
ハイチ債務を今すぐ帳消しに
台湾NGOが台湾政府に呼びかけ
原文
ハイチは世界銀行と国際通貨基金(IMF)の「重債務貧困国」リストに入っており、早くから国際的な債務帳消し運動や人道支援団体が注視してきた。それゆえ近年、世銀、米州開発銀行(IDB)、カナダ、パリクラブなどがそれぞれ債務削減を進めてきた。今回の震災の後、旧植民地宗主国のフランスは、台湾などの主要債権国に対して、早急にハイチに対する一切の債権を放棄するよう呼びかけた。
昨年7月、パリクラブのメンバー(米、英、ドイツ、フランス、日本、ロシアなどを含む)はすでにハイチの債務の大部分を帳消しにすることに同意した。だがハイチの対外債務は依然として解消されず、現在ハイチが抱える8億9100万ドルの対外債務のうち、IADBとIMFが半分を保有し、のこりの半分を台湾とベネズエラが保有している。先週、フランスのクリスティーヌ・ラガルド財務大臣は、台湾とベネズエラに対してハイチの債務免除を呼びかけた。
この一週間、国際メディアではハイチの対外債務に関して活発な討論が展開されており、台湾とハイチの債務関係も白日の元にさらされた。一方、台湾国内においては友邦(=数少ない国交のある)ハイチでの震災の知らせを受けて、外交部(外務省)はたった500万ドルの援助を申し出ただけであり、債務帳消しについては知らぬ存ぜぬと通し、国際的な人道精神を発揮する最初のチャンスをみすみす見逃した。
ハイチはわが国の友邦であると同時に、世界で最も貧しい国家のひとつである。2004年の一人当たりのGDPは478ドルしかなく、75%の人が赤貧状態に置かれており、打ち続く天災に悩まされ、2008年初めには世界的な食料価格の暴騰で暴動が発生し、その年の夏には四つのハリケーンが襲い農地の70%が壊滅的打撃を受けた。そして今回の震災ではマグニチュード7の強震によって10万人を超える犠牲者をだした。世界銀行の推計によると、今年のハイチのGDPは15%マイナスとなり、すでに困難を極めていた社会経済の発展の筋道に大きな影を落とすことになる。さらに債務の支払いの負担は言うに及ばないだろう。
私たちは政府に対して厳粛に提案する。台湾は、ハイチ債務の帳消しという国際社会の呼びかけに積極的に応え、即時無条件に台湾の保有するハイチの債権を放棄し、友邦の負担を軽減し、救援および復興の支援を行わなければならない。これこそ台湾が国際的に模範を示し、国交関係を安定させることのできる正しい方法である。
発起団体
(台湾)緑色陣線協会
==(以上、転送・転載歓迎)==
以下、これを読みながら思ったこと。
(1)中国政府と台湾政府は、国交をめぐりハイチへの支援合戦をするのではなく、現地の民衆のためになる支援を共同でおこなうべきだろう。日本を含むメディアも「外交合戦」という報道姿勢は改めるべきである。
(2)フランス、IMF、米州開発銀行は、台湾やベネズエラに債務帳消しを呼びかけるのではなく、まず自分たちが範を示すべきだろう。昨年7月に債務帳消しに同意したというが、その後も債務帳消しはされず交渉がだらだとつづいているという。いますぐに無条件で一切の債務帳消しをおこない、あらたな借金を作らせない支援枠組みをつくるべきである。「債権国が足並みをそろえないと効果的でない」という貸しての側のルールを優先するんじゃない。「パリクラブ方式」はもうたくさんだ。
(3)米州開発銀行は、4億8000万ドルの債務免除と4億4400万ドルの供与および融資の提供を盛り込んだ支援プログラムを提案しているが、免除したのとほぼ同額をまた貸し付けてどうする!
(参考)ドミニカ大統領、ハイチ支援プログラムを提案(ロイター 2010年1月19日)
(4)1月18日に菅財務大臣とIMFのストロスカーン専務理事が会談した。報道では日本の財政出動云々の話しか述べられていない。所管大臣としてハイチの債務帳消しのためにIMFにも働きかけるべきではないか。ハイチに対して大きな債権を持っている米州開発銀行(IDB)のなかで日本政府は大きな影響力を持っている。IMと同様、IDBにも資金を拠出しており、総務会と理事会に代表(財務官僚=菅大臣の部下)を送っている。IDBの日本語サイトによると財務省は「理事会で日本政府の意見が反映されるように働きかけて」いるのだから、そのルートを通じてIDBが保有する債務を帳消しにして、あらたな借金漬けを回避するように働きかけるべきである。
(参考)米州開発銀行における日本政府の役割
「政府の行う開発援助には、特定の途上国に直接支援を行う二国間援助と、国際開発機関への参加を通じて行う多国間援助があります。日本政府はIDBに資金を拠出して参加するとともに、総務会と理事会に代表を派遣していています。日常業務では日本政府側の担当である財務省とIDB側の日本政府の代表である理事室が密に連絡を取り、理事会で日本政府の意見が反映されるように働きかけています。 」
この一週間、国際メディアではハイチの対外債務に関して活発な討論が展開されており、台湾とハイチの債務関係も白日の元にさらされた。一方、台湾国内においては友邦(=数少ない国交のある)ハイチでの震災の知らせを受けて、外交部(外務省)はたった500万ドルの援助を申し出ただけであり、債務帳消しについては知らぬ存ぜぬと通し、国際的な人道精神を発揮する最初のチャンスをみすみす見逃した。
ハイチはわが国の友邦であると同時に、世界で最も貧しい国家のひとつである。2004年の一人当たりのGDPは478ドルしかなく、75%の人が赤貧状態に置かれており、打ち続く天災に悩まされ、2008年初めには世界的な食料価格の暴騰で暴動が発生し、その年の夏には四つのハリケーンが襲い農地の70%が壊滅的打撃を受けた。そして今回の震災ではマグニチュード7の強震によって10万人を超える犠牲者をだした。世界銀行の推計によると、今年のハイチのGDPは15%マイナスとなり、すでに困難を極めていた社会経済の発展の筋道に大きな影を落とすことになる。さらに債務の支払いの負担は言うに及ばないだろう。
私たちは政府に対して厳粛に提案する。台湾は、ハイチ債務の帳消しという国際社会の呼びかけに積極的に応え、即時無条件に台湾の保有するハイチの債権を放棄し、友邦の負担を軽減し、救援および復興の支援を行わなければならない。これこそ台湾が国際的に模範を示し、国交関係を安定させることのできる正しい方法である。
発起団体
(台湾)緑色陣線協会
==(以上、転送・転載歓迎)==
以下、これを読みながら思ったこと。
(1)中国政府と台湾政府は、国交をめぐりハイチへの支援合戦をするのではなく、現地の民衆のためになる支援を共同でおこなうべきだろう。日本を含むメディアも「外交合戦」という報道姿勢は改めるべきである。
(2)フランス、IMF、米州開発銀行は、台湾やベネズエラに債務帳消しを呼びかけるのではなく、まず自分たちが範を示すべきだろう。昨年7月に債務帳消しに同意したというが、その後も債務帳消しはされず交渉がだらだとつづいているという。いますぐに無条件で一切の債務帳消しをおこない、あらたな借金を作らせない支援枠組みをつくるべきである。「債権国が足並みをそろえないと効果的でない」という貸しての側のルールを優先するんじゃない。「パリクラブ方式」はもうたくさんだ。
(3)米州開発銀行は、4億8000万ドルの債務免除と4億4400万ドルの供与および融資の提供を盛り込んだ支援プログラムを提案しているが、免除したのとほぼ同額をまた貸し付けてどうする!
(参考)ドミニカ大統領、ハイチ支援プログラムを提案(ロイター 2010年1月19日)
(4)1月18日に菅財務大臣とIMFのストロスカーン専務理事が会談した。報道では日本の財政出動云々の話しか述べられていない。所管大臣としてハイチの債務帳消しのためにIMFにも働きかけるべきではないか。ハイチに対して大きな債権を持っている米州開発銀行(IDB)のなかで日本政府は大きな影響力を持っている。IMと同様、IDBにも資金を拠出しており、総務会と理事会に代表(財務官僚=菅大臣の部下)を送っている。IDBの日本語サイトによると財務省は「理事会で日本政府の意見が反映されるように働きかけて」いるのだから、そのルートを通じてIDBが保有する債務を帳消しにして、あらたな借金漬けを回避するように働きかけるべきである。
(参考)米州開発銀行における日本政府の役割
「政府の行う開発援助には、特定の途上国に直接支援を行う二国間援助と、国際開発機関への参加を通じて行う多国間援助があります。日本政府はIDBに資金を拠出して参加するとともに、総務会と理事会に代表を派遣していています。日常業務では日本政府側の担当である財務省とIDB側の日本政府の代表である理事室が密に連絡を取り、理事会で日本政府の意見が反映されるように働きかけています。 」
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