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カジノの安定はいらない:アメリカ金融安定化法案の否決

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「カジノを閉鎖せよ!」フランクフルト証券取引所前でアピールするATTACドイツの仲間たち:9月24日 (その他の画像

「世界の株、時価総額2000兆円目減り」という見出しが10月1日付の日経新聞朝刊の一面を飾った。

「9月末の主要な証券取引所の株式時価総額合計は、過去最高だった2007年10月末に比べ2000兆円以上減ったもようだ。米金融危機で株安に拍車がかかり、世界の名目国内総生産(GDP)の4割強に相当する価値が目減りした」ということだそうだ。

世界の株、時価総額2000兆円目減り 金融危機が直撃(日経新聞10月1日朝刊)


2000兆円。ゼロを使って書くとこうなる。

2, 0 0 0 , 0 0 0 , 0 0 0 , 0 0 0 , 0 0 0 円
米政府の金融安定化法案が下院で否決されたことが拍車をかけた。同法案否決後、ダウ工業株30種平均は777ドル安という、ラッキーなのかどうなのか分からないが、史上最大の下落を記録した。

ダウ平均、最大の777ドル安 30社の下落率ランキング

10月1日の日経新聞社説では、米下院が同法案を否決したことに対して、「市場の混乱を深め、世界的な金融恐慌を招きかねないという認識がまるで欠けた無責任な行為」と厳しく批判している。

米国は金融恐慌回避へ責任ある行動を

何を言っているのだ。

ペテンまがいの金融詐欺であるサブプライムローンで貧乏人を家から叩き出し、世界中にリスクをばら撒き、次から次へと襲ってきた金融危機に対して何ら根本的な対策もすることなくマネーをあふれさせることでその場をしのぎ、危機を巨大化させるいっぽうで、ぼろぼろに儲けてきたペテン師たちの代理人であり、かつ自らもペテン師の頂点に立って、ぼろもうけをしてきたポールソン財務長官をはじめとするマネーの亡者が、「国民に負担は押し付けません」といって誰が信じられるのか。信用危機をつくりだした当の本人たちを信用せよ、という方がどうかしている。

ポールソンの出身企業であるゴールドマンサックスの現最高経営責任者であるブランクファインの2007年のボーナスは6800万ドル(約70億円)にのぼる。2006年は5340万ドルだ。

ゴールドマンCEOの07年ボーナス、ウォール街の記録塗り替える

2006年6月から財務長官を務めているポールソンが、ゴールドマンサックスで最後にくすねた(というにはあまりに額が多すぎるが)ボーナスは1870万ドル(約21億円)。

本来救済されるべきは、サブプライムローンという詐欺ローンの支払いができず、住宅から追い出されている人たちのほうだ。

右往左往する下院議員たちは、わきあがる有権者からの怒りを恐れて同法案に反対票を投じたまでだ。

「市場の混乱を深め、世界的な金融恐慌を招きかねないという認識がまるで欠けた無責任な行為」? アメリカ、日本をはじめとするG8諸国はそんな行為を何十年もつづけてきたではないか。そして南の諸国を混乱に陥れてきたではないか。世界中に貧困と戦争をばら撒いてきたではないか。そして南の諸国の民衆やオルタ・グローバリゼーション運動、労働運動はそれを批判し抵抗を続けてきたではないか。

金融安定化法案は、サブプライムローンで見ぐるみをはがされた人々を救うものではなく、貧乏人を救うためのものでもなく、失業者を減らすものでもなく、投機マネーを規制するものでもない。腐りに腐りきった金融市場の根幹には手をつけることなく、そこで活躍してきたの詐欺師たちを救済するものでしかない。

そんな詐欺師を救済する必要はない。私たちに必要な安定は詐欺師たちが活躍する金融市場の安定ではない。だれもが将来に不安を抱くことなく働き、学び、遊び、生活することのできる社会の安定こそが必要なのだ。詐欺師たちの暗躍を許さず、新自由主義政策によって被害を蒙ってきた人びとを救済し、だれもが人生を楽しむために住宅や医療、教育などを充実させる、南の国の人びとを苦しめてきた債務を帳消しにするための資金を確保するためにも国際通貨取引税の導入は重要である。し、一国の経済を破壊するほどの巨額の通貨取引を規制し、不当な債務が帳消しされた南の諸国の人びととのグローバルな福祉のための(すなわち現在の日本のODAのような「国益」のためではなく)資金源として通貨取引税を導入するなど、やらなければならないことは山ほどあるはずだ。(注:この部分は10/27に添削しました)

金融安定化のためにどうしても緊急に資金が必要であるのなら、詐欺師や詐欺師と一緒になって儲けたやつらに、今すぐ負担させるべきである。それで足りなければ、アメリカはイラク占領をやめ、すべての国が軍事費を大幅に削減して資金を捻出すればいい。

日本においても金融をはじめとする規制緩和を進めてきた政策を根本から見直すべきである。銀行や郵便局でリスク商品を売るな。規制緩和を推進してきた議員への投票をやめよう。

そして、この危機に乗じた労働条件や賃金の引き下げ、首切り、年金受給額の引き下げや物価高騰、とにかく考えられうるありとあらゆる生活攻撃を許さず、「市場の混乱を深め、世界的な金融恐慌を招きかねないという認識がまるで欠けた無責任な」新自由主義政策に、みんなでいっしょにNO!を突きつけよう。

カジノを閉鎖せよ!
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