
10月12日から19日までの一週間、途上国債務の帳消しを求める世界の社会運動は、IMF世銀総会に合わせて、「国際金融機関と債務に反対する世界同時行動週間」として、世界各地で債務帳消しを訴える様々アクションを行う(詳細はこちら)。
東京でも10月18日にこんな学習会を予定している。
ということで、ラテンアメリカやアジアと同じくG8諸国をはじめとする先進国によって押し付けられた債務に苦しめられているアフリカから、コートジボワールのレゲエミュージシャン、Tiken Jah Fakoly(ティケンジャファコリー)の曲を紹介することで、世界同時行動週間の記念のひとつとしたい。
7月6日、北海道洞爺湖で開催されていたG8サミットに対抗して、札幌大通り公園で開かれた国際民衆連帯DAYsの午後の企画はアフリカの開発・貧困・債務をテーマに取り上げた。
会場には「Africa Africa Africa wants to be Free!」(アフリカは自由になりたがっている)というTiken Jah Fakolyの曲がスピーカーから流れていた。発言者の一人、第三世界債務帳消し委員会のメンバーミリアムさんは「そう、アフリカは自由になりたがっているのです。債務からの自由を」とスピーチを切り出した。
AFRICA-Tiken Jah Fakoly
アフリカ、アフリカ
アフリカは自由になりたがっている
オレは知っている
奴らの制度は、オレの同胞に対する陰謀だと
でも、もしジャーが我々と共にあれば
誰もオレたちを敵には回せない
もしジャーがオレの同胞と共にあれば
一体誰がオレの敵になろうなんてするものか
オレのアフリカは、自由になりたがっている
(※ジャーとはラスタファリズムにおける神をあらわす:引用者)
・・・(略)・・・
アフリカは自由になりたがっている
ジャングルの中のライオンのように
アフリカは自由になりたがっている
空を飛ぶ鳥のように
もし、もし知らないなら
きみは知らなければならない
ママ・アフリカは自由じゃない、ってことを
ああ、自由! 自由よ!
アフリカは自由になりたがってるんだ
・・・(略)・・・
オレが自由について語るとき
それは経済上の自由についてだ
オレが自由について語るとき
それは政治上の自由についてだ
もし、もし知らないなら
きみは知らなければならない
ママ・アフリカは自由じゃない、ってことを
ああ、自由! 自由よ!
アフリカは自由になりたがってるんだ
(歌詞はアルバム『Francafrique』日本語解説より引用・抜粋。以下同)
この曲が収録されている『Francafrique』は、5月末に横浜で行われたアフリカ開発会議に対抗するアクションにつかう何かいい音楽はないか、と友人に問い合わせたところ貸してくれたものだ。それまでは(いまもだが)アフリカの音楽にはほとんど興味などもっていなかったが、『Francafrique』には日本語でTiken Jah Fakolyの鋭い政治的立場と強い政治的メッセージ性を持った歌詞の訳がつけられていたことから、にわかファンになったのだ。
『Francafrique』というアルバムのタイトルは、フランスとアフリック(仏語でアフリカ)をくっつけた造語であり、旧宗主国フランスに牛耳られたアフリカをあらわしている。(解説より)。
このアルバムの最初の曲はFrancafriqueである。フランスやアメリカなどG8諸国の支配とアフリカの独裁者に強烈な批判を浴びせかけている。
Francafrique-Tiken Jah Fakoly
目を覚ませ!
※
フランスの対アフリカ政策はヒデえインチキだ
とんでもない嘘でたらめ
アメリカの対アフリカ政策は破滅的な冗談だ
とんでもない嘘でたらめ
ヒデえインチキさ
※
ヤツらは武器を売りつける
アフリカで戦争しているときはな
ヤツらはオレらの財産をかっぱらってく
そんで、アフリカは常に戦争してて驚きだ!
とかぬかしやがる
やつらはコンゴを焼き払った
アンゴラに火を放った
ヤツらはガボンをメチャクチャにした
ヤツらはキンシャサを火の海にした
※2回繰り返し
連中は独裁政権を承認している
全てはオレらを飢えさせるためだ
ヤツらはアフリカの富を奪ってく
オレらを生きたまま埋葬するためだ
ヤツらはコンゴを焼き払った
アンゴラに火を放った
ヤツらはキンシャサを火の海にした
ヤツらはルワンダを火の海にした
(略)
ヒデえ冗談さ とんでもねえ
ヤツらはオレらを殺っちまおうってんだ
目を覚ませよ ヒデえことになる
警戒しろ 抵抗しろ とんでもねえ話だ・・・
アフリカが植民地、戦後、そしてグローバリゼーションの時代に帝国主義諸国から受けてきた処遇についても、ストレートな批判が歌われている。
Y'en a marre-Tiken Jah Fakoly
※
もうたくさんだ
アフリカはうんざりしてるんだ
ゲンナリしてんだ
みんな、うんざりしてんだぜ
※
ジャーナリストたちが殺されることにさ
つまり、人殺しの大統領どもにさ
指揮をとる、軍のおえらい連中どもにさ
圧政に苦しむ民衆にさ
横領されちまうアフリカへの援助金にさ
飢えた市民にさ
国の金は浪費され
人権なんて言葉は知らされやしねえ
※繰り返し
奴隷制度が廃止されたあと
あいつらは植民地を作った
オレたちが打開策を見つけると
あいつらは協力援助政策をとりやがった
オレらがそんなもん破棄したら
今度はグローバリゼーションだといいやがった
グローバリゼーションがなんだか説明もなしによ
それはバビロンがオレらから搾取するってことだろ
※くりかえし
そんなもん支持するのはやめようぜ
オレらのきょうだいの命なんて
あの吸血鬼集団は何とも思っちゃいねえ
戦争は止めるんだ、信念を守り通せ
手下にオレらブラザーを殺させる全ての国家元首どもに火を放て
あいつらはオレらをリスペクトしねえばっかりか
ヤツらの法すら守らねえ
人民が権利を主張したって、気にすらかけねえ
金を分配しようなんて一切考えねえ
ないわけじゃないんだぜ
オレらのシスターが体売って食いぶち稼いでるってのに
まるで無視を決め込んでんだぜ
※繰り返し
人殺し大統領どもは(もうたくさん)
軍隊の指揮官連中は(もうたくさん)
少年兵士たちは(もうたくさん)
戦争による孤児たちは(もうたくさん)
※繰り返し
アフリカはもううんざりなんだ
(この全ての陰謀に)
オレらの仲間たちはみなうんざりなんだ
(この全ての悪の操作に)
アフリカはうんざりしてるんだ
(この全ての搾取に)
みんなうんざりなんだ
(この全ての圧政に)
アフリカはうんざりしてんだよ
日本語の解説のついた『Francafrique』はユニバーサルミュージックから2004年に発売された。日本ではじめて発売されたTiken Jah Fakolyのアルバムであり、彼の詳しい生い立ちや音楽活動、政治的主張などが収められており、貴重な資料になっているが、残念ながらいまは廃盤になっている。
この日本語版にはボーナストラックとして、「Baba」という曲が収められている。
Baba-Tiken Jah Fakoly&Trabo de Jah
『Francafrique』の日本語解説で鈴木孝弥氏はこの曲を次のように説明している。
「これは発展途上国が抱える返済不可能な債務を免除することを先進各国、世界銀行、国際通貨基金(IMF)に訴えている市民機関をサポートするため、セザリア・エヴォラ、サリー・ニョロ、ロクア・カンザなど多くのアーティストが参加した昨年(2003年)のチャリティー・オムニバス盤『Drop The Debt(Annulons la dette)』の1曲に収められたナンバーである。(略)ブラジルのシンガー、トリボ・デ・ジャーとのコラボレーション。ディウラ語、ポルトガル語、フランス語で歌われ、第三世界の貧困の悲惨さを伝えると共に、それに対する先進各国の姿勢を非難している。」
『Drop The Debt(Annulons la dette)』のCDは、以前、欧州の債務会議に参加したOKさんが帰国した際におみやげとしてもって帰ってきたことがあった。スローなテンポだが耳について離れない一曲だ。ボーナストラックでよく収録してくれたとおもうのだが、残念なことにこのBabaだけは日本語の歌詞がついていないのだ・・・。
この『Francafrique』の後、『COUP DE GUEULE』と『THE AFRICAN』のふたつのアルバムが日本では発売されている。これまた残念なことに、日本語歌詞がついておらず、英語もフランス語も解さないわたしは、なんとなーくのイメージと知っている単語で雰囲気を味わうしかない。
レゲエだけでなく音楽全般にも全く詳しくもないが、債務問題のイメージを膨らませるひとつのきっかけとなれば幸いである。
途上国債務を帳消しに!
「国際金融機関と債務に反対する世界同時行動週間」に(もう一度)読んでみよう、途上国を苦しめる債務と私たちの責任。

『世界の貧困をなくすための50の質問』
エリック・トゥーサン、ダミアン・ミレー著/大倉純子訳
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発展途上国を苦しめる債務のカラクリ。
全てはニッポンにもつながっている、
その現実を50の質問であらわにします。
(ノーム・チョムスキー絶賛!)
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