賭場の胴元とイカサマ師---G7とサブプライム問題

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今日、G7が開かれるということで、事前に、注目点を解説をかねて書いておかなければ、と思っていたのですが、あれこれあって当日になってしまいました。まあ、宣言文が出る前にUPした、ということでご容赦を。

G7は、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、日本の7カ国の財務大臣&同代理&中央銀行総裁が、春、秋、冬の年三回あつまって、為替の安定やインフレなき経済成長などについて意見交換をする会議です。春はIMF国際通貨金融委員会、秋はIMF・WB総会に合わせて行われています。

73年11月発足当時は、G5(日、米、西独、仏、英)だったのですが、86年9月の会合からカナダとイタリアを加えてG7になっています。99年1月のユーロ発足にともなって、欧州中央銀行総裁やEU議長国の財務大臣も出席するようになりました。

今回のG7の主要議題は、次の7つといわれています。(1)世界経済の現状認識と見通し、(2)サブプライム問題、(3)原油や食糧価格の高騰、(4)政府系ファンドの透明性、(5)IMF改革、(6)地球温暖化、(7)アフリカ開発。

この中で、(2)サブプライムと(6)地球温暖化、(7)アフリカ開発、の三つに注目しています。

まず、サブプライム。額賀福志郎財務相は、議長国としてリーダーシップを発揮したい、バブル経済崩壊後の不良債権処理で得た教訓を紹介する、など、なんら具体的な解決策を議論することはできないよような感じです。額賀大臣は「金融危機で大事だったのは金融機関が不良債権の実態を市場に示し、安心感を与えたことだった」と、これもまた痛い発言をしています。

そもそもサブプライム問題では、当初の予測を大きく上回る損失が広がっています。バーナンキ米FRB理事長は、500-1000億ドルの損失と見積もっていましたが、昨年10-12月までに1250億ドルに拡大。今後も、モノラインだとか、中国国有銀行におけるサブプライム証券保有だとかで、まったく見通しが立たない状態です。

海外だけではありません。日本の金融機関の損失は限定的だろう、と福井俊彦日銀総裁などは語っていましたが、次々発表された大手銀行の決算では軒並み損失が拡大、大手5行の当初損失予想の倍に上る6000億円を超えました。今後も、関連金融商品を保証する保険会社の評価格下げなどが続けば、損失は拡大します。

しかし僕が批判したいのは、じつはそういうところではなかったりします。額賀大臣や日本政府が、問題解決のひとつとして、各国大臣らに紹介したいと言っている、日本政府と日銀の不良債権処理への対策こそが、日本の大手銀行がサブプライムをはじめとする国際金融賭博へ参加する大きな要因のひとつになったということを、批判しなければならないのではないか、と思っています。

ヘッジファンドなどが巨額のレバレッジをかけて保有資金を何十倍、何百倍も上回るマネーゲームに興じて、世界中の人々の生活を不安に陥れてきたことは、通貨取引税を求めるattacとしてはすでに合点承知の助ですが、そのようなヘッジファンドが暴れまわることができるようなマネーの氾濫する金融市場をつくりだしたのは、他でもない、G7諸国の大手銀行であり、そしてG7諸国の政府、中央銀行なのです。

ヘッジファンドなどが飛び回ってぼろ儲けする裏には、そのヘッジファンドに資金を提供し、情報を共有し、そしてそれ以上のぼろ儲けをたくらむ投資銀行や大手金融機関の存在が必ずあります。LTCMもエンロンも村上ファンドもライブドアも、全部全部、大手金融機関との密接な協力のもとで、マネーゲームに興じてきたのです。

この辺は、CTT部会でテキストに取り上げた『金融グローバル化を読み解く〈10のポイント〉』でも述べられていました。

政府と日銀は、不良債権処理と称して、金融機関への特別融資、国債の買いオペ、外国為替市場への介入資金の提供など、金融機関への超優遇政策を進めてきただけでなく、ゼロ金利政策から量的金緩和政策、銀行保有株の買い上げなど、史上前例のない政策によって、金融機関や市場へ莫大な量のマネーをあふれさせました。市中銀行はほとんどコストなしで資金を調達することができるようになりました。

しかし、あふれかえる資金は、銀行の本業である企業への融資へは回りませんでした。過剰設備という資本主義経済の必然的な状況の中で、銀行が「貸したい」と思う優良・大企業には資金需要はなく、「不良債権」とよばれた企業だけに資金需要がありました。しかしそういう企業に対して「貸し渋り」「貸し剥がし」を行っている銀行がどうして、そういう企業に資金を融資するでしょうか。

で、マネーはどこへ?ということですが、日銀が買い取ってくれる安心確実な国債購入に回ったり、そしてサブプライムをはじめとするリスク商品など、巨額の儲けを生み出す投機市場にまわったり。サラ金にも回っています。儲けが確実にとれるところ、あるいは巨額の利益が見込める商品に回っています。

G7がサブプライム問題を話しあう、ということは、賭場の胴元たちが、賭場で暗躍するイカサマ師について、どうしたものか、と話しあうこととそう変わりはない。もちろん賭場でも客から巻き上げるためのイカサマ師を雇っていたりもするのですから。

今日の新聞で、経済産業省の北畑隆生事務次官が、講演会の中で、短期取引を繰り返す個人投資家(デイトレーダー)は「ばかで無責任」「テイトレーダは最も堕落した株主の典型」などと批判したという記事がありました。しかし政府、日銀、そして大手金融機関の20年を振り返ってみれば、最も堕落しているのは一体誰なのか、はっきりしていると思います。「一人を殺せば殺人者だけど、戦争で何千人も殺せば英雄になる」的な考えでしょうか。

そういえば、村上ファンドに投資して小遣い稼ぎをしていた堕落大王の一人が3月で任期切れとなり、今回のG7が「さよならセレモニー」になるとか。このエピソードについても忘れないようにしたいですね。

長くなってしまいました。不良債権処理問題についても、小泉政権や竹中元大臣の果たした役割などにも触れたかったのですが、時間切れとなりました。(6)地球温暖化、(7)アフリカ開発には触れられず。ですが、どれもこれも、みーんな、デタラメで、地球を売り物にする、新自由主義の道しか、かれらには提起できません。

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