
またひどいことを言っています、経団連会長。法人税は下げろ、だけど、消費税を上げろ、と。
10月11日に行われた講演での発言です。
「希望の国、日本」の実現に向けて~監査懇話会における御手洗会長講演~2007年10月11日(木) 10時~11時
「OECD加盟国の平均税率は、1990年代半ばには40%近くと、現在のわが国と、ほぼ同等の水準にありましたが、現在は平均で28%まで低下しております。わが国の実効税率は依然として40%のままであり、国際的な平均とは10%程度の差があるわけであります。」「法人実効税率の見直しは、厳しい財政事情もあり、直ちに実現することは、難しい面もございます。しかし、経済界といたしましては、税制の抜本的改革が行われる際には、継続的に主張してまいりたいと考えております。」
「社会保障関係費が増えていく分につきましては、消費税の引き上げによって、きちんと賄っていくことが、社会保障制度への信頼性、安定性を高めるという点からも、また、セーフティネットにかかる費用を国民全体が広く負担する点からも、望ましいと考えられます。」
企業は、消費税を負担しなくてもいいですからね。結局、しわ寄せはすべて労働者に。
これが、大企業の言う「希望の国」です。最近、政府や与党が社会保障財源としての消費税を10%に引き上げろ、と合唱し始めたのも、こういう経団連の意向があるからです。
その一方で、御手洗会長は、北海道経済連合会との会合のあとの記者会見で「証券優遇減税は、継続すべし」「景気後退を招くようなことは避けなければならない」と、何様?というような発言を頻繁に繰り返しています。
この証券優遇税制とは、2003年から実施されている金持ち減税で、20%だった株式配当への課税率を10%に引き下げる政策。当初2008年3月末までの期限だったのが、2009年3月まで延長された経緯があるのですが、何様会長をはじめ、与党はさらなる期限延長を主張しています。
この金持ち減税による税収の減収は3000億円程度になる、と額賀財務大臣は国会で答弁しています。
○配当課税、税率軽減で年3000億円減収・財務相が試算 (日経web10/10)
恩恵はいうまでもなく金持ちに集中しています。
○証券優遇減税 富裕層に869億円 わずか7525人に恩恵集中(2006年12月17日(日)「しんぶん赤旗」)
何様会長は、証券優遇税の廃止に反対する理由の一つに「景気後退を招くことはやめてもらいたい」としています。しかしこの何様会長のお膝元であるキヤノンでは、違法な偽装請負をはじめ、そこで働く人たちにかかる費用をできるだけ抑えるためのありとあらゆる方法をとり、人件費を抑えてきました。「携帯派遣」など、不安定な雇用状態を強いられているたくさんの人たちは、衣食住という最低限の出費以外に支出することができるほどの給料をもらうことができなくなっています。消費が回復しなければ本来の意味での景気回復はありえません。
大企業が軒並み史上最高の業績を記録する一方、悲惨な労働・生活条件を強制され、その日の寝床にも困る人々が大量につくられているのが現実です。一部の大企業や富裕層が金持ちたちが金を儲ければ儲けるほど、圧倒的多数の人々の生活が壊されていく、というのが、新自由主義の特徴の一つです。「景気後退はお前らのせいだ!」と言ってやりたいです。
証券取引が景気をひっぱている、ということはちょっと恐ろしいことです。アメリカのサブプライムローン問題を持ち出すまでもなく、そろそろこんな嘘っぱちの経済成長とは決別する決意をもたなければならないと思います。
嘘マネーをどんどん膨らませるだけの「経済成長」なんかいらない。
金持ちが得をするだけの嘘っぱちの「経済成長」の延命政策=証券優遇税制はいますぐ廃止。
社会保障にカネが必要なら、カネのある奴からとれ、です。
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