「内需拡大・景気回復」? そんなことよりやることが他にあるだろう

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マネーゲームのつけが実体経済や庶民の生活にまで影響を及ぼしている。アメリカ経済の衰退で輸出産業を中心に業績悪化が予想されている。いくつかのメディアでは、従来の輸出型から、内需拡大、景気回復を目指した政策に転換すべきだという主張がでているようだ。

グローバル市場における自由貿易の無批判な追従からくらべると、従来のものではない何かを思考する、という意味においては、すこしはマシになったのかもしれない。

しかし「内需拡大、景気回復」はオルタグローバリゼーション運動のスローガンではないだろうな、と今日attacカフェの準備作業をしながら、何人かの会員と話し合った。

今回の金融危機は、必要を何十倍、何百倍も上回るありもしない需要を勝手に作り出した供給側(=金融機関)によってパンパンに膨れ上がらされたリスク付きカジノマネーが破裂したことによるものだ。必要なところに必要な資金を融資するという「金融」の本来の役目を投げ捨てた結果だ。

それはなにもマネーだけではないだろう。自動車、パソコン、不動産、家電、食品をはじめありとあらゆる商品がすでに人々の必要を大きく上回る規模で生産され、廃棄されている。大量生産大量浪費の経済システムだ。もちろん世界では、そして日本でも基本的な生活必需品さえも欠く貧困層はたくさんいる。しかしモノがないわけではない。人々が必要とする以上のモノをつくって、そして廃棄しないと成り立たない経済システムになっている。この惑星の寿命をむさぼりながら。

内需拡大とは、「これまでは輸出で儲けてきた分を、今度は国内でまかなおう」ということだ。現在の大量生産大量浪費のシステムとその維持のための金融システムや原発を含むエネルギー供給体制はそのままにして。

私たちにとって必要なことは、経済成長でもなく、景気回復でもない。私たちに必要なものは、衣食住に事欠かず、働く人も働けない人も働かない人も差別されず、搾取も戦争もなく、自然と科学が調和し、すくなくとも人類のせいでこの惑星を破滅に追いやることもなく、人生を楽しみ、あなたを愛し、次の世代へ希望を引き継いでいくことができる社会をつくるために、新しい一歩を踏み出すことだ。

「内需拡大・景気回復」は、新自由主義の破綻で方向転換を迫られている政治・経済の支配体制が、これまでも何度かやってきたような軌道修正をしながら維持するためのスローガンではないか。

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誰のための内需拡大なのか、誰のための景気回復なのか。経団連の来年春闘方針である「雇用の安定」と先日閣議決定され、臨時国会に提出された改悪派遣法案をみれば明らかだ。

11月8日の「日経新聞」の5面に、「経団連、雇用確保を優先 春季労使交渉」「賃上げは『個別判断』」という見出しが大きく躍っている。

経団連がまとめた09年春季労使交渉の指針では「減益傾向が強まる中、賃上げよりも雇用維持を重視する企業も少なくない」と明記されていることが明らかになったという報道だ。

だが同じ5面にはもうひとつ別な記事が掲載されている。「非正社員4割弱に」「派遣労働者が急増」という見出しで、厚生労働省の実態調査で労働者に占める非正社員の割合が37.8%、前回調査(03年)比で+3.2ポイント上昇となったという記事である。派遣労働者は前回の倍の4.7%に上っているという。

この37.8%の非正社員のおおくが、「雇用優先」の労使交渉とは全く関係ない状態に置かれている。この金融危機で最初に首を切られている4.7%の派遣労働者は、大企業の「雇用の安定」のための犠牲になっている。そして今回、閣議決定され国会に上程された改正派遣法案は、この不安定雇用を縮小し、人らしい生活を保障する方向とは全く逆の法案だ。

内需拡大、景気回復? 37.8%の非正社員の人々の労働条件や社会保障を大幅に引き上げることもせず、派遣法を改悪しようとする政府のいうことなど信じない。

日経の経団連春闘記事では、こんなことも言っている。「政府の要請に苦慮」「経済界は来春の労使交渉を前に企業体力の低下と、政府・与党などからの賃上げ要請の『板挟み』に苦慮している。」

これは政府、経団連(ついでに御用組合も入れてしまえ)が出演する、できの悪い喜劇以下のショーだ。

政府が本当に賃上げをしたいのであれば、介入できない労使交渉での賃上げを要請するのではなく、最低賃金の大幅な(二倍とか)引き上げによってすぐにでも可能ではないか。大幅な時短と割増賃金の引き上げで可能ではないか。派遣法を廃止すれば可能ではないか。民営化をやめれば可能ではないか。違法企業への制裁で可能ではないか。立法府、行政府として可能なあらゆることをやりもせず、選挙対策だけのポーズで、経団連に「賃上げを要請」しているだけにすぎない。

大量生産大量浪費を支える金融システムの救済のためであれば、何十兆円もの公的資金注入も平気でつぎ込むことのできる法律を国会で通過させる一方、働くものや耕すものや生活するものの人らしい生活を守るための法律は省みない。

こんなペテン政権はいらない。

改悪派遣法案を廃案に。
公的資金注入法案を廃案に。
安倍前首相を見習っていますぐ解散を。
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Comment

昨日、今日のイベントで

attacの関連イベントに参加できなくて、ごめんなさい。でも、考えてることは同じです。

昨日、そして今日、ぼくが関わっているイベント「地域のチカラ」での主題もほとんどそういうことです。
http://tu-ta.at.webry.info/200811/article_7.html

速報のメモをアップロードしてくれている人もいます。
http://yaplog.jp/kokopelli-life/archive/8

今日のattacのイベントには参加できませんが、よろしく。

2008/11/09 (Sun) 05:38 | tu-ta #8iCOsRG2 | URL | Edit
内需拡大

経済成長(GDP)に反対の私にとり原則賛成です。
ただ将来への投資、特にエネルギー・食糧確保への投資する良い機会と考えています。
これらは内需拡大が主ですが。
再生エネルギー導入にドイツなどが適用した政策を導入すれば行き先のない民間資本が動かせると考えています。

2008/11/09 (Sun) 10:27 | 三上良悌 #- | URL | Edit

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