投機マネー放任を確認した青森G8エネルギー大臣会合--いまこそ通貨取引税を

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6日のニューヨーク商業取引所で原油先物相場が急騰、国際指標となるテキサス産軽質油(WTI)の7月渡しの終値は1日で過去最大の10・75ドルも上昇し、1バレル=138・54ドルを記録。これまでの最高値を一気に5ドル超も上回った。一時は139・12ドルまで上昇し、取引途中の最高値も更新した。
投機マネーが原油市場に再流入したことが原因である。同日発表された米失業率の大幅上昇、欧米の金利差の拡大によるドル安・ユーロ高などでによる米景気悪化の懸念から、資金が一気に原油に向かった。6日ニューヨーク市場でダウ工業株30種平均が400ドル近くも急落、週明け9日の日経平均株価もそれに連動して300円超も下落した。

投機マネーが再び世界を揺さぶるのではないか、という懸念が世界的に拡大するなか、翌7日に、青森で日、米、中国、インド、韓国の五カ国のエネルギー相会合が開かれた。議長を務めた甘利明経済産業相は共同記者会見で、「5カ国が、現状の価格を異常だと確認して世界に発信し、原油価格を適正な価格にしていくためになすべきことの共通のスタンスが取れた」と成果を強調した。

だが、「5カ国エネルギー大臣会合共同声明」では、「現在の原油価格水準は、異常であり、消費国・産油国双方の利益に反する」と表明しただけであり、異常な価格がなぜもたらされたのかについては以下のような言及に留まっている。

「石油価格形成の要因は複雑であり、生産国・生産圏の供給政策、在庫水準、地政学的緊張などの短期的要因を含む。我々は、本年6月13~14日のG8財務大臣会合において石油市場について議論されることを歓迎する。」

大臣会合のおしゃべりの中では投機マネーにも触れたという報道はされているが、対外的なアピールである共同声明では、投機マネーに一切言及することなく、どうして「なすべきことの共通のスタンス」がとれるというのか。かれらの言う「共通のスタンス」とは問題を先送りすることに他ならない。

共同声明では「開かれた透明な市場や公正で効果的かつ効率的な規制は不確実性を減じ、必要な投資を促進するのに重要である」と、規制について触れている。しかしそれは、投機マネーを対象にしたものではなく、増産による供給拡大で価格高騰に対応しようとするものである。規制について触れた文言に続けて「我々は、自国の生産投資を極大化することの必要性を宣言するとともに、他の産油国に対し、世界需要の増大にあわせ、市場に十分な供給が行き渡るよう、投資を増大することを要請する。」と述べられていることでもそれは明らかである。

しかし、石油輸出機構のバドリ事務局長も、「(原油高が)供給不足が原因ではない」というように、共同声明で打ち出された対策は問題の先送りと誤魔化しである。さらなる増産、さらなる投機、さらなる成長・・・・・・。その行き着く先は未曾有の金融危機であり、温暖化による環境破壊である。

エネルギー相会合は、問題解決ではなく、さらなる悪循環に拍車をかけるものでしかない。それは、原子力エネルギーを高く再評価したことにも表されている。

「再生可能エネルギーと安全で平和的な原子力エネルギーが、エネルギー供給源の多様化、経済成長の維持及び気候変動の緩和を通じ、エネルギーセキュリティを強化するに際して重要な役割を果たしていることを認識する。」

5カ国エネルギー大臣会合共同声明(6月7日、PDF)

翌日の8日には、G8と中国、インド、韓国の11カ国エネルギー相の会合が開かれた。記者会見で甘利大臣は前日と同じく「かつてない成果だ」と自画自賛している。共同声明の内容は前日の5カ国共同声明とほとんど変わらないが、「原子力」の項目が独立して表記されていることから、そのスタンスはさらに一歩、いや百歩も地球破壊へと歩み寄ったといわざるを得ない。

G8+中国、インド及び韓国エネルギー大臣会合共同声明(6月8日、PDF)

G8のエネルギー相による共同声明は、サンクトペテルブルグ・エネルギー安全保障イニシアティブ(原発推進、世界銀行のクリーン・エネルギーと開発への投資資金などを含む)をあらためて再確認した。

G8エネルギー大臣会合共同声明(6月8日、PDF)

こうして、投機マネーの流入による史上空前の原油高のまっさなかに開かれたエネルギー大臣会合は、なんら効果的な対策を出すこともなく、現状追認と原発推進を世界に向けてアピールした。

原発推進のエネルギーサミットに対しては、6月7日、「止めよう再処理全国集会」が、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会、核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団、青森県反核実行委員会の主催で行われ、東北を中心に全国から2000人(主催者発表)が開かれた。attac仙台の仲間も参加した。

甘利大臣らG8エネルギー関連大臣達の姿勢は、同じく投機マネーの流入によって悪魔的な価格急騰による食糧危機に対応するために6月3日に開かれた国連食糧農業機関=FAOによる「世界の食料安全保障に関するハイレベル会合」(食糧サミット)で演説した福田首相のスタンスとも一致する。

「仮に、食料市場で投機的な側面、実需から乖離した面があるとすれば、それを監視するという強い政治的意思を示すべき、この政治的意思を担保する何らかのメカニズム構築も検討しなければならない」

食糧サミットにおける福田総理演説(6月3日、ローマ)

投機マネーの存在を「仮に」と慎重に語っていることだけが問題ではない。出されている対策が「規制」ではなく「監視する」ということが問題である。IMF世銀による新自由主義政策や投機マネーによる食糧暴騰により世界各地、とりわけ南の諸国において、貧しい人々は生活破壊に対して抗議の声を上げている。

世界中で投機マネーに対する抗議の声が上がっている。立ち上がる人々が求めているのは「監視」ではなく具体的で効果的な「規制」である。南と北の人びとを襲う世界的な物価上昇に対して、財界人に囲まれながら、のんきに桜を見て、「物価が上がるとか、しょうがないことはしょうがないのだから」と口を滑らせてしまう人物が北海道洞爺湖サミットの議長として発揮する指導力に期待することはできない。

物価上昇しょうがない 首相、桜を見る会で(4月12日)

第一回目のサミットもまた空前の石油危機の直後におこなわれた。1975年にフランス・ランブイエ城で開かれた最初のサミット(仏・日・米・西独・英・伊のG6)は、1973年の第一次石油危機とそれにともなうインフレなどへの対策を話し合う場として開催された。そこでは、以下のことが合意された。

(1)石油危機以後の世界経済の運営において、最も緊要な課題は、経済の回復を確固たるものとすることに合意した。
(2)このためインフレに留意しつつ着実かつ持続的な成長を達することが共通目標とされた。
(3)国際通貨面において各国が協力して為替相場の乱高下を防止することで合意された。
(外務省:過去のサミット一覧より)

しかし、その後の国際経済の歴史を振り返ってみれば、南の諸国を含めた世界規模での、経済の回復を確固たる物とすることはできなかったし、着実かつ持続的な成長もなかったし、為替相場の乱高下を防止することもできなかった。サミットはその最初から自らの合意も達成することができなかった。

1970年代に訪れた石油危機は、資本主義システムの歴史的構造的な危機の表現の一つであった。資本主義のビックバンであったフランス大革命やフランス7月革命では反革命のシンボルのひとつとなったランブイエ城。その資本主義体制が歴史的な危機を迎えた1975年に世界を支配する6人が逃げ込んだのが同じランブイエ城であるということは歴史の皮肉とでもいえるだろうか。

もうひとつの世界をもとめる私たちには、ランブイエ城も、ウィンザーホテルもいらない。必要なのは暴れまわる投機マネーに対する「通貨取引税」という名の「ギロチン」であり、パレスチナ、イラク、そして世界中に広がった「バスチーユ監獄」の解放である。

※追記:原油がこのまま際限なく値上がりを続けることはない。いずれ暴騰の反動である暴落は避けられない。米政府のドル安是正のための為替介入もその引き金になる可能性がある。米政府は、ドル安懸念を解消するための為替介入についての非公式の意見交換を6/13-14に大阪で開かれる財務大臣会合でやりたいと表明している。これらは、原油価格暴騰による危機感というよりも、ドル防衛の観点から提起されているものだ。投機マネーによる原油価格暴騰が人々の生活を襲い、そしてその暴落でまた人びとの生活が混乱に投げ込まれる。こんな世界はもうたくさんだ!(6/13追記)

投機マネーに規制を!
通貨取引税の導入を!

SHUT DOWN SPECULATION!
WASH DOWN G8!
THROW DOWN NEOLIBERALISM!
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