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G8によるアフリカ「開発」の新展開 --NEPAD 批判のための参考文献

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4月5-6日に開かれるG8開発大臣会合の議長総括原案が公表されたようです。今朝のNHKニュースで報道していました。「新興国と民間財団との協力」だそうです。

G8会合 議長総括の原案判明(4月4日 7時26分 NHKニュース)

G8開発大臣会合に続き、4月7日と8日の2日間、G8北海道洞爺湖サミットの一環として、第10回アフリカ・パートナーシップ・フォーラム(APF)が三田共用会議所で開催されます。外務省の報道官は記者会見で「今回のフォーラムでは、アフリカにおける環境・気候変動問題、経済成長の加速化、そして貧困の削減といったテーマで議論が行われる予定です。その成果は、アフリカ開発会議、そしてG8サミットに反映されるということです。 」と述べています。

アフリカ・パートナーシップ・フォーラムとは、2003年のG8エビアン・サミットの合意を受けて設立され、アフリカ開発のための主要なフォーラムの一つとして位置づけられており、毎年2回開催されてきています。

(4月7~8日開催)「第10回アフリカ・パートナーシップ・フォーラム」の開催について
参加国・機関(PDF)

フォーラム自体は、G8諸国とアフリカ諸国の支援政策の調整のためですが、なぜ2003年からなのか、というと、南アフリカ、ナイジェリア、アルジェリア、セネガル、エジプトのアフリカ「五強」が、2001年10月ナイジェリアのアブジャで合意した「アフリカ開発のための新パートナーシップ」(NEPAD)が、それ以降の国際社会におけるアフリカ開発の大きな柱になったからです。

アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD:ネパッド)

2002年10月の国連総会では、NEPADをアフリカ開発のための国際社会の支援枠組みにすべきである、というコフィ・アナン事務総長の勧告が承認。5月に横浜で行われるアフリカ開発会合(TICAD)はNEPADを全面的に支持しています。NEPADを支持する大きな理由は、NEPADが、初めてアフリカ主導によるアフリカ開発の文書である、ということです。

それ以降、G8サミットでは、つねにアフリカ開発に関する「アフリカ行動計画」が発表されてきました(2002年カナナスキスサミット以降のアフリカ行動計画等へのリンクは最後に添付しました)。

日本では、アフリカの貧困や開発問題に取り組む人々、政府や企業の間では良く知られたことかもしれませんが、日本の社会運動の中では、このNEPADについてはほとんど知られていません。ぼくもほとんど知りません。しかし2002年以降のアフリカ「開発」は、この「アフリカ初」で「アフリカ発」のNEPADによるアフリカ諸国の「オーナーシップ」とタイアップしたG8諸国をはじめとする国際社会の「パートナーシップ」が中心になっています。

世界社会フォーラムなどに参加するアフリカのラジカルな社会運動団体などからは、このNEPADに対する強い批判があります。わたしたちは細々とではありますが、この批判的な主張に耳を傾けてきました。そして今回、日本政府が主催するG8サミットにおいて、アフリカ開発が大きなテーマとなり、その基本的なスタンスが、NEPADに応えるものになっていることに、懸念を持たざるを得ません。

・・・とはいっても、よく分からないので、勉強のつもりで以下、批判的な立場から書かれている文章をあげてみました。

開発大臣会合とその後のアフリカ・パートナーシップ・フォーラム、5月28~30日のアフリカ開発会議(TICAD)などにむけて、社会運動の側でも学び、行動につなげていければと思います。

3/31から4/3まで、NEPAD発祥の地のひとつでもあるナイジェリア・アブジャでは、世界社会フォーラムの国際評議会が開かれ、7月のG8サミットに向けた行動計画なども討議されたようです。新自由主義グローバリゼーションに抵抗し、希望と連帯のグローバリゼーションを、7月に向けて作り上げていきたいと思います。

4月5日は「南」と「北」の連帯マーチへ。

以下、参考文献です

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「持続可能」な「開発」に異議あり - Aminata D. Traore(元マリ共和国文化
大臣)

「アフリカは他のどの地域にもまして、支配的な経済システムについてのわれわれの知識全般と、ブレトン・ウッズ機関(2)が自ら認めた過ちとを照らし合わせ、冷静に対処すべきだった。しかし実際には何もなされていない。われわれの指導者は問題をはき違え、従属の配当を手にする道を選んでいる。必ずしも必要とは言いがたい高額なインフラ整備への多額の投資は、対外債務を増やすだけでしかないというのに、相も変わらず大半の指導者の優先事項となっている。それを示しているのが、アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)という彼らの最新の発明だ。この新自由主義的な構想は、かつてアフリカの指導者が考え出したもののなかで最も野心的であり、その生みの親たちは自信に満ちた顔で平然と構えている。アフリカ社会の多くの組織から発された警告は見事に黙殺されてい
る。」
(ルモンド・ディプロマティーク(日本語・電子版):2002年9月号)


「グロバリゼーション」に向き合うアフリカ経済 - Sanou M'Baye(セネガル人エコノミスト)

「このアフリカによるイニシアティブはインフラ、農業、教育、保健の4分野への優先的投資を基本とした経済戦略を定めたもので、資金の大部分を国際社会か外国直接投資に求めようとする。これではアフリカは、グローバリゼーションの錯乱したネオリベラリズムを免れないままだ。手綱を握っているのは多国籍企業の支配下にあるブレトンウッズ機関であり、調整役はカムドゥシュ前IMF専務理事である。アフリカ社会が世界経済に組み込まれるのに必要とされる条件を一つも満たしていない以上、この計画は常軌を逸している。」
(ルモンド・ディプロマティーク(日本語・電子版):2002年7月号)


なぜアフリカは貧困状態にあるのか

「(NEPADは)アフリカ連合(AU)結成を前に、アフリカ内の「先進国」である南アフリカ、ナイジェリア、セネガル、アルジェリア、エジプトの大統領らによって作られました。その精神は、アフリカのことはアフリカ自身が解決するというものです。しかし、実質は、アフリカ「先進国」が、アフリカ全体を支配してグローバリゼーションの中に組み込むというものです。実際、NEPADで中心になっている南アフリカの資本がアフリカ全土に拡大しています。」
(ATTAC通貨取引税ニュース「Possible!」No.3)

次に紹介するのは、批判的というよりも、事実的な経過を追った力作(だとおもう、まだ読んでない)

NEPAD:そのビジョン、開発戦略とアフリカの政治・経済の実態
堀内伸介(2003-03-31)

「NEPADはアフリカの政治指導者によるアフリカの再生への政治的意志の表明である。貧困の撲滅、アフリカを持続的可能な経済成長の道に乗せ、アフリカをグローバリゼーションの過程に積極的に貢献できる大陸とするビジョン、目標、そのための戦略を示したものである。」「NEPADの計画の中心は先進国からの巨額の資金の移転であり、そのためには、援助国の支持を受け易いワシントン・コンセンサスを受けざるを得なかった」
平成14年度 外務省委託研究「アフリカ開発の為の新パートナーシップ(NEPAD)の再検証」より

■2002年以降のG8サミットにおけるアフリカ行動計画等
以下は、外務省のwebにある文書です。お時間のあるかた向けです。
◎2002年6月26日~27日 カナダ・カナナスキス
G8アフリカ行動計画
◎2003年6月1日~3日 フランス・エビアン
G8アフリカ行動計画実施報告書(6月1日)
◎2004年6月8日~10日 アメリカ・シーアイランド
「アフリカの角」地域における飢餓の循環の打破、農業生産性の向上、食糧事情
が不安定な国々における農村開発の促進

◎2005年7月6日~8日 イギリス・グレンイーグルズ
アフリカ
G8アフリカ行動計画の実施に関する進捗報告書(骨子)
◎2006年7月16日 ロシア・サンクトペテルブルグ
アフリカに関する進捗
◎2007年6月6日~8日 ドイツ・ハイリゲンダム
アフリカにおける成長と責任(PDF)
G8アフリカ・パートナーシップ合同進捗報告書要約(仮訳)



(以上)
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