30分?いやいや少なくとも4,416労働日、2,119,680分の闘いなのですよ--京品ホテル自主営業

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1月25日に強行された京品ホテル自主営業に対する仮処分強制執行に対するに参加してきました。Attacでは、これまで京品ホテルの廃業・解雇攻撃は、新自由主義グローバリゼーションが拡大してきた金融緩和、企業買収という債権を右から左へ動かすだけで巨額の利益を得ようとする多国籍金融資本による労働・生活破壊の一つだと考え、微力ながら支援を決めて集会に参加したり、ホテルの一室を借りて運営委員会を開催したり、また「酒蔵いの字」などで会員のみなさんとの思い出に残る交流をしてきました。

仮処分強制執行については、マスメディアや運動メディアなどあちらこちらで報道されています。自主営業を続けてきた東京ユニオン京品ホテル支部のみなさんの思いとそれを支援したたくさんの仲間たちの姿、それらを踏みにじる司法と警察の暴力、そして人々の生活よりも金持ちの放漫経営と多国籍金融資本の論理がまかり通る「自由で民主的な」資本主義の実態を目の当たりにしました。

1月25日の早朝6時半に品川駅高輪口を出ると、ホテル前のピケから「経営者は恥を知れ」「警察は帰れ」の掛け声が聞こえてきました。ちょうど警察車輌が到着したころだったのでしょうか。江東区周辺を拠点に活動している下町ユニオンや郵政民営化反対をいっしょに取り組んだ郵政ユニオンのみなさんもピケラインでスクラムを組んでいます。また公共サービス研究会でお世話になっている国労闘争団の方も「赤福」を差し入れにピケに合流。その後の事態は、下記の運動メディアなどが伝えるとおりなので、ここで下手な感想を書き散らすよりも、そちらをご覧になってもらったほうがいいと思います。

京品ホテル、自主営業中!
京品ホテルに強制執行・ビデオプレス撮影(UNION TUBE)
1/25京品ホテル闘争@強制執行に敢然と闘う!(UNION TUBE)
写真速報 : 京品ホテルに暴力的強制執行~ピケ隊が必死の抵抗(レイバーネット)
【速報】東京地裁による京品ホテルに対する不当な立ち入り禁止の強制執行を糾弾する!(アジア連帯講座)
労組自主管理の京品ホテルに立退き強制執行、25分で完全制圧(JANJAN)
京品ホテル強制執行 飛ぶ怒号届かぬ声(東京新聞)
京品ホテル:従業員立ち入り禁止の強制執行(毎日新聞)
京品ホテル、明け渡しのため強制執行(TBSニュース)

ここでは、ちょっと違った視点からこの30分のピケ攻防を考えてみたいと思います。

強制執行のために警備員や警察の暴力を導入して行われた強行突破は30分程度で終了したのですが、それを「わずか30分」とか「30分がんばった」という報道もあります。それはそれで正しいのですが、前夜から多くの労働者がピケを張って、最大400名近くもの労働者がピケで警備員と警官の暴力に立ち向かい、駆けつけることができなかった全国の人びとが固唾を呑んで事態の推移に関心を持ち、強制執行完了の報道が流れたのちも続々とホテルに駆けつけた人達がいたのは、ピケを30分維持したことだけではなく、10月21日から96日にわたって京品ホテル支部の組合員を中心に続けられた京品ホテル、日本料理さが野、酒蔵いの字、とんかつ七兵衛での自主営業があったからだと思います。

資本家はよくストライキに対して損害賠償請求などをやります。ストライキによって何日間生産が中止に追いやられたかなどを元に計算する。厚生労働省は争議日数やストライキに参加した労働者の数とストライキの時間数を掛けた労働損失日を毎年統計をとっています。

たとえば2007年に申告のあった半日以上の同盟同盟罷業(ストライキ)は54件、参加人数は延べ20,825人、それによる労働損失日は33,236日になっています。

労働争議統計調査年報告

京品実業の廃業によって解雇される労働者は69人。10月31日に地位確認のために東京地裁に提訴したのは京品ホテルの労働者46人。仮にこの46人が96日間、自主営業に従事してきたとすると、96(日)×46(人)=4416労働日も闘ったことになります。

「30分の攻防」になぞらえて分で考えれば一日の労働時間を仮に8時間として、96(日)×46(人)×8(時間)×60(分)=211万9,680分もの時間を、放漫経営の経営者や多国籍金融資本のリーマン・ブラザーズと闘ってきたことになります。この数字が正しいのかどうか、確認したわけではありませんが、京品ホテル支部の加盟する東京ユニオンや全国ユニオンの組合員などのみなさんもこの計算式のなかにいれるべきだと思います。

労働組合だけでなく、支援の輪も、地元地域の住民のみなさんや全国の心ある人々が寄せてくれた存続をもとめる署名7万余、自主営業の期間中は、ほぼ満員となるなど、さまざまな形での支援が広がっていました。そして1月25日にはおよそ400名もの当該・支援のピケが張られ、京品ホテルの存続と職場は働くものの団結で守る、という社会的アピールを行いました。

カジノ資本主義がもたらした世界規模の金融危機のなか、そのしわ寄せが働く者や社会的に周縁に追いやられた人たちに押し付けられようとするなかで、金持ちと金融資本への優遇政策こそが、この危機を打開する方策だといわんばかりの現在の政治のデタラメさと対照的に、京品ホテルの自主営業のたたかいは、雇用と生活を守り、希望を未来につなぐ取り組みとして日本の労働運動史に記録されるでしょう。

京品ホテルは一時封鎖されてしまいました。しかしたたかいはまだこれから。警察の暴力から組合員を守るためにピケを解き闘争の一時中断を宣言した集約集会での京品支部の金本正道支部長の発言を最後に紹介して、今日からのたたかいに備えたいと思います。

「これで終わりではない。こんなくやしい思いはない。これが日本の法律ですか。警察がこんなことをして許されるのか。世の中の正義、人の正義、人の道をはずしているのは小林社長とリーマンブラザーズではないか。必ず戻ってきます。京品の仲間を、みなさんこれからも支えてください。」


おまけ
ピケの途中、執行官と交渉が行われている間、スクラムが一時解除されました。そのときに前述の国労闘争団のIさんが差し入れの「赤福」といっしょに、1月25日付けの「東京新聞」を見せてくれました。大企業での正社員解雇がすすむ、厚生年金未加入など金融危機を口実とした企業の犯罪を告発する報道とともに、いま話題になっている「ワークシェアリング」について、図解を使った分かりやすい解説が掲載されていました。サービス残業の解消が前提、といった一見、きわめてまっとうな主張だったのですが、よくよく考えたらサービス残業は「解消」すべきものではなく、禁止すべきものです。「解消」されるべきは36協定という残業をしてもいいよと労使合意による残業のほうでしょう。それはいまの経団連などが言う「時短&賃下げ」ワークシェアリングとは全く違うものです。残業をなくして勤務時間を8時間にすることは「時短」でもなんでもないし「賃下げ」でもない。残業をしなければ生活できない賃金は引き上げる必要があるでしょう。大企業による下請けいじめや経営者の過度な搾取などを解消すれば、中小・零細企業が賃上げをできないことはない。社会的弱者に良心的な「東京新聞」ですら、こうなのか、とピケのなかで感じた次第でした。これについては「セーフティーネットの拡充」とかいう言い方にも同じような思いを持っていますが、それはまた別な機会に。


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