血の気の多い金融市場を非武装化せよ:日本銀行の資金供給を考えてみる

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(日本銀行落成之図)

日銀による米ドル資金供給が続いている。
10月7日、日銀は供給回数を年末までにさらに3回供給回数を増やすと発表した。

10月7日 200億ドル
10月21日 300億ドル
11月4日 200億ドル
11月18日 300億ドル
12月2日 200億ドル※
12月16日 300億ドル※
12月30日 200億ドル※
※印が今回加えた分。

カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、米連邦準備制度、スイス国民銀行なども同じような措置をとっている。

マネーは経済を流れる「血液」であり、それが足りなくなる、あるいはどこかで詰まってしまうと、体全体に影響がある、「血液」が足りなくならないようにどんどん供給する、というのが、ちまたで語られている分かりやすい説明だろうか。

だが待てよ。これってちょっとおかしくないか、と考えた。
「血液」が足りなくなっているのはドルだけではないという。10月7日付の「東京新聞」8面には、銀行間で今日明日の資金の貸し借りをおこなう短期金融市場で取り引きの仲立ちをおこない手数料を稼ぐ短資会社の様子が報道されている。

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「電話を片手にディーラーが『オーバーナイト四五(よんごー)ビッド、X銀行200!』と声をあげると、別の担当者がホワイトボードにX銀行が金利0.45%で200億円の調達を求めている旨書き付けた。邦銀の資金調達には問題はない。だが外資系金融機関の場合、信用不安から金利は0.60%近くにまで跳ね上がる展開だ。」
「午前九時二十分、ディーリングルームに突然静けさが訪れた。日銀とつなぐスピーカーが14営業日連続となる緊急の資金供給を実施することを告げる。額は一兆円と大きく、返済期限は17日までで比較的余裕があることを確認すると、市場には安心感が広がり、徐々に金利が低下していった。」

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たしかに資金繰りに苦しむ企業に金が回らなくなったりしたら大変なことだ。そもそもこの信用危機を作り出したのが銀行などの金融機関であることには違いないのだが、だからといってそのあおりを食って企業が倒産したり労働者が路頭に迷うのは良くない。だから日銀による資金供給も仕方がないか・・・と考えるのは、ちょっと待てよ。いま銀行や証券会社などが必要としている「血液」は、本当に必要な「血液」なんだろうか。

証券などに投資してきたマネーをこれ以上株価下落などによって目減りさせないために、とりあえず今の価格で現金化が広がっているという解説をどこかで聞いた。

ということは、なんのことはない。マネーゲームで儲けをたくらんでいたヤツラがこれ以上損をしないように、混乱する証券市場から一旦トンズラするための資金が必要なだけではないのか。

米ドル供給にしてもそうだ。外国為替市場での90%以上が投機のための取り引きだと、以前『金融グローバル化を読み解く10のポイント』などで読んだ。

日銀は「銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする」のだから、資金が逼迫している際には、資金提供をするのは当然である、と考えるのかもしれないが、めちゃくちゃな商品を開発して、リスクを世界中にばらまき、信用を失墜させてきた金融機関に、さらに取り引きのための資金を提供することが、本当に信用秩序の維持になるのだろうか。

世界中の人が、一日8時間働き、8時間を余暇に、8時間を休息にあて、週末はゆっくり充電するという生活を維持するために必要な商品やサービスなどの価値を滞りなく世界中に流通させたとしても、現在世界中の外国為替市場で一日に取り引きされている3兆2100億ドルもの大量のマネーが必要なわけがない。

一日、いや一分間に何十回、何百回も何度も取り引きを繰り返し、わずかの金利差に莫大な資金(しかもレバレッジなどで何十倍にも膨れ上がっている)を流し込み、儲けを確保することが当たり前のように行われている外国為替市場をはじめとする各種金融市場で莫大な富を稼いでいる金融機関のための資金供給ではないのか。いまの膨張しすぎた金融市場はすでに物や価値に根ざしたものではなくなっている。

「金融市場を非武装化せよ」。Attac結成の発端になったメッセージだ。金融市場を非武装化するのは日銀の役目ではなく、政治の役目だろうが、日銀をはじめ各国の中央銀行が、武装解除を拒む新自由主義金融市場に資金を提供し続けていることには違いない。血の気の多すぎるのは、金融市場にしろ人間にしろ困る。

血の気の多い金融市場を非武装化しよう!

10月14日(火)は「attacこうとう下町劇場:金融支配からの逃走?闘争! --NHKドキュメント『マネーの暴走が止まらない~サブプライムから原油へ』を見る」へぜひお越しください。詳細はこちら
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