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世界同時不況 今、何をすべきか--とりあえずご退場ください

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日経新聞一面に「世界同時不況 今、何をすべきか」という連載が掲載されている。二回目(2008年12月16日朝刊)はあの竹中平蔵氏。

小泉政権で経済財政担当相や金融相などを歴任し、金融再生プログラムや郵政民営化で新自由主義者・マネタリストの本領を発揮した人物だ。2001年4月に第一次小泉内閣で民間人の経済財政担当相として入閣し、2004年7月の参議選で自民党から立候補・当選。2006年9月28日、参議院本会議で辞職が許可され11月1日に自民党を離党している。日経新聞で紹介されている肩書きは、「日本経済研究センター特別顧問」や「慶応大教授」だが、2007年2月から人材派遣会社トップクラスのパソナの特別顧問にも就任している。

さてこの人材派遣会社の特別顧問は、「混乱収束のための処方せんは?」というインタビュアーの質問に対して、「金融機関に対する公的資金の注入」と躊躇することなく回答している。「日本は何を?」と聞かれ、「とにかくマネーを増やす」。財政出動については「効果は大きくない。だが、やらざるを得ない。一時的な需要不足に対応するものだから続けても一、二年。その間に金融をよくし、経済構造を強くする」。

一時的な需要不足であってほしい、という懲りない新自由主義者の哀れな願望だ。

続けてこの哀れな新自由主義者は言う。

「日本は米国以上に成長率が低く、欧米に先駆けて景気が悪くなった。・・・・・・なぜか。改革をやらなくなったからだ。結果として期待成長率が下がる。郵政民営化に匹敵する改革の大玉を掲げ、日本経済はこれで強くなるぞという期待感を持たせる政策をやるべきだ。」

郵政民営化で期待を持たされた多くの有権者がいまその嘘に気が付きつつあるいま、有権者の一票よりも株券一枚のほうに価値を置く新自由主義者たちは、世界規模でのバブル崩壊におののきつつも、それを上回るビッグマウスでしかこの惑星の未来を語ることができない。

続く具体的な政策がふるっている。というか開いた口がふさがらない。

「将来やらなければならないことを選び出し、いま実行する。法人税率の引き下げはその一つ。地方には法人税下げ特区をつくったらいい。羽田空港の再拡張や東京大学の民営化などもやってほしい。コンプライアンス(法令順守)不況への対応も必要だ。安全・安心の美名のもとに規制が増え、民間活動が萎縮している。賢い企業が日本から出て行き、大空洞化を招く恐れもある」

たしかに東京大学が民営化されれば、もっとたくさんの派遣労働者を低賃金で不安定な雇用契約で雇うこともできるだろう。だが、日本と世界の経済、この惑星の環境と未来は、そんな冗談を受け入れるほどの余裕をもう持ち合わせてはいない。

不安定雇用労働者を救済し、縮小する一方の社会保障財源を確保し、地域と世界の貧困を削減し環境を守るための資金を確保し、永続不可能な成長一辺倒の経済・政治システムからのコペルニクス的転換を実現するためには、法人税の引き下げではなく、法人税を引き上げ、マネーゲームに踊る金融機関や汚染企業への強力な規制、産業構造のエコロジカル的な転換、金融機関と基幹産業の国有化、そして国有化が真に効果を発揮するための国家機構と所有制の民主化など、一貫したプログラムを提示し、実践する必要がある。

マネタリストや新自由主義はバブルとともに人類の選択肢から消え去るべきだろう。

「今、何をすべきか」と聞かれたら、「とりあえず竹中さん、ご退場ください」と答えるしかない。
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2009/08/04 (Tue) 17:32 | # | | Edit

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