原発マフィアを支えつづける金融システム

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4月12日付記:東電から福島原発部門を分離して、国有化回避を狙う政府案が浮上しています。エネルギー産業は公共サービスという原則を確立し、全電力会社の無償国有化、ならびに震災・津波・原発被災地への全面的補償を。東電、金融機関、原子力政策を推進してきた自民、民主をはじめとする政治家たちの福島原発の責任の切捨てと逃げ切りを許すな。

〔以下、4月6日記〕

途方もない補償額が予想される原発事故で、東電国有化、赤字国債の発行や日銀の国債引受などなどのニュースが飛び交っています。

今朝の東京新聞では、東電の自己資金は3兆円弱あり、廃炉費用1兆円としても、もし最も楽観的なケースでは保障費が1兆円におさまれば、自己資金でのやりくりは可能としています。

日経新聞では、99年東海村JCO東海事務所での臨界事故の例を出しています。このときの賠償額は150億円。ですが今回の場合は被害の範囲が桁違いに大きく、まだ被害は拡大し続けています。昨年4月のメキシコ湾沖での英石油大手BP社の原油流出事故では最終的な被害が600億ドル(5兆円)になる予想で、このケースも参考にしながら対応を検討していると報道されています。

膨大な資金をどうするか。東電はすでに三井住友銀のほか、みずほコーポレート銀行、三菱東京UFJ銀行、住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行、中央三井信託銀行、みずほ信託銀行、信金中央金庫の8金融機関1.9兆円の緊急融資を受けており、今朝の日経新聞では、日本政策投資銀行も1000億円の融資を決定し、合計2兆円の資金提供を受けます。8金融機関は無担保で資金供給し、期間は3―10年で、金利も年1%台など比較的低利に抑えたようです。

これら金融機関の融資資金は、この間の日銀による無担保低金利を含む膨大なマネー供給によって保障されています。日銀は地震の翌営業日の3月14日から連続15営業日で総額134兆円余りのマネーを金融市場に供給しています。その結果、各金融機関が日銀の口座にもうけている日銀当座預金の残高は、それまでの20兆円弱から一気に3月24日の42兆6000億円をピークに40兆円台に急増しています。(日銀当座預金の残高は2006年3月に量的緩和政策が解除されて以降は10兆円未満だったが、08年9月のリーマンショック以降は増加しつづけ20兆円弱を維持してきた。)

一向に収束を見せない原発事故と有り余るマネーが、東電株に襲いかかっています。3月30日の大引け間際に、ひとりで約4000万株、186億円を東電株に突っ込みぼろもうけを画策しようとした投機マネーも登場しています。

(参考)暴落の東電株に186億円投資 買ったのは誰だ?

「東電は必要不可欠なインフラを担う企業。最大限のサポートをしたい」(三井住友銀)と言い放ち、これまで原発産業を金融面で支えてきた銀行家の傲慢さのツケを払わされるのは大企業でも金持ちでもないようです。

「国有化」「赤字国債発行」「増税」などの文字が躍る新聞を読みながら、マルクスの『1850年3月の中央委員の同盟員への呼びかけ』を思い出しました。ブルジョア民主派との関係についてこう述べています。

「労働者は、もちろん、運動のはじめにはまだ直接に共産主義的な方策を提議することはできない。しかし、彼らは、次のことを行うことはできる。たとえば、小ブルジョアが鉄道や工場を買い上げようと提議したなら、労働者は、これらの鉄道や工場を、反動分子の財産として、国家がそのまま無償で没収するように、要求しなければならない。」

「民主主義者が比例式の租税を提議したなら、労働者は累進税を要求する。民主主義者自身が軽度の累進税を提案したなら、労働者は大資本がつぶれるほどの急角度で税率が高くなっていく租税を主張する。」

「民主主義者が国債の整理を要求したなら、労働者は国家の破産を要求する。こうして、労働者の要求は、いつでも民主主義者の譲歩と方策の程度に応じて決めるべきであろう」。

脱原発を実現するには度肝を抜くような政策が必要だと思います。報道では、原子力安全・保安院を経済産業省から独立させるなどの動きもあるようですが、それだけでは全く不十分だとおもいます。

必要なのは「原子力安全・保安院」ではなく「原子力危険・廃止院」だとおもいます。必要なのは電力自由化ではなく電力公共化だとおもいます。必要なのは原発マフィアを支え続ける金融市場へのマネー供給ではなく規制と民主的コントロールだとおもいます。

必要なのは倒壊家屋の「線引き的」個別補償ではなく、広大な公営住宅建設の計画だと思います。必要なのは計画停電や輪番停電ではなく賃下げなしの労働時間の大幅短縮だと思います。必要なのは民間企業を支援する「経営的手法」ではなく公共サービスとそこで働く労働者の労働条件の引き上げだと思います。

しかしどれだけ補償額が引き上げられても放射能で一度破壊された肉体や環境は元には戻りません。長期的なたたかいになります。
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