円独歩高に関するG7声明--いまこそ通貨取引に課税を

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10月24日、外国為替市場の円相場は1ドル=90円台と約13年2カ月ぶり、ユーロに対しても一時、1ユーロ=113円台の円高水準を記録した。

円が高くなる、ということは日本から海外に輸出するものが高くなり、売上が伸び悩むということで、輸出産業の業績が悪化するのでは、という予想から自動車など輸出産業の株価が軒並み急落する事態に発展した。

株価だけではない。トヨタ、ソニー、キヤノンなど名だたる企業が決算下方修正や減収などを発表している。経団連は政府による為替介入(ドルを買って円を売ることで円安に誘導する)を叫んでいる。

そして10月27日、G7(7か国財務大臣・中央銀行総裁)は短い声明を発表した。

++(以下、声明全文)++

7か国財務大臣・中央銀行総裁声明(2008年10月27日)

我々は、強固かつ安定した国際金融システムが我々の共通の利益であることを再確認する。我々は、最近の為替相場における円の過度の変動並びにそれが経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ることを懸念している。我々は、引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する。

++(以上、声明全文)++

G7が一国の為替相場についてのみ言及することは極めて異例である。これはG7各国政府が協調して介入する用意がありますよ(この場合は、各国が協調して円売りを行う)、という立場を表明することで、市場関係者に、円を買っていたら政府の協調介入によって円が値下がりして損をするかも、というイメージを与える「口先介入」と呼ばれ、実際には介入は行われない。

だが「口先だけのやつは信用されない」というのが世の常だ。
そしてこんなものでは暴れまわるマネーを規制することはできない。

これほどまでに急激な円高に対して、最も効果的な政策のひとつが他でもない通貨取引税の導入だろう。現在attacなどが掲げている通貨取引税では、通常の税率+緊急時の税率という二段階課税を提唱している。

課税の第一段階、というか日常的に課せられている通貨取引税は低率(たとえば0.01%)のものである。こうすることで実体経済(貿易や投資)に即した通貨取引については、一回の取引で一回のみの低率の課税が行われる。その費用は現在、貿易や投資を行う際にリスク回避のための費用にくらべても高額にはならないだろう。

そして、この低率の税は、投機マネーに対しては絶大な効果を発揮する。投機マネーは一般的に各国通貨間のわずかな価格差や金利差をみつけては、一日に世界中の外国為替市場で何度も何度も巨額の取引を行い、莫大な利ざやを稼ぐ。そのような何十何百何千回も繰り返される通貨取引に対して、その都度ごとに課税するわけだから、わずかの税率でも、結果的には投機マネーの取引意欲を減退させる効果を持つ。

各国銀行間の口座取引によって決済される通貨取引では、その取引が実体経済に関係するものなのか、あるいは投機マネーなのかを区別することは難しい。だから一律すべての通貨取引に課税を行い、連続取引を行う投機マネーが結果的に巨額の税金を課税されるというのが通貨取引税の特徴のひとつだ。

このような低率の課税によって投機マネーの略奪的な運動が規制されることで為替相場を安定的に保つことが可能になる。そのための費用と考えれば、実体経済にともなう通貨取引を行う企業にとっても、決して高いものではないことがわかるだろう。

ただ、このような低率の課税だけでは、現在のようなわずか短期間の間に通貨が暴騰あるいは暴落するという事態には対応できない場合がある。というのも、たとえば通貨が暴騰することが予測される場合、投機マネーはそのチャンスに莫大な資金を投じて荒稼ぎをしようとするだろう。あるいはアイスランドのようにマネーが逃げ出す際には、一回の取引でマネーを引き上げてしまうのだから、低率の課税では、防ぎようがない場合がある。

そこで二段階課税の第二段階が登場する。

為替相場の一定期間(たとえば一週間)の変動幅は、毎日の通貨取引の変動幅を記録することで簡単に算出できる。そしてこの平均的な変動幅を超える急激な通貨取引が行われた場合、自動的にさらなる追加的で高率の(たとえば80%)第二段階の課税を行うようにすることで、資金の一斉逃避などの事態をかなりの程度避けることが可能である。

このようにあらかじめ想定することができる課税は、想定することができない不確実で後追い的な金融政策を乱発する現在のG7による対策に比べて、きわめて安定的な為替相場をつくりだすことが可能になる。

通貨取引税を実施するための技術的な問題はほぼクリアーされている。そしてその必要性はこれまでになく高まっている。税収をいかに活用するかという重要な問題についても南の諸国の民衆参加を中心とした新たな民主的な国際機関の創出で検討するというアイデアも早くから出されている。

のこる課題は、いつまでも金融グローバリゼーションと多国籍企業のためだけに奉仕する国際機関と各国政府にさよならを告げ、南と北の真の連帯にもとづく民主的政治参加を促す政府をつくろうとするエコでフェミでフェアでデモでピースなたくさんの人びとの登場である。

いままさに「通貨取引に課税を!」「投機マネーに規制を!」の主張を高らかに宣言しなければならない。G7声明は、そんなたくさんの人びとのパワフルな声にかき消されるだろう。

※通貨取引税に関する資料は下記attacウェブサイトの関連ページをご覧下さい。
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