単純明快な投機マネー規制が必要--FX取引上限規制に思う

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今朝の日経新聞によると、東京金融取引所が手がける「くりっく365」で扱われている外国為替証拠金(FX)取引が8月に入り半減している。8月1日から導入された取引上限規制の影響の可能性もあるという。FX取引とは、取引業者に個人が「証拠金」と呼ばれる保証金を預けると、その「証拠金」の何十倍もの外貨売買ができるという取引。98年の改正外為法施行で解禁され、金融のグローバル化に伴い取引が拡大し、機関投資家やヘッジファンドと並ぶグローバル金融市場のプレイヤーである。今回導入された規制は、証拠金の何倍まで取引ができるのかを示す「証拠金倍率」の上限を50倍までにするというもの。これまでは上限はなかった。来年にはさらに25倍までに引き下げられるという。
「くりっく365」が仲介するFX取引は2005年から始まり、07年と09年を比較すると、ドル、ユーロ、ポンド、オーストラリアドルなどの主要通貨との取引出来高は、それぞれおよそ2.5倍に拡大している。(資料)その流れに一石を投じることになるだろうか。

FX取引を始めとする投機マネーは世界を混乱に落とし続けている。金利の安い日本で円を借りて、金利の高い外貨に投資するという「円キャリー」によって、アイスランド経済が破綻に追い込まれたことは記憶に新しい。「くりっく」一つでひと儲けしようなどという仕組みは必要ない。もし上限規制という簡単な方法で取引が減少したのであれば(それでも50倍もの博打ができるのだ!)、規制は有効である事が一定程度証明されたということになるだろう。お金の流れとは、複雑そうに見えて実は単純な運動法則に従っている。

この間のG20サミットでは金融機関の自己資本比率規制(BIS規制)について議論されている。BIS規制とは、金融機関が持っている自己資本の何倍までビジネスをしてもいいかという規制だ。現在は12.5倍までビジネスが可能だが、これを見直そうというものだ。これまでのBIS規制では、国債や高格付けの証券取引などは規制の対象外であったり低い規制水準が適用される。危機を引き起こした原因の一つである証券化債権を促進させるような規制改革も行われてきた。また金融機関が自らが策定したリスク評価のほうが規制が引き下げられるなど、まさに盗人に金庫番をさせるようなやり方が、国際金融を監視する中心で横行してきた。

現在のG20やBISでの議論は、それらの問題点を改め、単純明快な上限規制を導入するのではなく、自国の金融機関に有利になるように自己資本の定義をごり押ししようとし合ったり、あれやこれやの計算式をこねくり回したり、格付け水準を操作したり・・・、と何とか規制を骨抜きにしようとしている。

しかしFX上限規制が明らかにしたように、投機マネーを規制するには、計算式をあれやこれやいじくりまわしたりする小細工ではなく、単純明快に取引上限を規制することが先ず何よりも必要だ。そして同時にタックスヘイブンなどへ規制逃れをしようする投機マネーに対して、単純明快な規制の代表格である通貨取引税を導入し、投機取引を大幅に縮小させることが必要だ。

商品の流通過程で社会的な価値は創造されない。マネーを「くりっく」ひとつで右から左へ動かす投機取引は、価値を創造しないばかりか、社会を破壊・解体さえしてしまう。破壊・解体されるべきは社会ではなく、投機マネーという大量破壊兵器のほうである。投機マネーに課税を!
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