本当に返さなければならないのか?--債務帳消しの論理

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先に紹介したエクアドル債務の帳消しについて、本当に借りたカネは返さないといけないのか、について、ご存知!大倉純子さんから投稿いただきましたので、掲載させてもらいます。

無責任にバブルをあおって金を貸し続けてきた日本の銀行が、結局は公的資金と呼ばれる庶民の金を飲み込んで、税金も払わず、証券やサラ金にまで手を伸ばし、空前の利益を上げる一方、時給830円で使い捨てにされ、携帯派遣で安く買い叩かれ、生活保護受けることもできずに死んでいくような生活を強制されるようなこの国に蔓延する「自己責任」と新自由主義のイデオロギーを、突き崩すためにも、エクアドル債務の帳消しを日本でも訴えていきたいと思います。(attacこうとう)

 + + +(大倉純子さんからの投稿)+ + +

いま、エクアドル債務と現コレア政権が、その債務の中から不当な性質(独裁者が私腹を肥やすために借り入れた債務や国民に負担/被害だけ残す結果となったプロジェクトのためにできた債務)を持つ債務を監査によって洗い出し、その債務を返済拒否することで、社会開発に回す資金を作ろうとしています。

その動きをまとめたCADTM(第三世界債務廃絶委員会)のレポートを訳してジュビリー九州のサイトに掲載しています。(岐路に立つエクアドル

そのサイトをattacこうとう準備会が、ご自分のHPで紹介してくれたんですが、それに対して「借りた金は返さないといけない、299億$が30年で元利合わせて456億$というのはそれほどむちゃな金利では無いのでは。日本も戦前の債務をリスケはしたが返済しているはずだ」というコメントを頂きました。

この方がジュビリー九州のサイトの文章を読んだ上で書かれたのかどうかはわかりませんが、債務帳消しの主張に対して「借りたものは返すべき」という反論は私がこの運動に関わりだしてズッと根強くあります(内心では「借りたものは返すべき」という大義名分に安住して、細かい議論や現実に目を向けるのを拒絶しているような印象を持ちますが)。

ということで、少し自分なりの言葉でまとめてみた方がいいのかな、と考えてみました。

*借りた金はかえすべき。当然です。生命削らずに返せるなら。

「債務者は何を犠牲にしても返済しなくてはならない」という理屈は、もはや日本の国内では通用しないことはみなさんご存知だと思います。債務者は人間に値する生活を破壊してまで借金返済をしなくてもいいし、これ以上は返せないと思ったら債権者の承諾を得なくても破産申請できるはずです。
債務者は債権者より立場が弱いし、基本的な生命・健康・安全・経済的・社会的権利に関しては守られなければならないということが、個人の債務者に関しては認められています。
しかし、国家には破産制度がなく、債務国の運命は債権国の意向次第です。エクアドルの子どもの半分が慢性栄養不良で苦しんでいても、債権国が返せと言えば返さなくてはなりません。「君は返せない状態だから返さなくていいよ」と判断し、言ってくれる機関はありません。超大国の意向でそういう機関がなかなか作れないことが問題なのです。
国連ミレニアム目標などで、表向きでは貧困削減、援助増額を言いつつ、貧困を原因とする病気で人々が死んでいる国から金を取り立て続ける(そしてそれに関してはなるべく注目を集めさせないようにする)のは大きな欺瞞だと思います。

*しかもなんでもかんでも返さない、と言っているのではなくて、債務契約を監査して、おかしな債務契約のものだけ帳消ししようと言っているのだから、ある意味、理にかなっていると思います。日本の国内でも公序良俗に反する債務契約は無効です。逆に契約の中身をチェックすることで、汚職の再発などを防ぐきっかけになると思います。これを実施しようというコレア政権は非常に勇気があると思います。債権国もグッドガバナンスを言うのなら、逆にこれを奨励すべきではないでしょうか。

*債権国(大国)は貧しい国の債務帳消しはなかなか認めませんが、一方で自分たちの都合のいいところでは、別に構造調整政策の実施の結果次第(通常6年以上かかる)というような条件を押し付けることもなく債務を帳消ししています。最近の典型的な例は米国が支配するイラクです。続いて債務帳消しが認められたナイジェリアも石油資源が豊富です。債務帳消しは古くは米西戦争に勝利した米国が、自分たちが支配することになったキューバに対しても行っていますし、第二次世界大戦後のドイツなど、戦略的に価値がある国や「経済を復興させよう」と債権国が決めた国に対して大した反対もなく行われています。

*加えて、途上国、特にラテンアメリカが目指している債務削減の試みは、IMF・世界銀行の介入からの脱却と一緒に考える必要があります。

ドナーが「医療制度改善に使ってほしい」と言って援助した金でも、IMFが判断して国内債務返済や外貨準備に回させるので、結局新規援助の70%が当初意図したものと違う使われ方をしているとIMF自体の独立委員会が発表しています。本当に国民の生活を心配する政府なら、叛旗を翻すのは当然ではないでしょうか。

*日本の戦前の(この方が言いたいのは戦後に持ち越された分という意味でしょうか?)対外債務がいくらくらいだったかわからないんですが(分かる人、教えてください)、1500億円くらいあった国内債務は、戦後のハイパーインフレのおかげで償還できたと聞いています。

一方、国民の被った被害は相当なもので、お国のために公債を買わされていた人は債券は紙切れ同然、
中には家一軒建つくらい踏み倒された人もいたと聞きました。インフレで庶民も苦しかったし。
日本の経済復興も朝鮮特需から、つまり他国の苦しみをきっかけに経済成長が始まったわけです。

対外債務も、戦後賠償で本当はもっと大きな債務を抱えているはずが、米国が日本を共産主義の盾にしようと考えたおかげで、ほとんどの国に賠償を放棄してもらったし、あくまで賠償を請求する国に対しては、日本の製品輸出(中古船舶とか)ですませてもらうようにしてもらった(そしてこれが日本のODAの原型になった)のだから、「日本でできたのだから他国もできる」とはならないのではないでしょうか。

何よりこの地球上の貧困や不平等をどうにかしようという視点から考えることが、ATTACの原点だと思います。変えるべきは人の命を削ってまで経済は成長させるべきだと信じられているドグマの方ではないでしょうか。
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