望む近未来図であるのは明からだ。」

JALのように破たん処理をして電力自由化をする、それって危険ではないですか。というより、JALの破たん処理のときに泣いたのは、銀行でも株主でもなく、組合差別を受けて首切りされた労働者ではないですか。

日本航空(JAL)は最近、豪州を拠点に航空事業を展開するカンタスグループ、三菱商事と共同で、格安航空会社(LCC)「ジェットスター・ジャパン」を設立すると発表しました。「格安」の裏で切り捨てられるのは、労働条件であり安全性なのではないでしょうか。

(参考)日航165人の不当解雇を擁護する全国紙社説(レイバーネット)

赤字経営に陥ったのは、経営陣・政治家・国交省・地元有力者・銀行・メディアなどが結託して、まったく不要な空港を全国各地につくりつづけたせいではないですか。原発と同じ構造ではないですか。

現在、再生可能エネルギーの導入とともに送発電分離を主張するなかで、注目すべきは、送電線を国有一元化する、というものです。これはいままでの電力会社の私的財産から一歩前進する発想だとおもいますが、のこる発電部門についても、「エネルギー生産・供給は公共サービス」という考えで、公的・民主的管理の下での運営する、という発想があらかじめ排除されてはならないと思います。

エネルギー供給や運輸輸送部門など、人々の生活とって本当に「安心・安全な社会を実現していく」ためには、市場や利潤動機ではない発想が必要だと思います。

追記:「安心・安全な社会を実現していく」ためには、まず東電経営陣と保安院・原子力委員会など原子力行政の責任追及と事故対応・補償対応など諸権限剥奪(やる気のない人々に任せられない)、金融機関・株主の社会的責任の追及、そしてなによりも被曝に晒される福島の人々への健康・経済被害とその対応を早急に進めるための体制を構築する必要がある。こんなときに政局争いをしている与野党の政治屋たちにその気概は見られない。全ての原子力関連予算と軍事費と政党助成金を対策費用に当てよ。大企業への補助金を廃止し、消費税増税ではなく累進化税率を引き上げろ。金融取引税を導入して対策費用に当てろ。
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